日本海戦隊  >  二次作品

キャンプへ行こう!

 放課後。

 二年四組の教室で、めいめいが帰り支度をしていた。

 そのうちの一人の少女が、ある男子生徒に声をかける。

「ソースケ。週末の予定ある?」

 かなめは買い物の予定を立てていて、彼を荷物持ちにつきあわせようと考えていたのだ。報酬には、自分の手料理。宗介にとっても、決して損な取引ではないはずだ。

 しかし――。

「あるぞ」

「え? そうなの?」

 思わず聞き返す。

 まさか、宗介に用事があるとは思わなかった。

「俺から言い出したことなので、日程を変更するわけにもいかん。すまないが、君の用件は来週以降にしてもらえないか?」

「ふうん。どんな予定なの?」

「キャンプだ」

「キャンプ?」

 

 

 

 この土日は、陣代高校は休みだった。

 寝起きのかなめがぼーっと外を眺めていると、見覚えのある人間が道を歩いていた。

 一人は、クラスメートの相良宗介であり、もう一人は眼鏡で三つ編みの少女──隣のクラスの天野ちはるであった。

 大きめのリュックを背負って、ふたりが連れだって歩いている。

「キャンプの相手って、天野さんなの?」

 知らずに、声に出ていた。

 同じクラスで親しい信二もオノDも同行しないと聞いていて、不思議に思っていたのだ。

 まさか、女の子が相手とは思わなかった。

 それも、発案したのは宗介らしい……。

 

 

 

 もやもやとしたものを感じて、かなめが慌てて部屋を出た。

 マンションの前で、一人の少女とばったりと出会う。

「高城さん?」

「かなめさん。おはよう」

「あ、うん。おはよ」

 高城さやかは先ほどのちはると同じく二年三組の人間であり、二人の少女は同じ部屋で暮らしているルームメイトでもある。

「高城さんは、キャンプじゃないの?」

「私は用事があるから、いかない。ちはるだけなの」

「あのふたりを野放しにするのは危険じゃないの?」

 慌てて尋ねる。

 宗介は幼年時代に中東の紛争地帯で暮らしているため、戦場での常識が身体に染みついている。それは、平和な日本には当てはまらないことが多く、銃撃や爆破を繰り返す物騒なものだ。

『平和ボケ』ならぬ『戦争ボケ』の少年なのだ。

 さらに、同行したちはるもまた似たような人間で、二人が揃うと、ツッコミ不在でボケまくりの状態となってしまう。

「でも、キャンプは山の中で、他には誰もいないから大丈夫」

「え、ふたりっ……きり?」

「うん」

「それも危ないんじゃないの?」

「そう?」

「だって、その、キャンプって、山に泊まるんでしょ? 男女がふたりっきりでって、その……」

「それが、どうかしたの?」

「そりゃあ、宗介が何しようと、私には関係ないけど……」

「なのに、気になるの?」

「別にそういうわけじゃ。えっと、……う、うはははは」

 不意に笑い出されて、さやかがきょとんとする。

「それで、どうしたの?」

「…………」

 平然と追求を再開されて、かなめが言葉に詰まった。

 これが親友の恭子ならば、追求を諦めて――控えてくれるのだが、さやか相手では通じないようだった。

 こいつ……。以外に手強いかも……。かなめはそんな風に考えた。

 

 

 

