「go to!」シリーズ in 媚薬:2





「『ゴドーさん……抱いて下―――』」
「ぎゃぁぁっ! 無駄に似すぎてるんですよ!!」
 再び、強制終了。まだ啼かされていないのに、既に涙目な成歩堂。
 コチラ系でゴドーに抗っても、得られるのは疲労だけ。諦めの悪い自分の性格は嫌いではないが、対ゴドーだけは路線を変更した方が良いのかもしれない。
 がっくり項垂れた成歩堂を、ゴドーはゆっくり腕の中に収めた。
「なぁ、まるほどう。言っちゃくれねぇか…? 俺はアンタに、求められたいんだ」
 求めるのは、いつもゴドーの方から。くっつくのも、愛を囁くのも、キスするのも、アクションはゴドーが先行。成歩堂だって、撥ね付けたりはしない。むしろ含羞んでも、冗談で嫌がっても、結局は嬉しそうに受け入れ、想いを返してくれる。
 けれど。
 男でありながら受け身な状態への引っかかりや。羞恥や躊躇いや。どれも腹を括ればクリアできそうなモノを、未だ成歩堂はクリアできないでいる。これまでは、苦笑しつつも許してくれているゴドーの寛大さに甘えていたが。
 逆の立場で考えてみれば、恋人が自分を求めてくれない、というのは歯痒く感じて当然だろう。
「つまらねぇ、男の意地だがな。…叶えて、くれよ?」
「・・・・・」
 こんな時でも、成歩堂の薄情さを責めるのではなく、ゴドーの我が儘という形を取ってくれる。
 その思いやりに、応えたいと思う。思っている。けれど、いつも応えられないでいる。
 しかし、こんな切っ掛けがあれば。正攻法ではないものの、『告げる』事ができるかもしれない。
 本当は、言いたかった想いを。
「……ミルクは多目にして下さいよ?」
 だから、成歩堂は決意した。こうなったら、媚薬でも強壮剤でも呑んでやる、とずれた気合いを入れて。



 男気を出した成歩堂ではあるが。
 必ずしも、媚薬の力を借りる必要はない。例えば、1・2ヶ月交渉を控えれば。成歩堂とて健全で健康な成人男性であるし、抱かれ慣れた身体が欲求不満になって求めるというフラグが立つ確率は高い。
 なのに穏当な方法を取らないのは、ゴドー自身が禁欲できないからだ。
 その辺りを成歩堂が気が付けば、この事態も逆転できたかもしれないが。生憎、エロ親父との付き合いは長いのに、未だトンと疎い成歩堂はそこまで思い至らない。
 故に、またまたゴドーの餌食になってしまうのである。御愁傷様。



「僕は、コチラにします」
「じゃあ、俺は残ったアロマをいただくぜ」
「え?何で、ゴドーさんまで呑むんです?」
 二分の一の確率で言わなくて済む、と思った成歩堂は甘い。
 そんな訳がない。これまでイロイロな目に遭わされているのに、まだ、ゴドーという男を分かっていないのだろうか?
「俺が魔法にかかった場合は、コネコちゃんに『抱いて下さい』って言わせちゃうのさ!」
「なら、選ばせる意味は何処にあるんですかっっ!?」
 当たり前すぎる点を突っ込んだが。
 数分後。心底嘆きつつ、冷めかけたカフェオレを飲む成歩堂の姿があったとか。


 
                                         

*ここで、一応意味のある選択です*
 媚薬を呑んだのは、

こんなお遊びをするから、アップが遅くなってしまうんだよな…