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地上最強の高校生  -(前編) -(中編) -(後編)


地上最強の高校生(後編)


 〇〇〇〇時――。

 ビルの正面にトラックが迫る。

 ごく普通の、荷台の側面に魚屋の名前が表示されているトラックだ。

 至近距離となっても、まったくそのスピードを緩めようとしない。

 それも当然だろう。トラックの目的は正面入り口を突破することにあるのだから。

 がしゃーん!

 防弾と思われるガラスを破壊して、トラックがビル内に突入する。

 タイヤを軋ませて、トラックが停止した。

 さすがに、ビル側の対応も早い。

 30人近い人間がトラックを包囲する。通常の警備員とはちがい、その手に所持しているのは、ショットガンやサブマシンガンである。

 運転手の姿は見えない。幌に覆われた荷台から、アクセルやハンドルの操作をしていたのだろう。

 周囲の状況を理解していないのか、トラックの荷台からのっそりと異形の存在が降り立った。

 犬かネズミかわからない顔。おしゃれな帽子に蝶ネクタイ。

 無骨なサブマシンガンとショットガンをそれぞれの手に携えていた。

『ふもっふーっ!』

 それは彼の怒りの咆吼であった――。

 

 

 

 優が正面ホールに到着した時、すでに銃撃戦は開始されていた。

「くそ、なんだありゃ……!?」

 目の当たりにして、優が呆れる。

 場違いにも程がある。

 戦場よりも、遊園地こそがふさわしい。襲撃者はなぜか、ボン太くんの着ぐるみを着込んでいるのだ。

 だが、そんな感想などすぐに吹き飛んだ。

 ショットガンを乱射する敵に、セキュリティの部隊が応戦を開始する。

 誰もが、自分の目を疑った。

 銃撃がまるで通用しないのだ。

 あえて襲撃戦に運用するぐらいだから、あって当然の防弾性能である。だが、誰もがその見た目に騙された。

 それも仕方のないことだろう。着ぐるみと銃撃戦をした経験がある人間など皆無なのだ。

 こちらが防弾ベストを着込んでいるのに気づいたのか、ボン太くんはゴム弾に切り替えて警備兵を無力化していく。

「ちっ!」

 優が一階のホールに飛び降りた。

「どういうつもりだ?」

 このタイミングだ。この襲撃者の正体は彼にも想像がつく。

『ふもふも〜ふもるふも!』

「は? なに言ってんのか、全然わからねーぞ」

『ふもるっふも、ふぅも!』

 もどかしそうに、ボン太くんが主張する。

「だから、わかんねーよ!」

 ボン太くんはわずかに頭部をあけて、顔を覗かせる。

 優の予測した顔がそこにはあった。

「どういうつもりだ?」

 優の問いに、宗介は平然と答える。

「戦闘を望んだのは貴様の方だ。戦いを回避したいなら、千鳥かなめを解放しろ」

「どうしてもやる気なのか?」

「言ったはずだ。それを選択するのは、貴様らだ」

「そんな着ぐるみひとつでどうにかできると思っているのか?」

 優の挑発だったが、宗介は毛筋ほどの同様も見せない。

「……一つだけ教えておこう。この機体はただのボン太くんではない」

「ただのじゃない……だって?」

 ボン太くんに、普通も、特別もないだろう。

 呆れ顔の優に、宗介が告げた。

「この機体は、ν(ニュー)ボン太くんだ」

 

 

 

 宗介の向けたショットガンからゴムボールが打ち出される。ヘビー級ボクサーのパンチ力に匹敵する威力。

 それを優は、腰だめに構えた拳で破壊してのけた。

 他の警備兵たちは同じ攻撃を受けて、昏倒しているというのに。

 優が着込んでいるジャケットは、彼の属している〈アーカム〉が開発した超科学の結晶なのだ。

 AM(アーマード・マッスル)スーツ。

 オリハルコン(精神観応金属)製の外皮と人工筋肉は、優の思念に応じてその行動を補助する。その出力は、常人の30倍にまで及ぶのだ。

 優の動きは速い。

 あの防弾性能で、あの運動能力。

 残念ながら、優の来ているスーツはボン太くんよりもはるかに基本性能が上のようだった。

 