 かなめが悶々としながら、それでも駅前に足を向けると、ある光景が視界に入った。

 二人連れがアウトドア用品店に入っていったのだ。それぞれ、リュックを背負った男女である。

 こそこそと物陰に隠れながら、かなめが店への接近をはかる。

 店内の様子を伺うと、ちはるがあれこれ手に取って、宗介に話しかけている。応対する宗介の態度が妙に親切に見えた。

 なんとなく、イライラしながら見つめていたかなめの耳元に、誰かが声をかけた。

「なにをしてるの?」

「きゃああっ!」

 突然話しかけられて、かなめが驚きの声を上げた。

 相手は、先ほど顔を合わせたさやかである。

「な、なんで、こんなとこいるのよ?」

「なんでって、聞かれても……。マンションから、千鳥さんをつけてきたから」

「つけてきた? どうして?」

「相良さんから、不在の間に、護衛を変わってくれって頼まれたの」

「……え?」

「さっきもそのつもりで、部屋を出たところだったから、千鳥さんの方から出向いてもらってラッキーでした」

「じゃあ、さっさと声をかければいいじゃないの!」

「だって、急いでるかと思えば、物陰に身を潜めるし、挙動不審だから」

 さやかの指摘ももっともだった。怪しい行動をみて声をかけるのにためらう気持ちは理解できた。

 自分の行動を振り返って、かなめが真っ赤になった。

「どうかしたの?」

 さやかが不思議そうに、かなめの見張っていた店の中へ視線を向ける。

「えっと、あたしも山に行こうかな……」

「え? ……なんで?」

「だから、その……行きたいのよ! ……急に山でキャンプするのもいいかなって」

「それは、やめた方が……」

「あたしが行ったらまずいわけ?」

「きっと、後悔すると思う」

「……後悔させてもらおうじゃない」

 かなめが胸を張って答えた。

 

 

 

 山道を、二人の少女が歩いている。

 すでにかなめは後悔していた。

 乗り継いだ電車から下りて、すでに1時間以上山道を歩いている。

 考えてみるとキャンプなど何年ぶりのことやら。

 さやかは平然と先を進む。以外に慣れているらしい。それとも、身体の鍛錬も怠っていないのだろうか?

 後をつけていたはずの、宗介とちはるは、荷物を抱えていながらもずんずんと進んで行き、今では二人の後ろ姿すら視界に映らない。

「千鳥さんは、あきらめた方がいいんじゃない?」

 善意で行っているのだろうが、どうも癪にさわる。

「気にしないで」

「でも、まだ半分も行ってないから、下りる方が早いし」

「…………」

 それを聞いて、かなめがげんなりしてしまう。

 

 

 

 今、宗介は息を殺して、身を潜めている。

 彼は、先ほどから敵の気配を見失っていた。

 装備の面で比較すると、数的にも質的にも敵の方が上だ。うかつに動くわけにはいかなかった。

 警戒していた宗介の耳に、かすかな物音が届いた。

 枝を踏む音が無防備に近づいてくる。

 こちらの存在に気づいていないらしい。

 宗介が回り込むように、その音源に迫った。

 もうそろそろ、この茂みの向こうを通る……。

 がさっ!

 宗介が茂みを突っ切って、通過した敵の背後に回り込む。

 すでに銃弾はつきているため、グルカナイフを引き抜き……。

 振り向いた相手の顔を見て、宗介の動きが止まった。

「……なぜ、こんなところにっ?」

 そこに立っていたのは、かなめであった。

「ソースケ?」

 かなめも相手を確認して、ほっと息を漏らす。

 ぱしゅっ! ぱしゅっ!

 水のはじけるような音ともに、宗介の左のこめかみに赤いしぶきが散った。二回続けて。

 宗介が左手をあげて、自分のこめかみに触れる。指先が赤く染まったのを彼は確認した。

「くそっ!」

「ソ、ソースケ……」

「どうした?」

 平然と宗介が答える。

「撃たれたんじゃないの?」

「撃たれたぞ」

「なんで、そんなに平然と……」

「訓練用のペイント弾だ」

 がさがさと草をかき分けて、撃った相手が近づいてきた。天野ちはるである。

「わたしの勝ちですね」

「むう」

 ちはるはポケットから携帯電話を取り出して見せた。

「先刻、さやかから近くに来ている旨、連絡を受けました。こちらの状況を説明すると、相良さんの隙をつけるように、チャンスを作ると」

「確かに、お前の勝ちだ」

「やはり、千鳥さんは、最大の弱点になるようです。これからも気をつけてください」

「うむ。自覚している」

 深刻そうにうなずいた宗介のそばで、かなめが顔を赤くしていたが、二人とも気付いてはいなかった。

「あんたたち、一体、何しに来たのよ? サバイバルゲーム?」

「訓練キャンプだと言わなかったか?」

 その返答にかなめがのけぞった。

「……く、訓練キャンプ?」

「そうだ」

「そうです」

 宗介とちはるが、ごく当然のようにうなずいてみせた。

 

