日本海戦隊  >  二次作品
傍若無人なデュエット- [1]- [2]- [3]- [4]- [5]- [6]- [7]


(3)喧騒のテューズデー

 放課後、かなめは生徒会室にいた。

 多少の疲れは感じているが、いつもと比べて極端に上回るほどではなかった。幸運にも、昨日感じた危機感は杞憂に終わった。

 気苦労は増えたものの、いきなり騒動が二倍にまで膨れあがる事はなかったのだ。ちはるが宗介と行動をともにしているため、数的には二倍になり得ない。ちはるが行動に移すより先に、宗介が騒動を起こしている。ちはるがトラブルメーカーとしても、宗介以上ではあり得なかった。現状では幸運だと思えるかも知れないが、彼女が去った後も気苦労が続くかと思うと、喜ぶべきか、悲しむべきか……。

 宗介も生徒会室に来たため、さらに二人の部外者もここにいる。持て余したような雰囲気があるのだが、当事者であるはずの三人は全く気にもとめない。

 そして、それは突然に起こった。

 かすかに聞こえたその音に敏感に反応したのは宗介と、ちはるだった。さやかが傍らでびくっと身体を震わせた。

 すかさず立ち上がった二人が顔を見合わせると、すぐに窓際に駆け寄った。窓から周囲を見渡すが、特に異変は感じ取れなかった。

「今のは……?」

「そうだと思います」

 呼吸の合った二人の行動が、妙にかなめの神経を刺激する。

「なによ。うるさいわね」

 だが、宗介はかなめの言葉を無視する。

「会長閣下、緊急事態のようです」

「……どうしたのかね?」

 そこへ、ばたばたとうるさい足音とともに、一年生が駆け込んできた。

「あのっ!いま校内に、強盗が逃げ込んできました!」




『なに〜っ!?』 

 生徒会室の人間が一斉に声を上げた。当然、その中に含まれない人間もいたのだが……。

 生徒会室に呼び集めた目撃者の情報によると、強盗というのは間違いだったようだ。目的は不明だが、拳銃を手にした男が、一年の女生徒を人質に三階の教室に立て籠もったという。他にも被害者がいるらしく、廊下に血痕まで見つかったらしい。

「校長と相談してくる。相良くん少し待っていてくれたまえ」

「了解しました」

 ……?かなめが不審げに宗介を見つめる。なぜ宗介を名指しで引き止めたのだろう?まさか……?




 しばらくして、戻ってきた林水が宣言した。

「この事件は我々生徒会が独力で解決しようと思う」

 あっけにとられた役員達の中で、かなめが真っ先に林水を怒鳴りつける。

「なにをバカなこと言っているんですか!そんな危険なまねできっこないでしょ!」

「物事を成すときに、なんらかの危険は付き物だよ」

「そんな一般論を、この緊急事態に当てはめないでください!」

「いまこそ、我々の危機管理能力を問われているのだ。なにより、こちらには頼もしい安全保証問題担当がいるではないか」

「宗介にまかせたら、どんな無茶をするか……」

「ふむ……、君は相良くんでは無理だと言うのかね?」

「…………」

 言葉に詰まったかなめを、林水と、宗介が見つめる。

 普通の生徒ならあり得ない話だが……宗介だったら話は別だ。むしろ、こんな時にしか役に立たないと言っていい。彼の経験してきた修羅場に比べれば、危険とさえ思っていないのかも知れない。

 それに、宗介のその方面の能力を疑う発言だけは、かなめにはどうしても口にすることができなかった。

「……ソースケならできると思います」

 その返答に生徒会の人間が驚いた。まさかそんな返答をするとは思わなかったのだ。その返事では、林水の提案を飲むようなものだからだ。

「でも、警察もやってくるだろうし」

「この件で警察は動かない」

「だって……」

「この学校で銃声がしても、警察に通報する人間はいないだろう?相良くんの日頃の行動のたまものといえる」

「光栄です」

 すぱんっ!

