「ボロモーゼル(Bolo Mauser)」


・実銃について
かなりの人が知らない(「ボロいモーゼル?」等と化石化したギャグを言う程度)かと思うので、まず名前の由来から解説しよう。
 
「ボロ」とはボルシェビキの略であり、正式拳銃であったナガン・リボルバーを自動拳銃(オートマチック)に換えて近代化を計ろうとした帝政ロシア軍はモーゼルに4インチの短小型を発注した。
これが後にロシア革命でボルシェビキ(多数派)によって多用されたからとも、ソビエト(ロシア)軍正式拳銃だっ たからそう呼ばれたとも諸説あるが、いずれにせよその後ソビエト軍正式拳銃となるトカレフの使用弾に影響を与えたと共に、独ソ戦初期の頃までロシア革命後 のソ連軍になっても配備されていた拳銃である。

「ボロ」の製造自体は1902年の固定サイト・フラットサイドモデルから1930年の「戦後ボロ」まで数度に渡 り、フレームやサイトが様々なバリエーションにて製造されている。その為、実際にはロシア軍用のみを指す呼び名ではなく、4インチ短小グリップモデルの通 称となっている。
海外の資料によっては「4インチボロバレル付き大フレームの・・・」などという表記に出会う事もある(これは1919年の「フランス警察バージョン」)

勿論、中国軍も大量に発注しており、その為当時の写真にはこの4インチモーゼルは結構出てくるのだ。

・エアガンの改造について
今回「ボロモーゼル」を作りたかった最大の動機は、ある本に出て来た「執務の為自席につくと腰のモーゼルを抜 き、ハンマーをコックして机上に置き帽子でそれを隠す」という1シーンをやりたかったからである。ちなみにこの人は人民解放軍司令員(将校)。当然帽子は 人民帽である。
スタンダードだとどうしてもバレルやらグリップやらが帽子からはみ出してしまい、カッコ良く隠蔽できないのだ。

また、短銃身はデチューンにもつながるのはスタンダードとカービンでの機関部交換実験にて実証済だったので、外観を損なわずどの位パワー低下が図れるかの実験としての狙いももう一つの大きな目的であった。

さて、ボロと通常のモーゼルとの大きな違いは
・バレルが4インチ
・グリップも短くなっている(その為、タイプによってはストック装着溝がない物があるらしい)
事である。

あと、大抵のタイプが
・ステップバレル(ルガーP08やワルサーP38の様にバレル先端部・フロントサイトの辺りが一回り太くなっている)
となっている。

外観的特長はその様なところであるが、グリップ切り詰めについてはストック装着は人参軍将校用正式拳銃としては欠くべからざる物なのでこれはストック溝ギリギリまで削り、あとはその雰囲気を出すに留める事にした。
また、ステップバレルの加工については、スタンダードのスマートな直線ラインが気に入っている為、先端がもったりした感じになる肉厚加工は実施しない事にした(実銃に拘るあまり自分の好みを曲げて何の為のカスタムか?)。

その為、実作業工程としてはバレル切断とグリップ周り切り詰めの2点となった。

・バレルの加工
KMなどの市販カスタムパーツで長さの合う物を流用という手もあるかと思うが、今回はショップを回る時間的余裕も無かったのでとりあえずノーマルバレルを切断した。
手加工の為、カット後に削って断面の水平を出し、今回はバリ取り削りのついでに先端内部も削ってテーパードバレルにしてみた。
同じ事をやってみようという人の為に工程を書き出すと、金ノコで切断した後金属ヤスリで丹念に削って断面の水平 を出す。テーパーについては今回¥100ショップで三角柱のドリル用ヤスリがあったのでこれで形を整え、最終的には切断面・研磨面全てを紙ヤスリ3種&コ ンパウンドで磨き上げた。
ちなみにカット分は当初32mmとしたのだが、水平出しやテーパードにする際に結構削ったので実際の切り詰め量は33mm近くになった。
アウターバレルはインナーバレルとの差分を、根元の方をカットして接着。特に難しい事は無い。アウターバレルは根元から先端に向け、緩やかなテーパーがかかっているので接合部分でも何か加工が必要になるかと思っていたが、特に違和感がなかったのでそのままにしてある。
オリジナル無しに本銃だけ見せると「えっどこ改造したの?」と言われる程なので、おそらく黙ってたら誰も気づかないんじゃないだろうか。