 

 

 本来の宗介の仕事は傭兵である。そして、『かなめの護衛』を命じられた彼は、戦場以外の生活を初めて体験した。

 その日々は、彼に、人とのつききあいの楽しさや、平和な生活のぬくもりといった、彼が知らなかったことを教えてくれた。彼自身が思っているとおり、それはかけがえのないものであった。

 しかし、残念ながら、その生活は彼の一番優れた牙を鍛える事ができない。

 かねてから、宗介は「自分の腕が鈍るのではないか?」との懸念を抱いていたため、実戦に即した訓練を望んでいたのだ。

 部隊の本拠地であるメリダ島に行きさえすれば、どうとでもなるのだが、なんといってもメリダ島は遠い。時間もかかれば、金もかかる。

 そこで、このキャンプである。

 宗介より戦闘技術こそ落ちるものの、ちはるもまた同じ組織に属しているプロだ。訓練相手に丁度いい。能力の差は、装備のハンデをつけて調整することにした。

 二人にとっては、純然たる訓練にすぎなかったわけだ。

 

 

 

 かなめとさやかがテントのそばで待っていると、日没後に二人が戻ってきた。

 なぜか宗介はワイヤーで足を縛った兎をぶらさげている。

「ちょっと、かわいそうじゃないの。なにやってんのよ?」

 駆け寄ったかなめが宗介に詰問する。

「途中で捕まえてきた」

「どうするの? この子」

「君は腹が減っていないか?」

「そうね。もうそんな時間だし」

 宗介が、ナイフを取り出した。

「では、手早くサバくとしよう」

「サバく?」

 かなめが何気なく質問する。

「食べるんだ」

「……ちょ、ちょっと! 待ちなさいよ。ウサギを食べるの?」

「肯定だ」

「却下よ」

 食材にこだわる方ではないが、やはりウサギは食べる気にならない。たとえ、『贈呈品イーター』と呼ばれるような自分であっても、それは遠慮したかった。

「なぜだ? うまいぞ」

「ウサギなんか食べられないわよ」

「何を言っている? 十分食用にたえられるぞ」

「だれも物理的な話をしてるわけじゃないの。心理的に食べられないっていってるの」

「以前、食中毒になった経験でもあるのか?」

「食べたことがないの!」

「食わず嫌いはよくない。そのような食生活をしていると、栄養がかたよるぞ」

「誰もウサギで栄養を取ろうなんて思ってないわよ」

「むう」

 宗介が困った顔で腕組みすると、代案を口にした。

「仕方ない。リスにするか」

「却下!」

「なぜだ?」

「なんで、あんな可愛い動物を食べようとするのよ。別なのにしなさい!」

 宗介は再び熟考すると、こう提案してみる。

「……では、蛇にしよう」

「イヤよ!」

「あれは可愛くはないだろう?」

「可愛くないからダメなの!」

「基準がわからん」

 宗介がうめいた。

「君は好き嫌いが多すぎる」

「それを、好き嫌いって言わないでよ!」

 かなめが怒鳴った。

 囚われのウサギは、幸運にも、飢えたる人間の手を逃れ、森の中へと還ることになった。

 

 

 

 結局、食材は鳥になった。

 ただの『鳥』であって、かなめはそれ以上の詳しい情報を聞かなかった。

 夕食の献立はシチューとなり、かなめの腕もあってか、その味は絶品であった。

 特に鳥の肉が。

 