 すかさずかなめが手にしたハリセンが、宗介の頭を叩く。

「また、警察は学校側の要請がない限り、敷地内に立ち入ることが許されていない。今現在、教師側でこの件を知っているのは校長だけで、私は全権を任されているため、警察は事件の存在すら知らんのだ。目撃者もすべて生徒会で押さえている」

「どうして、そんなに自分達で解決したいんですか?」

「我が校は、春にもハイジャック事件の対象となっている。またもや、刑事事件が起きると、マスコミに何を書かれるかわからない。来年以降、入学を考えている生徒達に、無用な心配を与えたくない……」

「…………」

「と、校長が思っているので、うまく解決できれば生徒会の発言力も増すだろう」

(結局、そこへ落ち着くのね……)

 かなめがうさんくさそうな目を林水に向けた。

「相良くん。私はこのような事態には不慣れなものでね。君に一任したいのだが」

「了解しました」

「人質の生徒の安全は最優先だ。物品の損害については考慮しなくても構わない。好きにやってくれたまえ」

「はっ! ……しかし、人質が素人では行動が予測できず、犠牲になる可能性があります」

「あっさり言うな」

 すぱんっ!

 かなめのハリセンが飛ぶ。

「ただ、人質が信用のおける人間ならば、作戦の成功率もあがります」

「ふむ……。例えば、度胸があり、運動神経がよく、機転が利いて、相手の油断を誘うためにも女性の方が望ましいかね?」

「肯定です」

 簡単に意思の疎通を終えた林水と宗介の視線が、かなめに向けられる。

「ちょっと、イヤよ!あたしは」

「しかし、頼める人間がいないのだ」

「だって、あたしは……」

「千鳥、俺を信用してくれないか?」

「え……?」

「あの時と同じように、俺を信用してくれ。前にも約束したはずだ。君は俺が守る」

 そう言って見つめる宗介の瞳には、一点の曇りもない。

「……あたしにできる?」

「俺が一番信用できるのは君だけだ」

「そ、そう?」

 かなめは胸が熱くなるのを感じた。しかし──。

「なんといっても、君は慣れているからな」

 すぱん!

「なぜ叩く?」

「なんとなくよ」

「……そうか」




 カラ……カラ……。

 中にいる人間を刺激しないように、静かに扉を開いていく。

「……失礼します」

 開けた扉から、かなめが顔をのぞかせる。

「誰だ?」

 窓際で男が少女を連れて立っていた。

 少女はぐすぐすと鼻を鳴らしており、涙の後が頬に残っている。

 それを見ると、かなめとしても、覚悟を決めるしかない。

「あの、その子だと、逃げるときに足手まといになると思いますよ」

「なんだと?」

「可哀想だし、あたしが人質じゃだめですか?」

「……よし、こっちへ来い」

 男は少女を後ろから狙っているらしく、持っていると聞いていた拳銃が見えない。

 かなめが前に来ると、男はそれを投げた。かちゃんと金属音をたてて床に落ちたのは、手錠だった。

「え?」

 人質の少女は、左手をねじ上げられているらしいが、右手は自由のようだ。手錠を彼女に使用しなかったのは、単に必要がないと判断したからだろうか?

「それを後ろ手につけろ」

「わかったわ……」

 仕方がない。入ってきた出入口を振り返りながら、後ろ手に手錠をかけて見せた。

「彼女を離してよ」

「まず、お前がここへきてからだ」

 かなめが少女に並んで立ったところで、少女は解放される。

「あの……」

 さすがに、少女も出て行きづらいようだった。

「あたしのことはいいのよ。志願してきたんだし、不本意だけど慣れてるから。……外の生徒会長に、交代したって伝えておいて」

 夏休みの海での一件を考えると、今の状況ははるかに気楽だ。

 かなめの浮かべた笑顔は、少女を安心させるには十分な物だった。

「ごめんなさい」

 少女が体育館から出て行った。

「お前も変わっているな。他人の代わりに身を投げ出すのか」

 かなめが肩をすくめる。

 実は彼女にもこの行動を起こす理由が、一つだけあったのだ。

 それは、宗介のことだ。宗介の頭の中には、味方と敵とテロリスト予備軍しかなかった。宗介は護衛――または囮――の任務からはずれたらしいが、自分が宗介にとって重要な存在なのは確かだろう。その自分を危険にさらしてまで、見ず知らずの陣高の生徒を助けようとしている。その判断をしたのは、宗介にとって素晴らしいことじゃないか?陣高でのいろいろな経験で成長した宗介が、この学校生活を大切にしたいと思っているなら、自分が手伝わないわけにはいかない。