 

 

 一方、優の方でもボン太くんの防弾性能に舌を巻いていた。

 銃が無力だと知り、優はナイフを取り出す。

 通常、防弾ジャケットはナイフによる攻撃を防げない。彼にとって、それは当然の判断だった。

 引き抜いたのは、AMスーツと同じオリハルコン製のナイフ。それも、強度だけを優先して製造された危険な代物だった。

 優がボン太くんめがけて走る。

 その接近に気づいているはずのボンがくんが足を止める。左手に持っていたショットガンをなぜか裾の下へとしまい込んだ。

 優に向けて突き出されたのは、銃を持たない空の手だ。

 しかし――!

 これまで優を生かし続けてきた直感が働いた。

 理性や感情を越える本能。

 自分をかみ砕こうとした牙を、優は直前に察知していた。

 その場にとどまる危険を知り、横へ跳ぶ。

 優が踏み込むはずだった空間が弾けた。横へ跳んだ優は、その衝撃を受けて壁へ叩きつけられる。

「――これは!? まさか、サイコキネシス(念動力)か!?」

 優は以前にも人工的に強化された念動力者と戦ったことがある。あのボン太くんには同じ装置が組み込まれているのかもしれない。

 ボン太くんの左手が、壁により掛かっている優に向けられる。

「チッ……!」

 舌打ちした優がその場を離れる。

 ベキィッ!

 見えないなにかで、壁が破壊された。それは人体には耐えられない攻撃だろう。おそらくは、AMスーツであっても。

 牽制もかねて優はマシンガンをボン太くんに向ける。

 弾幕の向こうで左手が優を追う。

 間一髪、優は不可視の攻撃をかわしていた。

 

 

 

『ふも、ふもるっふ(くそ、なんてヤツだ)』

 宗介がボン太くんの中で悪態をつく。

 νボン太くん――春先から、宗介と共に帝国華撃団へと出向扱いとなっていた機体である。

〈ミスリル〉研究部の協力により製造されたνボン太くん。その最大の特徴はラムダ・ドライバの搭載にあった。操縦者の思念に応じて、虚弦斥力場を生成し、擬似的な物理力をとして行使できる装置。

 空間に直接作用する目に見えない力。

 驚くべき事に、それを優は直感だけで全てかわしているのだ。

 恐るべき生存本能。

 恐るべき身体能力。

 しかし、宗介は一つだけ考え違いをしていた。

 優が反応できるのは、直感だけが原因ではない。宗介が思念を凝らす、その瞬間に生じる殺気を敏感に察しているのだ。

 ボン太くんは手にしていたサブマシンガンを、優に向けて放り投げる。

 自棄になったとしか思えない無意味な行為。その軌道を見切って、優が軽くかわす。

 そこへ――、力が発生する。

 サブマシンガンが破壊され、破片が四散する。

「ちっ――!」

 鉄片を受けて、優の手からナイフがこぼれ落ちた。

 優の意識が床に転がるナイフに向けられる。

 まずいっ!

 優の身体は逆方向へ飛んだ。

 ナイフの手前の空間が弾ける。優がナイフを拾い上げようとしていたら、直撃を受けていただろう。

 幸い、ナイフを握っていた右腕のダメージも少ない。

 ナイフなら、もう一本持っているが、接近できなくては、意味がない。

「やってくれるぜ……」

 優自身も戦いの展開に不安がある。見えないものに対する警戒は、精神的な重圧が大きい。それに、感じられたとしても、回避が間に合わない可能性もある。

 能力者ならば精神的な疲労を待つ方法もあるが。……いや、そんな、不確定要素を期待できない。

 こうなったら、力づくで……。

 優が精神を集中する。

 体内にためた気を右手に集中させていく。

 ボン太くんの左手がこちらへ向けられる。

 その瞬間に向けて、優が感覚を研ぎ澄ませる。

 ――くる!

