知香のサバゲダイアリー
−−−初心者入門講座−−−

得物撰びは慎重に (第一章:東国立志編の3)

カケル:では、いよいよサバゲ必需品のエアーガン他をここで調達します。

金子:待ちたまえ。サバゲやるに当たって真の必需品はテッポーではない。

カケル:しっ知ってますよ。ゴーグルだって言いたいんでしょ?
でも、ゴーグル買いに行きまーすって言っても盛り上がらないから・・・

林当家:カケルの言う通りだね。
未経験の人からすればBBガンで撃ち合うのがサバゲだ。
そのイメージに沿って、楽しく選びながら最終的に必要なモノが全て揃うならそれで良い。

ここではまずエアーガンを決め、周辺アクセサリー、そして最後にとても重要なゴーグルを選んでみようか。

カケル:全部終わったら併設のシューティングレンジに移動して、私の試射時間も下さいね。

林当家:おう、合点承知の助だ。

知香:今日は何をお持ちなんですか?

カケル:M3グリースガン。先日、ミタカ野戦病院からやっと全快退院したので。

知香:えー知らないなー。M4の前の銃ですか?

紅中兵:フォッフォッフォッ。そう思うのも無理はないねえ。
我々的には「戦国自衛隊の銃」「薬師丸ひろ子の銃」として一世を風靡したのだが。

林当家:「カ・イ・カ・ン・・・」ですな。
同じ事させてもらいなよ(笑)

知香:はーいやってみまーす。いろんな銃使ってみたいですし。

紅中兵:なっ、ななみんがあの1シーンを・・・(ゴクリ)
絵的に想像すると、連載3回目にしてファンが激増しそうだ(笑)

金子:オッホン、明日の2ゲットより今日の1ゲット。
ささ、お買い物を始めましょうか。

林当家:こっからは俺の出番だな。さて、知香ちゃん買いたい銃は決めてるかい?

知香:うーん、サイトでいろんなの見てたんですけど、実際に触った事はないのでまだ決めてません。
どんなのが良いでしょうか?

林当家:気になってたのはある?

知香:正直なところ、みんな同じに見えて違いがわからなかったので「コレ」ってのはないんです。

林当家:まーそんなモンだよ。

知香:長いのや短いのやいろいろとありますが、何がどう違って皆さんは選んでるんですか?

林当家:実は、電動だったら性能的にはほとんど一緒。
ごく短い物だと銃身が短くなるので若干「初速(銃口からBB弾が出た瞬間の速さを示す。エアーガンのパワーを示す物差し)」が低い物があるけど、後はほとんど同じと思って良い。

厳密には、銃身とシリンダー容量の関係からバランスが良い物(AK等)があったり、メーカーが初めから初速を高めに作っているので遠距離射撃性能が良いとされる物(M14シリーズ)があったりするけど、じゃあこれら以外だと明らかに不利なのか、といえばそんな事はない。
その性能差を感じるにはそれなりの腕も必要だよ。
ちなみに、AK−47はウチのページでも何故良いのか紹介してる。単なる装備に合うからという単純な理由だけじゃないんだ。

だから、長いのが好きだとかH&Kがかっこいいとか、好みで選んで構わないのさ。

知香:と言われても、知識がないと選べないですよー。ホントに見た目だけで選んじゃって大丈夫?

林当家:よしよし、じゃうちのチームで初心者や女性に貸し銃として良く使っているコレはどうかな?

知香:Vz61?ハンドガンですか?

林当家:違うよー。これでもSMG(短機関銃)なんだぜ。
サイズ・重さ・取り回し、どれをとっても小柄で非力な知香ちゃんにぴったりだ。
値段もこの店なら2万円切ってる。普通の大きい電動ガンの半額近くだしね。

知香:これは電動ガンじゃないんですか?
小さいって事は威力も弱いとか?

林当家:れっきとした電動ガンだよ。「コンパクト電動」と呼ばれるジャンルだがな。
最近のシリーズである「次世代電動」と同様にコネクターを使用しないバッテリー構造はメカに弱い女性でも扱いやすいと思う。

確かに、大きい電動ガンと比べたら威力はちょっと落ちるが、そんなにひどく差がある訳じゃない。

んー、例えて言うなら、威力がある方が良いからといって、自分一人で引けない様な強弓を渡されて戦えると思うかい?
その代わりに、威力は劣るが容易に引ける小弓があったら、どう?