「変わってるのは認めるわ。まわりにいるのはもっと変な人ばっかりだけど」




 扉を遠巻きにして集まっている生徒達が、少しざわつき始めた。何者かが生徒達を押しのけて扉に近付いていく。

 かなめが入ってきた扉の小さな窓が、妙な影でふさがれた。人影ではない、奇妙な姿。

 扉を開けて入ってこようとするが、その頭部の幅が扉の大きさを超えている。その物体は横を向いて幅を稼ぐと、悪戦苦闘して教室に脚を踏み入れた。

 そこにいるのは、かなめにとってはお馴染みの……。

 ボン太くんであった。

「なんだ、ありゃあ……」

 かなめは男のつぶやきに納得がいく。アレを見て当たり前のように反応できる者は少ないだろう。自分だって事前に聞かされていなければ、驚くはずだ。

 実は、本人にとっては残念なことに、宗介の手元にはボン太くんが余っており、宗介は『こんなこともあるかと思って』生徒会の備品室に常備していたのだという。

 あっけに取られていると、ボン太くんが背中に隠していたショットガンを構えて、いきなり発砲した。

 がしゃぁぁん!

 男の至近距離を飛んだゴム弾が、背後のガラス窓を破った。

 ボン太くんはあきらめたのか、すぐさまショットガンを投げ捨てると、両手を上げてそれ以上反抗の意思がないことを示す。

「ちょっと、危ないじゃないの!」

 男よりも先に怒鳴りつけたのは、かなめであった。

「こいつがびっくりして引き金でも引いたら、あたしがどうなるかわかってんの?プロだったらもう少し、考えてよね!」

「ふも〜ふも、ふもっふ」

 ボン太くんが何かを言おうとしているが、残念ながらかなめにも通じていない。例のボイスチェンジャーが働いていた。

「ったく、もう!」

「お前らふざけてんのか?」

「いえ、そうは見えないかも知れませんが、真面目に対応します。少なくとも、一名ほど」

「つまり、あれは救出作戦の一環なんだな……」

 男の口調に警戒心が含まれたのを感じ取り、かなめがぎくりとした。冗談だと思わせた方が油断させられたはずなのに……。

 ボン太くんがゆっくりとした足取りで、一歩一歩近付いてくる。

 だが、銃口と思われる物を、かなめの背中に押しつけたまま、男は動かない。

 ボン太くんの手はぶらりと垂れ下がったままだ。なんの装備もしていないように見える。かなめはあのぬいぐるみが高度の防弾機能を備えていると聞かされていたので、この時はまだ、ソースケに危険はないと思っていた。

「動くな」

 男の声を無視して、さらに近付く。

 三メートルまで来たときに、男が動いた。かなめが背中に感じていた、銃口の感触が消える。

 ぬうっと、男の右手がかなめの右頬の横に突き出され、銃声が響いた。

 一発目。

 続けて二発目。

 ボン太くんの左胸と、少し下の中央。二ヶ所が深紅に弾けた。

 びちゃっと湿った音がした。

 足を止めたボン太くんが、どこかのんびりした動作で自分の身体を見下ろす。

 そして、ゆっくりと後ろに倒れていった。

 床に倒れた後、一度だけびくっと震えて、……終わりだった。

 …………。

 ボン太くんは動かなくなった。

「ソースケ?」

 返事はない。

「冗談はやめてよ。ちょっと……」

 声がかすれる。

 かなめのなかで、どこか現実感が薄れていく。目の前の光景を現実の物として受け入れたくないためか、夢の中の出来事のようにさえ思えてくる。ぐらぐらと視界が揺れ、まっすぐ立っていることさえ難しくなる。足がかすかに震えていた。