 宗介の生み出した不可視の斥力弾を、優の意識が確実に捉える。

 右手に込めた精神エネルギーを解放した。

 サイコ(精神)ブロー。

 彼が身を包んでいるAMスーツは、着用者の気を蓄積して、敵にぶつける事が可能なのだ。

 優は真っ向から、ラムダ・ドライバを打ち破ることを決断したのだ。

 斥力弾とサイコブローが激突する。

 限定された空間に、異なる二種の力が叩きつけられた。

 衝撃が流れ出す。

 一点に凝縮された力が、逃げ場を求めて荒れ狂ったのだ。

 空気が、空間が軋む。

 おそらくは、建物自体も優れた技術で造り上げられたに違いない。

 それでも、発生した力の方が強かった。

 彼等の踏みしめた床がたわんだ。

 頭上を覆う天井がうねった。

 構成する素材ではなく、空間そのものが歪む。

 ぐんっ!

 ふたりの身体が一瞬浮いた。

 足下にあったはずの床が消えていた。地下へと陥没したのだ。

 さらに、天井が砕け散り、無数の破片が降り注ぐ。

 

 

 

「く……」

 宗介が周囲を伺う。

 状況は悪い。

 瓦礫が彼の行動を妨げる。機動性はむこうが上だ。そのうえ、時間がヤツに味方する。

 この建物にいるのは全て敵だ。そのうえ、ヤツに手間取っている間に、千鳥が移送されてしまうかもしれない。

 動こうとして、宗介が気づく。ボン太くんの右足の反応が鈍いのだ。どうやら、着地に失敗したらしい。

 自問する。

 時間を優先して、攻撃に転じるか。

 動く危険を考慮して、時間を犠牲にするか。

 思考を追っていたはずの宗介の視線が、一点で止まる。

 そこには――。

 

 

 

 足音を忍ばせて、優もまた気配を探っている。

 ボン太くんの体躯を考えれば、小回りは効かないはずだ。

 他にもデメリットはある。

 身を潜めるにはどうしても、不向きなのだ。着用者がどんなに注意を払っても、気づかない部分が出てくる。

 そう。こんな風に。

 優がそれに気づいた。

 瓦礫の向こうに、ボン太くんの耳がかすかに覗いていたのだ。

 天井がまだ残っていたため、その一角は暗がりとなっている。身を潜めるのに向いているはずだった。ボン太くんさえ、着込んでいなければ……。

 悪いな相良。

 殺しはしないが、動けないようにしてやる。

 優がもう一本のナイフを取り出す。

 優が瓦礫を回り込んで、ボン太くんへ迫る。

 ざっ!

 床を蹴る。

 ボン太くんに動きはない。

 もしくは、動けないのか……。

 オリハルコン製のナイフが、ボン太くんに差し込まれた。毛皮を突き破り、右肩にその刃が深々と潜り込む。

 その瞬間──。

 ぞくりと、優の背中が総毛立った。

 殺気だ。

 真上っ!

 優の頭上から宗介が降ってきた。

 その手には、先ほどの攻防で優が落としたナイフが握られている。

 宗介の狙いは、優の頭部だ。

 優が慌てて左腕を持ち上げる。スーツに覆われていた二の腕にナイフが突き刺さっていた。

 刃が腕を貫通し、激痛が走る。

 血が溢れた。

 だが、それでも優は動かない。優は片腕を貫かれながら、宗介の体重を受け止めているのだ。

「バカなっ!?」

 驚愕の表情を浮かべる宗介に、優は右手に握るナイフを走らせる。

 宗介はわざとバランスを崩して、優の左側に降り立ち、自分を襲うナイフから距離を取ることに成功する。

「くそ……、まさか囮とはな……」

 優にとっても信じられない思いだ。

 学校での戦いで、宗介自身にサイコキネシスに類する力が備わっていないことは予想できる。つまり、あの能力はボン太くんに搭載されている機能に違いないのだ。

 だというのに、身を守る鎧にして最強の武器を手放して、宗介は囮として使ったのだ。

 おそらくは、一瞬の勝機を得るために。

 