知香:確かに、いくら威力があっても1発も射れなければ自分がヤられてしまいますね。
弱弓でも射続ける事が出来れば戦い続けられます。
弱い分はたくさん射るとか、近づいて射ればカバーできますし。

林当家:そう、その通りだ。
重くてバテたり、取り回しにモタついてやられたりしちゃうんだったら、まずこの銃を使ってその性能の限界を感じるまで使い込んでご覧。その上でこういう性能が欲しい、ってのが見えてきたらそれに適合した銃を選べば良い。

知香:はーい。

林当家:ま、このVz61の利点は他にもある。知香ちゃんには専門的過ぎるので慣れてきたら説明してあげるけど、興味があったらココを読むと良いよ。

知香:わっかりましたー。愛称は「スコーピオン(蠍)」なんですね。
「女囚さそり」なんつって。

   一同:何故それが出てくる!

金子:まっ、まあ一同落ち着いて。
メインウエポンが決まったところで、関連するアクセサリーや消耗品を買わねば。

林当家:おう、そうだな。
まずは予備マガジン(弾倉)だ。ノーマルマガジン(標準的な物・装弾数は100発以下)をたくさん買ってもマガジン交換に慣れないと隙を作るだけだから、とりあえずの1本でこれを買っとくと良い。

知香:クッキーの缶みたい。これは?

林当家:ドラムマガジンという。370発入るから1ゲームこれ1つで十分遊べるよ。本体に付属の奴は弾が切れた時の繋ぎとして使えば無駄にならない。

カケル:まず大丈夫とは思いますが、バッテリーも1つ買っとくと安心ですよ。

金子:普通だとこれら予備マガジン・バッテリーを入れる為のポーチ類を買うんですが、先ほど進呈した雑嚢に全て入りますから、今日は買わなくても良いです。

知香:んじゃ、そうしまーす。

林当家:続いて弾だな。
うちのチームはいろんなところに出撃するので、最も汎用性がある0.2gのバイオ弾を買おう。

知香:???
それってどういう物ですか?

林当家:重さと、構成物質の種別だよ。
重さは、最近一般的なので言うと0.12g、0.2g、0.25gがある。

0.12gは低威力のエアーガン用だ。普通のエアーガンに使っても、軽いから運動エネルギーがすぐになくなって飛距離も伸びないし風の影響を受けてすぐバラケてしまう。

0.25gは逆だ。ただし値段は割高になるし、フィールドによっては0.2gまで制限をしているところもあるから、特に必要でなければ買わなくて良いよ。

0.2gはその中間、多少命中誤差は出るがそこそこ安いので、フルオート(連射)メインにゲームをするなら大抵の人はこれを使ってる。

カケル:0.25gはスナイパーライフル等、1発の価値を大事にする銃向けですね。
もちろん普通の電動に使っても効果ありですが、弾代が割高になりますので・・・

紅中兵:私も0.25g使ってるよ。ま、現時点ではフルオート使わない人向けの弾って捉えてれば良いんじゃないかな。

知香:はーい。まずは慣れるまで撃ちまくっちゃうと思うので、安い弾にしておきます。

林当家:続いて種類の説明だ。
バイオ弾ってのは土中のバクテリア等の影響で分解され、自然に還る物質で作られている物を言う。
他に生分解とかエコなんとかとか、メーカーによって違う名前を付けているところも若干あるが、基本は「バイオ」と言われているね。

バイオじゃないのは何かというと、いわゆるプラスチックで出来た弾だ。
厳密に言うとこれも自然に還らない訳じゃないんだが、分解方法やかかる日数が違う事から区別されている。

それと、「セミバイオ」と呼ばれる物もある。袋に「自然に優しい」なんてあいまいに書いてるのもこの類かな。
人によっては「セミバイオ」のジャンルを認めないケースもあり、特に「セミバイオはおk」と触れていない場合、一般的に「非バイオ」に含められる。

いずれにせよ、知香ちゃんは「バイオ弾」と明記のある物を選ぶ様に。

知香:はーい。わっかりましたー。
バイオなんて、なんか洗剤みたいですね。(クスッ)

カケル:かっ可愛い!

林当家:バイオ弾は湿気や紫外線の影響に弱い。劣化が進んじゃうから保管時はナマモノのつもりで取り扱ってね。

紅中兵:私は非透明のペットボトルで保管してるよー。口も市販のBB弾ボトルより大きく開くので多弾数マガジンへの給弾も楽なんだ。

金子:主席のはマッコリボトルじゃないすか。

紅中兵:そう、マッコリも発酵食品だからね。もっとも日本で売られてるのは発酵を止める処理をされてるから関係ないけどな。

林当家:いいねーマッコリ。また大久保いきましょう!