「……そんなわけ、ないわよ。だって、ソースケは強いんだから。こんなとこで死ぬわけない……」

 宗介はあの凶悪な敵でさえ倒してきたのだ。こんな、こんな……。

「ソースケっ!」

 駆け寄ろうとするが、かちゃっと手錠の音がして、かなめの足が進まない。

 男に手錠を握られて動きを封じられているのだ。

「離してよっ! ソースケがっ!」

 かなめの目はボン太くんしか見ていない。そこへ行くことしか考えていなかった。

 身体を揺すって男の手を振りほどこうとする。

 男が拳銃を持っていることもまるで気にならなかった。

「動くな」

 制止する男の声が聞こえた。いや、少年の声だ。よく聞き慣れた……宗介の声?

 かなめが振り返ると、宗介が男の背後に立っていた。

 屋上からのロープが風で揺れている。先程のボン太くんの射撃で割れたガラス窓から進入したらしい。

 背後に降り立った宗介が、グロック19を男の背中に押し当てている。

「降参」

 男は拳銃の引き金から指を離し、それを軽く放った。

 宗介は男を床にねじ伏せると、自前の手錠を取り出して男の両手を背後で拘束した。

 男の所持品を改めて、宗介が驚いた。

「防弾ベスト? こんなものまで着込んでいるのか? 随分、準備がいいな」

「あんたが、相良宗介か? 軍事オタクだって聞いたから、興味があってね……」

「俺に用があるなら、直接来い。いつでも相手をしてやる」

 それを見て、かなめが呆然としている。

「ソースケ……?」

「どうした? 千鳥」

「だって、ボン太くんは?」

「あの中にいるのは天野だ」

「えっ? あの……撃たれたわよ」

「知っている。気にするな」

 あっさりと答えたまま、ボン太くんをかえりみない宗介を、蹴り倒す。

 手錠のまま、かなめがボン太くんに駆け寄る。

 いきなり、横になったままのボン太くんが、ビヨーンとバネ仕掛けの玩具のように、かなめの視線の高さまで飛び上がった。

 ぎょっとしてかなめが少し後ずさった。

 ボン太くんは態勢を立て直して、見事に両足で着地する。

 今のはASでいうジャックナイフ起動だった。転倒時の起動方法として、ぬいぐるみに内蔵されている筋力補助機能でも可能なように、宗介が調整しているのだ。

「ふもっふもふも」

 かなめに向かって意味不明なことを話しかける。

「あの……、とにかく脱ぎなさいよ」

 ボン太くんがその巨大な頭部を外すと、中から眼鏡の少女が現れる。

「ご無事で何よりです」

「あんたこそ、大丈夫なの?」

「肯定です」

「だって……それ」

 ボン太くんの胸の当たりを指さす。

「千鳥。男の銃はモデルガンだ。入っているのもペイント弾のようだな」

 男を気絶させて、宗介が歩み寄ってきた。

「ペイント弾?」

 へなへなと、かなめがその場に座り込んだ。

「……早く、手錠外してよ」

「今すぐか?」

「今すぐ……」

「了解した」

 いきなり宗介の銃が火を噴いた。

 かなめの手錠の鎖がはじけ飛んだ。

「危ないじゃないのっ!」

 すぱん!

 手が自由になると、すかさずハリセンを取り出している。

「ふむ。千鳥も無事なようだな」

「まあね……」

 宗介がちはるに向き直る。

「協力に感謝する」

 右手を挙げて敬礼する。

「いえ、お安い御用です」

 ちはるが、同じく敬礼を返した。

 それを見て、何となくかなめは面白くない。自分だって同じ作戦に参加したはずなのに……。しかし、宗介自身としては、ちはるを部外者と見ているからこそ、礼を言ったに過ぎなかった。

「ですが、ペイント弾だったのには驚きました。予想した衝撃が来なかったので、倒れるタイミングが遅れたのではないかと……」

「問題ない。千鳥まで、負傷したと思いこんだのだから、君は十分な働きをした」

 二人の会話に、かなめが先程の場面を思い出す。

「ふーん。計画的……だったんだ?」

 つぶやいたかなめの表情がこわばったのに、宗介は気づかなかった。

「うむ。敵の目を引きつけなければ、君にまで危険が及ぶからな」

 むしろ、自慢げに宗介が説明するが……。

 すぱん!すぱん!すぱん!

