マルシン ブローバック M712(8mm)


モーゼルファンにとっては待望の1作ともいうべき、ブローバックガスガンのモーゼルがマルシンより2006年12月に発売された。
勿論マルシンがモデルガン時代からのM712なので、ブローバックでフルオートも可能という意欲作だ。
おそらく10人中10人が思っているであろう「8mmじゃなくて6mmだったら・・・」というのは別のところで詮議するとして、本頁では製品としてのブローバックM712についていろいろと見て行きたい。
 


元箱と本体。
パッケージアートの好悪をとやかく言うのは好みの問題だと思うが、個人的には単色文字だけとかいうシンプルな方が好きだ。
まあ家に持って帰ったら最期、これに入れて持ち出す事はないので関係ないんだけどね。


チャンバー周辺拡大。
ブローバック機能搭載の為、実銃だと1本のブロックであるボルトが2分割になっている。エキストラクター周りが1段細くなっており、後ろの方の本体がくわえ込むような構造をしている。ここの部分はボルト本体とはちょっと遅延して動くので、ゆっくりボルトを引くとこの時間差が気になるが、まあ一気に引いてこだわらない事にしよう。
固定ガスガンと違ってボルトが激しく前後動するので、ちょうど段差の当たりのボルト本体の方はすぐに塗装が剥げてきた。
細かい事を言えば、エキストラクターを別パーツで組んで欲しかった。単に凹モールドになってるだけなのがどうも気になってしょうがない(固定ガスの時は凸モールド)。
また、HOP位置が固定ガスガンではボルト先端部にあったが、これは本体のちょうど薬室当たりに移って来ている。


ボルトを引いてみた時のチャンバー周り。
エジェクションポートがばっくり口を開ける感じ、ブローバックならではといえよう。
これもちょっとこだわると、クリップ溝より後ろまで下がって欲しかった。
え、どうしてかって?当然クリップ装填(のフリ)をするんじゃないか。


こちらは引いたボルト後部。
これこれ、これである。フジミモーゼルだと5cm位しか下がらないのがこいつはぐぐーっと引っ張ってこれるので、コックしてるという実感が持てる。
ただしここでもストロークが足りないのがちょっと気になった。本当はハンマーの角より後ろまで引けないといけないのだが。
モデルガンで散々遊んでたせいか、腕が覚えていたそのわずかの差が気になってしまう。
まあそんな事言っても、最近のスライドではなくコッキングピースを引く、という感触が新鮮で嬉しい。
あ、これのお陰で実銃の「ストックホルスター付けたら右手の親指位置に気をつけないとハンマーに叩かれる」が現実のものとなった(実証済。びっくりしたよー)。


フレーム後部のアップ。
なぜここを出したかというと、本銃で特筆したい3点がこの中にあるからだ。

その1:セレクターがライブ
待ってました!中央のボタンを押してセミ・フルの切り替え。勿論Nはノルマール、Rはライエンフォイヤーの略だ(って、知ってたよね?)。
フジミモーゼルだとボタンは単なるダミーなので激しい戦闘中に意図しない方に切り替わっていた、という事がしばしばあり、常に親指で確認する癖がついてしまったが本銃ならその必要はない。
カール・ウエスティンガーさんが改良した訳に納得、である。

その2:セーフティと連動するハンマー
固定ガスではハンマーが発射のあとこの画像の位置まで下がってで止まる。本銃は撃った後はハンマーはボルトと接したままになっているのだが、セーフティをかけるとこの位置まで下がるのである。
これがモーゼルM1930で改良されたという、ユニバーサル・セーフティっぽいと思った。
確か本物のユニバーサル・セーフティってのは、ハンマーがどの位置にあってもセーフティがかけられ、コックされている時はこの状態まで落ちるんじゃなかったかな?まあ本銃ではフルコック時は単にトリガーが引けなくなるだけでハンマー位置は変わらないので、本物とはちょっと違うけど。
単にガス暴発を防ぐ為の動きなのかも知れないが、ギミックがあるという紹介でした。