・グリップの加工
今回グリップ周りに関しては、オリジナル通り切り詰めてその代わりストック装着をあきらめるかどうかちょっと悩んだ。
が、ゲーム使用が前提である以上はストックホルスターが飾りになってしまっては本末転倒である。その為、少々グリップが(オリジナルのボロに比べ)大きくなってしまうがストック溝ギリギリまでとする事にした。
その為、グリップエンド部の緩やかなカーブも今1つ再現出来ず直線的になってしまったのが外観的に残念なところ。
もう一点、グリップエンドのランヤードリングも実際に銃をぶら下げられる程度の強度を維持する(お飾りにはしない)事も絶対命題だったので、以下の様な加工を行った。
 1、グリップエンド部を水平(グリップの刻み溝と同じ)に、ストック溝ギリギリのラインで切断する。

 2、切断したパーツをグリップ内空洞部に填め込む形で接着、これによりランヤードの引っ張りに耐えられる強度を維持。
 3、最終的に、削りカスを接着剤で練った即席パテ(ポリパテを買いに行く暇が無かったのと全てを無駄にしない人参軍精神より)にて凹みを埋め、乾燥を待って各種ヤスリにて整形。
猶、この為オリジナルのグリップは当然合わないので自作する事になる。
これはもう、型どおり切り抜いた板をひたすら削って整形して、握りやすく作るのみ。
表面は家にあった水性ニス塗り仕上げ。一応汚れた手で触ったり手の皮で擦れてハゲる事を念頭に、4回塗りを実施した。
折角のグリップ溝がちょっと埋まってしまったが、その分塗装の強度的には満足行くものが出来た。
とにかく、今回の作業中一番時間を食ったのがこの木グリ作成であった(バレル・グリップエンドとも1晩で完了。木グリのみ3晩)。
適当にあった板(9mm厚)を削って作ったので少々厚みが不足し、モーゼルのグリップ特有の「丸い感じ」がやや薄べったくなってしまったのは残念。
これは適当な板材(13mm厚)を見つけ作り直す予定。
当初、どうせ作り直すからグリップ溝は無しにしようかと思ったが、失敗しても良いやと試しに彫ってみると握った感触がまるで違う。こんなところでもモーゼルは偉大であったと再認識させられる一面もあった。

実射性能比較
・初速比較
早速製造完了後、数日前に買って来た新品のスタンダードと比較をしてみた。
条件を揃える為に同じマガジンを使用。また、マガジンを2個用意し各々で比較。

使用弾は全てエクセルの0.2g弾を使用した。

結果、スタンダード(ノーマルバレル)だと約85〜86m/sがボロモーゼルでは80〜81m/sと、約5m/sのパワーダウンを実現した。

欲を言えば70m/s代を目指したかったが、まあ気温によりかなり左右されるのでおそらくちょっと寒くなれば軽くその程度まで落ちるものと思われる。
まあ80m/s程度であればちょっと前の電動並なので、MAXIだからという気兼ねなくゲームで存分に使えるパワーと言えるだろう。

・実戦投入
6月初のゲームで初の実戦投入をしてみた。
事前に15m程の距離の的にて試射をした感じでは、スタンダードに劣るどころか却って弾道が素直で当てやすかった。ただしパワーが低下しているので遠距離を狙う際はスタンダードよりも射角をつける必要がある。
まあそれはタンジェントサイトで容易にカバーできる事なのだが。

結局その日のゲームはスタンダードを一度も使う事なく1日ボロモーゼルだけで行ってしまった。射程距離や命中精 度で不安・不便を感じたらスタンダード投入のつもりでいたのだが、その様な事がただの1度もなかったからだ。結局その後のゲームでも継続してボロのみを使 用しているが、全く故障もなく(当然だね。毎回バラさないと使えないなんてのは真のカスタムにあらず)とても気持ち良く我が手中で敵を狩り続けている。
ただしベースが1年前に発売と同時に買った物なので、それなりに各部にガタは来ており為に「やっぱボロいモーゼルなんでしょ?」等と寒いギャグネタにされてはいるが。

次回は、インドア戦用に3インチ(実銃には無い)なんかも作ってみたいものだ。
 
 

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