カケル:下平さんは未成年ですから。
話のほう続けましょうよ。

林当家:メインウエポンが決まったところで、普通は次に「サブウエポン」又は「サイドアーム」と呼ばれる予備銃を選ぶのだが・・・

知香:だが・・・何ですか?

林当家:ハンドガン選びはその人の個性が色濃くでるので、好みが固まる前に選ぶのは難しい。
また、ガスガンは電動とはまた違ったメンテナンスが必要だし、ガスや専用マガジンまで揃えると結構な額になる。

必要性と買った後の手間を考えると、まだ無くても良いんじゃないかと思うんだ。
或いは本当の予備的な意味でコッキングを1つ買っておくか、だな。

知香:よくサイトで「手コキ」と呼ばれてる奴ですか?

林当家:その通りなんだが、もともとその呼び名はアダルトな用語から来てるので、女の子が使うもんじゃない。

知香:そっそうだったんですか(ポッ)

カケル:へえー。タメになるなあ。

林当家:さて、コッキングは最近の「ハイグレード」シリーズならどれを買っても性能的に大差はない。
というより、かなり良いぞ。
腕さえあればこれ1丁で電動ガンを倒す事も可能だ。

知香:すごいですね。蟻が象を倒すみたいな。

紅中兵:んーそれほどでもないけどな。

金子:別に主席を褒めたんじゃありませんよ。
確かに、コッキングなら予備マガジンも当面無くても大丈夫ですし、後々に人参軍主催ゲーム復活の折りにはまた「コッキング限定戦」もあるでしょうから、1つ何か持ってると良いでしょう。

今、ここに良い年した大人が4人います。
どうでしょう、1人5百円づつ出して、何か1丁プレゼントしてあげては?

紅中兵:うん、イイヨー(スリムクラブ風に)

カケル:では、銃種は我々で決めさせてね。M1911A1!

林当家:我同意!

紅中兵:良いとこ突くねー。同意!

金子:では、満場一致でガバという事で。

知香:えー、何かいきなり、良いんですかホントに。ありがとうございますぅー。

林当家:じゃサイドアームも決まったな。ホルスター(ハンドガン入れ)は・・・

カケル:人参雑嚢に入りますよ!専用ポケット付きです!

林当家:おう、じゃこれで解決だ。
それと、さっきの店で買わなかったグローブだね。この辺にあるよ。

知香:何故必要なんですか?

林当家:簡単に言って、滑り止めと指先(特に爪)の保護だね。
あとは手の汚れ防止にもなるかな。
厚くてゴワゴワしたり手に合ってなくて指先が余ったりしてると使いにくいから、ちょうど良いサイズを選ぼう。
それと、指先が抜けていて先端が出るものがあるが、これは選ばないように。
上で述べている指先の保護が出来ないし、爪に直撃したら割れちゃう恐れもある。
女の子にとって「爪が割れる」ってのはかなりの痛手だろ?
それに、被弾以外でも手を着いたり藪漕ぎをしたりして、爪に傷がついたりネイルが剥がれたりしちゃうぞ。
よく「指先の細かい作業が出来ない」とか「マガジン交換がしやすい様に」等と言われているが、そんなものは練習で慣れる事!
まあ、手のサイズにあったグローブを選ぶことで細かい作業(マガジン交換含む)のし易さはだいぶ緩和されるので、そのつもりで選んでご覧。

知香:はーい。じゃ、これにしまーす。

林当家:では、いよいよ本日のメーンエベント、ゴーグル選びに行こう。

知香:あの鉄仮面みたいな奴ですか。

金子:殊更にそういうの選ぶ人もいるよねー。
でも、自分の目や顔を守る大事な道具だから、こればっかりはちゃんとした物を選んで欲しい。

知香:具体的には何を買ったら良いんですか?

林当家:実は、大きく2種類あるんだ。クリアータイプとかレンズタイプと呼ばれる物と、メッシュタイプと呼ばれる金網状の物だ。

知香:どっちが良いんですか?

林当家:一長一短がある。メッシュタイプは曇らないのだが、視界が少し暗くなるので森林等の暗いフィールドで不利になる。また、もしゴーグルを直撃した弾が割れたら破片が中に入ってくる事もある。

知香:ええー!割れるものなんですか?

林当家:昔々、現行の法規制が制定されるまえは自主規制で現在の規制値よりも高めに設定しているチームもいて、そういうところでは希にあった様だ。

現在の通称1J規制(※1)でパワー上限が厳しく定められたので、その危険性はなくなったと思ったのだが・・・最近のバイオ弾全盛で、劣化した弾が割れる事があると聞いている。

知香:コッワーイ!