その3:リアサイトが新金型
ちょっと判りにくいかもしれないが、リアサイトの照門部とフレーム後部の突起の間にわずかながら隙間がある。
固定ガスの際はここがパツパツで当たっており、その為メッキをかけたメタルフィニッシュとかではその厚み故にサイトがやや浮き上がって、50mも100mも同じ高さになってしまっていた。
本銃ではその点に気付いたらしくきちんと直っていたのである。
また、距離目盛の数字も細いがはっきりした線になっている。全体的に鋳物の質もまるで良い物になっているので、モーゼルらしさが格段に増したといえよう。
タンジェントサイトは戦闘中いちばん目が行くところなだけに、ここをしっかりと改良してくれたマルシンの設計者には拍手を送りたい。
ただし・・・設計し直しの際に照門がやや小さく(低く)なったのか、どうも照星との合わせが浅くなった様な気がする。
まあ150m以上に合わせておけばいつも通りなんだけどね。


バレル周り。
先端部に金属製のカラーが付いたのは、木スト出し入れなどで擦れて磨耗していくのが気になっていただけに良いことだと思う。
バレル内側上部、ぼんやりと赤い物がわかるだろうか。これがLD-2と呼ぶ2段ホップの前側の突起だ。
要はチャンバーで1回、バレル途中で1回の2回HOPをかけるという事だが、個人的にはあまりバレル中間部に穴を開ける細工はして欲しくない。
こんな構造も8mmの所為なのだろうか。
ちなみにこっちのHOPゴムは固定で調整は出来ない。


機関部取り出し
本銃で私が嬉しかった事の1つがこれ。わかるだろうか。
機関部後方のロックストップを押し上げて機関部を引き出すという、実銃と同じ手順が再現されているのだ(固定ガスではねじ止めされたセレクターレバーがロックの役割)。
固定ガスでも同様にしようとパーツを取り寄せ機関部を削ったりしたのだがうまくいかなかったという経験があっただけに、このギミックの再現は個人的にはかなり嬉しかった点の1つである。
工具不要の分解こそがモーゼルなのだよ!


さて、では固定ガスガンと並べて比較してみよう。
なお、固定ガスはメタルフィニッシュな上に一部パーツが銀に交換されている「紅中兵仕様」なのでその点ご注意を。
まずは右側面。なぜこちらかというと、顕著な差異が2点あるからだ。
まずは機関部分解のところでも述べた様に、セレクター軸にネジ切りがなくなった。フジミ以来気になっていたところが遂に達成されたのである!こうでなくちゃ。
次に、リコイルスプリングストップが金属製になった(リアサイトすぐ下に見える長方形のパーツ)。
ブローバック化をした為なのであろうか。いずれにせよちょっとしたパーツではあるがとても雰囲気が増した様に思う。
どっちも既に木グリップ換装してあるが、ブローバックモーゼルの方はそれでもかなり重い。換える前のウエイト入りグリップの時はおそらく実銃と同じくらいの重量なんじゃないだろうか。強烈な反動に耐える為、メカ部にも金属が多用されているのだろう。


チャンバー・機関部周り比較。
先にチャンバー周辺の解説で述べたあたりを比べてみて欲しい。
勿論ボルト形状としては固定ガス(奥)の方が実銃に近いのだが。


上面より。
左が新作ブローバックモーゼルである。
リアサイトの数字が、明らかに異なるのがわかるだろうか。
また、ハンマーの位置が固定ガスではやや浮いているのがブローバックでは落ちきった所に来ている。微妙な差に思えるかも知れないが、この位置で止まっているシルエットが個人的には好きなのである。


後方より、ハンマーを起こして比較。
ブローバックモーゼルは何故かボルトに切り欠きがありここに落ちている時のハンマーが入り込む様になっている。
勿論実銃にはこんなボルトの切り欠きは存在しないが、極初期型(コーンハンマーの頃)でこの部分(切り欠き部)が別パーツになっていた時期があり、それっぽいな、という印象があったので特に気にしてはいないが。
ちなみにハンマー形状はブローバックの方が実銃に近い。固定ガスはストライカーを叩く為に基部がやや突出している。