 かなめが繰り返しハリセンを叩き付ける。

「ど、どうした、千鳥?」

「心配したんだからね!」

 すぱん! すぱん! すぱん!

「心配? 君に危険はなかったはずだが……?」

「あんたのことを心配したんじゃないの!」

 すぱん! すぱん! すぱん!

「防弾機能があると、説明したはずだろう」

「あんなの見たら、撃たれたと思うでしょ!」

 すぱん!すぱん!すぱん!

「ペイント弾だとは、俺も予測できなかった」

 すぱん! すぱん! すぱん!

「……千鳥?」

 ハリセンをふるう彼女の目に涙が浮かんでいるのに、宗介は気づいた。

「君を悲しませるつもりはなかった。すまない」

 すぱん! すぱん! すぱん!

 すぱん…………。

「……はあ。はあ」

 息を弾ませながらも、ハリセンを振り下ろすのをやめた。

 気が済んだようだ。

 宗介は向き直って、ちはるの胸の当たりをながめている。

「どこ見てんのよ?」

「むう」

 宗介は手を伸ばして、ちはるの胸をなでた。

「どこ触ってんのよ!」

 すぱん!

「いや、毛皮の状態をな……」

「本物の拳銃じゃなくてよかったじゃない」

「なにを言う。ここまで毛皮が汚れてしまったんだぞ」

「本物だったら、撃たれてたのよ?」

「銃弾程度で損傷するようなボン太くんではない。しかし、この汚れは落ちるかどうか……」

 その赤い着弾痕をみて宗介が嘆いている。

「なんということだ。奴め、装備代に手を抜くからこんなことになるだ」

「拳銃なんて、簡単に手に入るわけないでしょ」

「そこらで買えばいいだろう?」

「え?」

「……コンビニでは、売っていないのか?」

「売ってるわけ、あるかっ!」

 すぱん!

「そういえば、銃砲店を見かけた覚えがないな……」

「何をいまごろ……」

「では、一般市民はどこで武器を調達するのだ? 俺は、なじみの武器商から購入しているが」

「一般市民が持ってるわけないでしょ」

「油断は命取りだぞ。今回のように、危難はいつ襲い来るかわからないのだ。いざというときのためにも、武器は携帯すべきだ」

「だからぁ、拳銃持ってる人間なんてヤクザぐらいよ。持ち歩いてるだけでも銃刀法違反で警察に捕まるんだから」

「…………」

 宗介が凍りついたように動きをとめて。だらだらと脂汗を流す。

「もしかして、知らなかった?」

「しかし、俺は持ち歩いてるし、発砲もしているぞ……」

「だから、撃つなって毎回言ってるじゃないのっ!」

 すぱーんっ!




 暴漢は殴り倒されて、手錠をかけたまま、裏門から放り出された。イタズラに過ぎなかったため、その程度ですますことになったのだ。

「諸君はよくやってくれた。結果的にモデルガンではあったが、君たちがなした事の評価が落ちるわけではない。諸君の勇気、知恵、行動力は称賛に値する。結果論になるが、警察に知らせなかったのも、正しい判断だったようだ。慰労の意味を込めて、皆に食事でもおごるとしよう」

「ありがとうございます」

 宗介が返答する。

「しかし、モデルガンに気付かないようでは、今回のような騒動が再び起こりかねません。軍事教練を行い、生徒達には実物の拳銃の知識を、覚え込ませるべきではないでしょうか?僭越ながら自分が教官として……」

 すぱーんっ!

 ハリセンの音が高らかに響いた。




 ──つづく。




あとがき

オリジナルキャラが2名もいるのに、ほとんど話に絡みませんでした。

かなめが多少、弱くなっていますが、こんなことがあってもいいのでは? 現実に射殺される事態はあり得ないので(あるとすれば最終回か?)、やってみました。








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