林当家:幸いにして我々はそれを経験した事は無いし、身近にそうなった人もいない。
だが、だからといって危険性が皆無な事にはならないので、そういう事も起こり得るという話をした上で選んでもらっているんだ。

実際問題として、それが起こる確率はかなり低い。遠距離からのヒョロ弾では割れる事はないだろう。
弾が劣化しているなら当たる時より前、発射の瞬間に割れちゃうだろうしね。
うちのメンバーのカタヤンが良くマガジン内で割れたのが詰まって困ってたよ。
すごく近くで、かつゴーグルが撃たれて、かつその弾が(劣化している等で)割れ、しかもその破片が網の目より小さい、という条件が揃ったなら、という話だ。

ま、メッシュにはそういったデメリットがあるという事だ。

続いてクリアータイプ。こちらは破片の心配は無いのだが、
・曇る
・傷が増えると見え辛くなる
・ファンで曇り止めをすると、うるさい
といったデメリットがある。

特に、曇り対策は永遠のテーマだな。
2重ガラスでも曇る時は曇るし、待ち伏せの時等はファンの音がすごく気になるし。
この辺を嫌ったベテランは、上記リスクを知りつつもメッシュタイプを選んでいる。

知香:悩みますねー。
例えば、主席は何をお使いですか?

紅中兵:最近はメッシュが多いねー。
でも、荷物に余裕があれば両方持っていくよ。
ファンをHIで回すとウルサいけど、その代わり曇り一気に解消出来るのでマルイのプロゴーグルを使うね。

知香:そうなんですね。
じゃ、私もプロゴーグルにしようっと。

林当家:うん、それならフェイスガードも付いてるから安心だな。

顔全体を覆うタイプでないと、例えば唇にあたって切れたとか歯を折ったとかいう事が起きかねない。
フェイスガード自体はサンセイから単品でも売ってるので、もし違うゴーグルを選んだら別立てで購入するというのも手だ。

ココでも解説してるので、読んでおくと良いぞ。

知香:安全性については、確実にしておきたいですね。

林当家:そうだ。例えば自分が撃たれた側で、唇を切って流血したとする。自分は覚悟の上だし、気にしてないと言う。
勿論撃った側には何の悪意もなく、ゲームの中での事故であるにも関わらずでも「唇切れちゃったなあ。痛そうだなあ」と、自己嫌悪に陥っちゃう人だっている。
そんな相手の気持ちも考え、防備は出来るだけしっかり確実にした上でゲーム参加する事を心がけて欲しい。

知香:はい、勿論です。

紅中兵:この間のゲームで、ゲット後に相手が女の子と知って「やべー、オレ女の子撃っちまったよー」と何か妙に萎縮してる人がいたよ。
普通にゲーム参加者なんだし、特にゲロ痛がってた訳でもないから問題ないと思うんだけど、それでも気にする人がいたって事で。

知香:へええー。
でも、私は女であることを利用して勝ちたくはないですっ!

紅中兵:ならばよし!

金子:今度は蒼天航路ですか。では・・・
あなたの徳の器はまことに計り知れない。大いなる敬意のもとに私の武の器をお示し申そう!

林当家:はいはーい。ま、これでゴーグルも決まったな。

金子:さて皆さん、これで一通り揃ったのでは?

林当家:そうだね。じゃ知香ちゃん、待ってるからお会計しておいで。

知香:ハーイ!何か思ったより買い物の品数が少ないけど、これで十分なんですよね?

カケル:ハッハッハー。大丈夫、実戦で納得する筈だよ。
それにもしフィールドであれが必要これが必要って物があっても、僕たちが貸してあげられるから心配ないって。

知香:わかりました。では行ってきます。


(数分後)

知香:いつもと買ってるものは違うけど、お買い物楽しいっ!

カケル:あ、終わったね。じゃあシューティングレンジに移動するよ。

知香:「薬師丸ひろ子プレイ」ですね。

カケル:ノーゥッ!誰かこの娘を止めてー!

紅中兵:まあ、似た様なもんだろう。

カケル:レンジは1番か。さてさて・・・

知香:あっその赤いギンガムチェックの袋って!
私、AKBの何かだとてっきり思ってました。

カケル:そう、M3グリースガン入れさっ。

知香:なんというアーバンカモ。

金子:いつの間にそんな言葉を!
カケル、そういう趣味があったんだ・・・

カケル:ちっ違う!違うんです!
これは主席が故障封じのまじないとして・・・ねえ主席って、いなくなってるし!