マガジンの比較。
ブローバック用(左)はガス放出口が赤いシリコンゴムになった。
水平に並べてみたところ、マガジンストップと引っかかる突起の位置・発射バルブ(本体のストライカーで叩かれる部分)の位置が若干異なっていた。
試してみたところ、ただ入れるだけならブローバック用のマガジンを固定ガスに入れる事は可能。逆はマガジン上部が当たってしまい無理だった。
8mm用のスペースに6mm弾を入れたら何発入るのか?ダブルカアラムっぽくしてつめてみたところ、26発入った。ほぼ倍はいける様だ。この位フルートで撃てればかなりの戦力として期待できるのだが・・・
 

実射インプレッション
空撃ちをした印象では、トリガーをゆっくり引くとバーストするとの事だがなるべく一気に引ききる様にしていても3回に1回はバースト(2-3連射)してしまう。
トリガープルも期待したほど軽い訳ではなく、変にネバりがあって重い上に妙なクリック感がありトリガー操作だけする分には「非常に残念」と言わざるを得ない操作感が残る。
また、ブローバックでガスを使ってしまうのだろう。とにかくガスを食う。だいたい20発程度で満タンのガスが終わってしまうので、ほぼ1チャージ1マガジンといったところか。

さんざん家で空撃ちして遊んだ・・・じゃなくてテストしたところで都内某所の貸しレンジにて15mレンジを使い実射。
バーストはやはり相変わらず、というより家ではマガジンをヒーターで暖める事が出来たがそれが無いせいか、ほとんどがバーストになってしまった。
更には給弾がきちんと出来ず、ボルトが戻る際にマガジンから押し出された弾がそのまま排莢口から飛び出してしまいチャンバーに入っていかないという事も時々起きた。20マガジン分以上撃ってみたがお世辞にも調子良いとはいえない状況。当然といえば当然なのかも知れないが、冬場は厳しいようだ。結局まともに単射が出来たのは数える程。
たまたま買い置いていた8mm弾がちょっと重めの0.34gだった所為か、15mのレンジでもHOPをかなりかけないとまっすぐ飛ばない状態であった。でもかけすぎたら上へ浮き上がっていたからHOP機能としてはしっかり効いている事も確認できた。
狙ってゆっくりトリガー引いちゃダメだしガク引きしたら狙えないし、でバースト&HOP調整困難に悩まされ、結局命中精度どころではなかった。とにかく飛び散る!

なるほど、誰も8mmをゲームに持ってこない訳だ、と実感。

ただ、面白かったのが散々8mmを詰めて撃ってした後に6mmを見ると、妙に小さく感じた事だ。45口径の後で32オートいじってるみたいな。
確かに弾の迫力が違うのはわかったけど、愛銃MAXIモーゼルで狙い通り確実に的を弾いていくとやっぱりゲームにはこれだな、と認めざるを得ない。ブローバックフルオートの撃ち応えは無くても、弾道は素直でトリガーもゆっくり引き絞れるし、弾数も存分に多い。

そう、小口径高速弾によるフラットな弾道。これこそがモーゼルである。

この数日間、連日いじりまくって感じたのは、セミが微妙なところ、ガスを食うところは往年のフジミモーゼルを髣髴とさせる感触だ。
が、発射音とリコイルは紛れも無くブローバックガスガンのそれであり、ただ適当に撃ちまくるのであれば楽しい銃である事は間違いない。
別に弾を入れなければ8mmも6mmも関係ないし、空でも十分遊べるという印象を持った。
火薬不要のモデルガン、的なイメージだね。

実銃に近づいた様々の細かなギミックや、迫力ある撃ち応えはかなり堪能できる。
サバゲ戦闘用という事が不要であれば、モーゼルファンとしては押さえておいて損は無い銃だと思う。
使用弾口径とセミオートの確実性、そしてトリガープルの改良がなされれば決定版と呼べたのだが。
まあ、まずはブローバック化に踏み切ったマルシンの決断を評価しよう。

エアーガンデータ
全長296mm
重量1140g
装弾数  13発(8mmBB弾)
作動方式  シングルアクション セミ/フルオート切替式
価格  \19,800
 
 

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