 

 

 優がナイフを振り上げて襲いかかる。

 二本のナイフががっちりと噛み合った。

 A・Mスーツの力は凄まじく、片腕の優に宗介ははじき飛ばされた。

「ぐぅっ」

 壁に激突して宗介がうめく。

「殺しはしねぇが、病院のベッドで悔やむんだな」

 再び迫る優に、タイミングを見計らって、宗介が銃口を向ける。

 唯一、スーツに守られていない頭部に銃弾をたたき込んだ。

 優はとっさに両手で頭をかばう。

 宗介はすれ違いざまに、浅くナイフで斬りつけていた。

「そう簡単にはいかんぞ」

「そのようだな」

 

 

 

 御御苗優は強い。

 卓越した戦闘技術と、危機回避能力。

 だが、自分はすでにボン太くんを脱ぎ捨て、最大の勝機も失った。

 もう、勝ち目は残されていない。

 いや……。

 確かに、ヤツは強い。それは認めよう。

 だが、だからこそ、このままではまずい。

 マオやクルツがかなめを救出するためには、ヤツが障害となる。

 なんとしても、ヤツだけはこの場で排除しなければならない。

「たいしたもんだ。だが、もう気は済んだだろ? もう、観念するんだな。すぐに、俺の仲間が駆けつけるぜ」

 それは宗介への降伏勧告である。

「俺はまだ生きている。千鳥を貴様の好きにはさせん」

「……退く気はないってわけか?」

「無論だ」

「そうかよ……」

 優がナイフを手に走った。

 だが、宗介は両手をだらりとたれ下げたまま、動こうとしない。

 静かな目で、優の接近を見つめている。

 すまない、千鳥……。

 どうやら、一緒に帰ることはできないようだ。

 優がナイフを突き出すタイミングを見計らって、宗介が動いた。

 優がAMスーツを着ている以上、自分の身体能力では追い切れない。

 だが、優のナイフが届く距離。それは、宗介のナイフが届く距離でもあるのだ。

 宗介は己の身体を餌に、優を誘った。

 回避行動を取らずに、ナイフを突き出す。

 自分の死すらもいとわず、優への攻撃を優先したのだ。

「くっ!?」

 優は、さすがに宗介を殺そうとまでは考えていなかった。傷を負わせて戦いを諦めさせるのが目的である。

 それを相打ちだと!?

 慌てて左へかわそうとすると、宗介のナイフが一閃した。

 優の右の頬が浅く切り裂かれた。

 勢いを殺せずに、瓦礫の上を転がる。

 身を起こした優が宗介をにらんだ。

「てめぇ! 死ぬ気か!?」

 その考え方が許せず、宗介を怒鳴りつける。

「……違うな。死ぬつもりだったのではない。貴様を殺そうとしただけだ」

 また、失敗した。

 もう、先ほどのような隙は見せないだろう。

 ここまでか……。

 そう考える。状況は理解している。勝ち目もない。

 だが、納得できない。

 この身体はまだ動くのだ。

 自分から諦めないこと。それを彼女に教えられたはずだ。

 自ら戦いを放棄するわけにはいかない。

 御神苗優には勝てないだろう。だが、その強さを、いくらかでも削ぐことができれば、それは無駄ではない。

 手でもいい。足でもいい。……せめて、骨の一本でももらうとしよう。

 それが、後に続く仲間への助力となるはずだ。

 くるがいい、御神苗優。簡単には殺されてやらんぞ。

 

 

 

「中止だ、中止。もうやめろ」

 誰かが制止する。

 崩落した穴のふちで、一階部分からかなめと隣に並ぶ金髪の人物がこちらを見下ろしている。

 クルツ……?

 そうではなかった。

 クルツよりも若く、表情に緩みがない。

「ジャン? どういうつもりだ?」

「そいつは、〈ミスリル〉だとさ」

「なんだって!?」

 優が驚きの目を宗介に向ける。

「俺達は〈アーカム〉なんだ。そっちも退いてくれ」

「なに!?」

 宗介もまた呆気にとられる。

〈アーカム〉だと……? 