林当家:ホントだいつの間に。相変わらず神出鬼没な人だな。


(その頃、別のレンジでモーゼルを撃ちながら)

紅中兵:戦いとは常に2手3手先を読むものだよ、カケル君。



次回、知香のお部屋にて・・・


【解説】------------------------------------

(※1)1J規制について:
知香:ところで、さっきお話の中に出てきた「1J規制」って何ですか。

金子:私が答えましょう。2006年8月に施行された「準空気銃の規定」と呼ばれる規制のことだよ。
この時、わかりやすく説明すると0.2gの6mm弾換算の場合で0.98J(約99m/s)を越えるものは「準空気銃」として所持を禁止することと定められた。
ちなみに違反すると銃刀法違反となり、罰則は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」である。

林当家:それまで、メーカーの自主規制は当初0.4J(0.2gの初速で63.5m/s)だったのだが、それが次第になし崩しになっていった。例えばマルイ電動第一段のFA−MAS初登場の頃、初速は70m/s程度だった。今のコンパクト電動並だよね。
それが段々と80m/s台・90m/s台と上がっていき、いつの間にかメーカーでもパワーを売りにする様になっていった。
マルシンのMAXIスタームルガーが「初速105m/s!」って値札に書かれていたのを見たことがあるし、またマルイだってM14の初期ロットの中には1J(100m/s)を越えている物があり、買って来て箱出しだけど計測した結果、使用禁止にした事もある。

まあ、この辺は例外としてもメーカーはだいたい1Jを自主規制枠の目安としていた訳だが、例えば電動ガンやボルトアクションライフルはスプリングを変えただけで初速を上げることができる。ガスガンでもバルブを交換するなどしてガス流量を上げることでパワーアップが出来たので、ちょっと機械がいじれるゲーマーならカスタムと称して自分でパワーアップを図る事が容易だった。
また、そういったいじった銃をゲームに投入したくてボルトアクションライフル優遇・軽機優遇などの名目で、チームのルール(レギュレーションと呼ぶ)を1J以上にしていたチームも多かった。

だから、先ほどの規制が始まってあわててパワーダウンのカスタムを行ったり、元のパーツをなくしてしまって戻せないから手放したり、中にはゲーム自体を辞めてしまったゲーマーも結構いた。

そんな中でも人参解放軍は結成当初から変わらずパワー制限を「1J未満」と定め、「ゲームの楽しさはパワーとは比例しない」を提唱して楽しいゲームの探求を続けていたんだ。
そのお陰で、人参解放軍は全く何も変わることなくチーム運営と活動を続けてこれたんだ。

紅中兵:うむ、我が輩の政治的先見性を示す1事だね。

金子:こればっかりは認めざるを得ませんな。
初速120m/sを誇るボルトアクションライフル相手でも、60m/sそこそこのフジミモーゼルで挑み勝利を重ねて「パワーは関係ない!」を実証し続けてきたのですから。

紅中兵:ちなみに、この時は相手チームはパワーの高いレギュレーションだったのだが我々は人参解放軍レギュレーションで臨んだからこの差が生じたんだよ。「我々はパワーは低いレギュレーションに合わせる。だってその方が安全だし、それでも戦えるから」としていたんだ。

金子:当時の主席の考え方については、それを批判する声もあったと聞きました。

紅中兵:左様。「ボルトアクションは単発だから不利だ。だからパワー優遇しないと公平ではない」という考え方が当時は支配的だったからね。
周辺チームでも元々は1Jまでだったものが、レギュレーションを変更してボルトアクション優遇にしてしまったところが多かった。
そういうチームがウチ主催のゲームに来る時はパワーを落とす方に揃えなくてはいけない。だから同じにしろと随分言われたものだ。

でも、私の考え方はこうだ。
「自分が好きでボルトアクション使ってるんだろ?だったら有利だ不利だと銃の成為にしないで戦い方を工夫して勝利してみせよ」と。
だって、言い方を変えたらそれは「オレはこの銃が好きだ。これで戦いたい。でもあれができない・これができないがあるから有利な条件をくれ」と物乞いしている訳だからね。
私からすれば恥ずべき言い訳以外の何者でもない。

そしてどちらが正しかったか。正に歴史が証明してはいないかね?

少なくとも今、知香ちゃんの前にいる人参解放軍メンバーはこの「好きな銃で戦いたい。だから、有利不利を銃の成為にしない」という事の意味を分かっている人たちだ。
それが果たして思想だけ・口だけかどうか、実戦で見て判断してくれたまえ。

知香:わかりました。初ゲームがとても楽しみです。
そんな皆さんと轡を並べて戦いに臨めるなんて、私は果報者ですね。

カケル:うーん知香ちゃん、セリフがカッコよ過ぎ!
君って一体・・・?


サバイバルゲーム初心者・女性向けの解説

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