〜「『ネギま』と俺」裏事情〜

この作品は、別名義でサイト『Arcadia』へ投稿していた作品です。


サブタイトル一覧

(1)知っている場所
(2)麻帆良生活
(3)世界の裏側
(4)茶飲み話
(5)京都旅行
(6)古都の宴
(7)本当の魔法
(8)異なる世界
(9)麻帆良の少女達
(10)平和な学園祭
(11)学園祭の顛末
(12)行為と反動
(13)決断
(14)学園長からのお話
(15)ネギとの邂逅
(16)裏側の闘い
(17)おわりのはじまり
(18)決戦の麻帆良学園
(19)さらば麻帆良学園
(20)俺の『ネギま』


あとがき

転移設定が登場するSSはよく見かけるのですが、主人公の持つ優位性の一つとして扱われるだけで、『転移そのもの』を主題とした作品は少ないようです。
そこで、原作知識のみというアドバンテージから、どのような話になるか興味がわきました。

この作品の主人公は、多くの人が共感しやすいであろう『小市民』です。
飛び抜けた才能や実力を持たず、普通の暮らしでは不要な覚悟など持たず、皆さんと同等かそれ以下の原作知識だけが頼り。
助言者という役割から踏み出す事が出来ない一般人です。
爽快感を得づらいとは思いますが、「そうそう、俺も思った」とか「俺もそうするだろうなぁ」と共感してもらえれば、それで十分だと考えてます。

作中でも触れていますが、良かれと思ってやったことでもいい結果になるとは限らないし、権限がないからと言って無責任ではいられません。
『原作知識』によって派生する、知識の披露、情報の漏洩、事態の悪化、改変への後悔、客観的な評価等。思いつく全てを盛り込んだつもりです。
この先、私が同じコンセプトに挑戦しても、似たような話になるのではないでしょうか。

このような地味な話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

制作動機

●『Arcadia』へ投稿したのは、別な環境で評価をもらいたかったため。
今回の主人公は完全にオリキャラなので、受け入れてもらえるか心配だったというのが一番の理由です。
それと同時に、このサイトの作品を好んでくれた方ではなく、全く別の人間からどのような評価を受けるか興味を持ちました。
作品のコンセプトもキャラも受け入れてもらえたらしく、一安心です。

●制作中に感じた事
戦いに不参加だと、やはり出番を回すのが難しいですね。
当初は、『ネギま』に発生する改編をメインにプロットを組みました。
しかし、主人公の一般人縛りによってどうしても考える機会が増え、クウネルや超と哲学的(?)な会話シーンが登場しました。
これはこれで面白くなったと思います。

主人公は対策を検討したり、裏方で作業しています。
その時にネックとなるのが、登場人物の動機付けや作戦方針なのですが、原作『ネギま』はそのあたりがずさんだと思います。
学園長は「責任は全て自分が取る」と言いつつ、失敗した未来では魔法教師全てが連帯責任を負わされています。
エヴァンジェリンは無関係を貫きましたが、ネギが強制送還されたり、学園長が更迭されて境遇が悪化するのは容認できるのでしょうか?
どれもこれも、「ネギが解決する」ことを前提としており、失敗に対する備えがまるでありません。
そのあたりを原作者以外がフォローするのは難しいと思います。

その他

●お勧めトリップ作品
ふと思い出したのですが、トリップ作品(正確には原作知識ありで主人公に憑依する話)で声を大にしてお勧めできる(商業)作品があります。
長谷川裕一の短編マンガで、その名も「わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙もしくは キャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦」。
内容は、下記の通り。

あるマンガ家がネームを編集に却下され、帰宅途中の爆発事故で自作品内へトリップする。
主役として大活躍していくが、事件に対して冷淡なことからヒロインの不審を招き、倒すべき敵に設定していない家族がいる事実を知ってしまう。
出来る限り犠牲者を出さないように方針を変更して、孤軍奮闘していく主人公。
最終決戦に臨み、彼の出す結論とは……?

どんな設定だろうと、書き手の実力によってここまで変るんですね。
主人公が姫に告げた決めゼリフが、このマンガならではのもので、野暮ったいけど真情にあふれたいい言葉だったと思います。