 二人がお互いに視線をぶつけ合う。

「なぜ、それを先に言わないっ!?」

「なんで、先に言わねーんだよっ!?」

 二人がお互いの襟首をつかんで怒鳴りあった。

 

 

 

〈ミスリル〉では〈ウィスパード〉と呼ばれる存在がもたらすブラックテクノロジーの拡散を防ぐことも、重要な仕事の一つだ。

 アーカム財団というのは、古代文明が残した超科学を封印するために活動している組織である。

 どちらも時代を超越した科学力を危険視する組織であり、行動理念がよく似ている。

 それも当然で、〈アーカム〉というのは〈ミスリル〉設立時の出資元の一つなのだ。

「そうか……、貴様はスプリガンだったのか」

 アーカムの誇るS(スペシャル)級特殊工作員――通称〈スプリガン〉。その名は宗介も耳にしていた。

 スプリガンの中に、”地上最強の高校生”と呼ばれる人間がいることも噂では聞いてはいた。てっきり、当人の若さを揶揄して名付けられたとばかり思っていたのだ。

 それが、まさか――。

「本当に高校生だとは思わなかったぞ。任務と無関係に、高校へ通うとは一体何を考えている?」

 古代遺跡を対象としている彼等には、「特殊な事情をもつ学生の保護」などという仕事はないだろう。

 宗介に限らず、誰もが疑問に思うはずだ。

 平穏な生活の繰り返し。それは、戦争屋にとってあまりに無意味な行動だろう。

「余計なお世話だ。俺の勝手じゃねーか! 俺はな、戦争ばかりの人生なんて、ゴメンなんだよ。学校ってのは、俺が人間であることを実感できる大切な場所なんだ。誰にも文句は言わせねぇ」

 優がそう口にする。

「――っ!?」

 その言葉に、宗介が反論できようはずがなかった。

 たとえ世界中の誰もが優の意見に異を唱えたとしても、宗介だけには優の気持ちがわかる。

 戦場に生き、戦闘しか知らない人間にとって、平和な学生生活が、どれほど暖かく、輝かしいものか……。

 優の主張はまさに、宗介自身の心情と、まったく同じものなのだ。

「そうだな……。よくわかる」

 真剣な表情で頷かれて、かえって優の方が面食らっていた。

 

 

 

 宗介とかなめはその場で解放された。

 後日、〈ミスリル〉からは正式な謝罪と補償があるはずだ。

 宗介自身にもなんらかの罰則は適用されるかもしれない。

 さすがに、宗介にも性急すぎた意識はあるので、上官にかけあうつもりはない。

 並んで歩いているかなめが尋ねる。

「ソースケ。あの人、強いの?」

「強いな」

 宗介の答えにかなめが驚く。宗介が手放しで褒めるなんて珍しい。

「ソースケよりも?」

「ああ、俺よりもだ」

 宗介が負けを認めているようで、かなめはなんとなく面白くない。

「宗介は一人だったんだし、条件が悪かっただけよ」

 なんとなくかなめは弁護してしまう。

 だが、宗介は首を振った。

「いや……、ヤツは強い」

 宗介がかすかに笑みを浮かべる。

 境遇が似ているからだろうか……。

 ああいう男と出会えた事が嬉しく思えた。

「なにしろ、ヤツは……」

 まるで、後ろに当人がいるように、宗介が振り向いた。

「……ヤツは、地上最強の高校生だからな」

 

 

 

 ──『地上最強の高校生』おわり。

 

 

 

 あとがき。

 やはり、優≧宗介というのが、適度なバランスでしょう。

 御神苗優は、この後、AMスーツを捨てて、超人化していくので、宗介との差は開く一方です。

 実質的に、宗介と優が戦うべき理由は全くなかったため、あえて、全力で戦わせることにしました。

 殺気を感じることで、攻撃をかわすのは『ARMS』を参考にしました。








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