 

 

 食事を終えた宗介とちはるは再び山の中へと姿を消した。

 夜戦として、もう一戦まじえる気のようだ。

 かなめ自身は戦闘訓練など参加するつもりはない。さやかもここまでやってきたのは、護衛対象であるかなめにつきあってのことだ。参加するそぶりも見せない。

 当然、かなめとさやかのふたりだけが取り残されることになる。

 さやかは生来の性格なのか、ぼけーっとしているのも苦にならないようだ。しかし、かなめは違う。直情径行で動いていないと気が済まないところがある。

 ふたりの会話はあまり弾まず、宗介を話題にしても「知る資格がない」ときた。かなめはさやかの相手にうんざりしはじめていた。

 

 

 

 やっと、宗介とちはるが戻ってくる。

 ふたりは満足そうな表情に見える。

「それでは、また明日」

「うむ」

 ちはるの言葉に宗介が頷いた。

「それじゃ」

 さやかもかなめに声をかけた。

 ちはるとさやかが、一つのテントに潜り込む。

 きょとんとしていたかなめが、はたと気がついた。

 テントは二つしかなく、そのうちの一つに情報部のふたりが入ってしまった。

 残るのはテント一つと、自分と宗介だ。

 …………。

 驚いて宗介の顔を振り返るが、相手はなにも感じていないのかきょとんと見返している。

 宗介と一緒に、同じテント?

「ちょ、ちょっと、待ってよ」

 かなめの声に、閉じられたテントの口が再び開く。

「何か?」

 ちはるが不思議そうに尋ねる。

「なんで、こんな組み分けになるの?」

「順当だと思えますが?」

 ちはるの判断は当然だろう。

 テントは三人ではさすがに狭いので、ふたりづつが望ましい。

 もともと、ちはるとさやかはコンビを組んでいるし、同じ部屋で生活している。一方、かなめは、宗介とよく行動を共にしているし、ちはるたちと親しいわけではない。事務的に判断すれば、そういう仕分けになるのが当然だった。あくまで個人の感情を考慮しなければ……。

 これが、宗介とふたりきりで、テントがひとつなら、かなめも自分を納得させやすいのだ。

 ところが、テントが二つ。他の人間も居る。この状態では、宗介と一緒という選択はかなめに選べるわけがなかった。

 宗介と自分で間違いがあるとは思えない。

 思えないのだが……。

「テントを使用する組み分けを変えない?」

 そう主張してみる。

「ふーん。いいけど?」

 さやかが頷いた。

 かなめは、自分を見ている彼女の目が笑っているように思えた。自分の本心を見透かされた気がする。かといって、諦めるわけにもいかない。

「それでは、どうしますか?」

 ちはるがかなめに尋ねてきた。

 皆の視線が集まる。

 かなめが言葉に詰まった。

 実際、この場で反対しているのはかなめひとりきりだ。他の誰も異論がなく、特に主張することもない。かなめさえ納得すれば、それでいいのだ。おそらく、彼女が決めたとおりの組み合わせでテントが使用されるだろう。

「…………」

 では、どうするか?

 自分と宗介。これは、ない。

 すると、宗介とこのふたりのうちどちらかということになる。

 そう考えて、ちょっとだけ鼓動が高まった。

 宗介とさやか。危険な気がする。かなめにとって、さやかの行動は一番予想できない。彼女が「ボケ」なのは理解しているが、「天然」なのか「故意」なのか判断できかねるのだ。そのうえ、全部理解した上で、平気で無視しかねない。

 宗介とちはる。妙に息の合うところがあって、そこが気になる点だ。しかし、 ふたりとも恋愛感情などにうとい。このふたりは、かなめが考えている「間違い」自体を理解できていないかも知れない。

 決まった。

「じゃあ、あたしと高城さん。ソースケと天野さん。これでいい?」

「かまわんぞ」

「うん」

「了解しました」

 他の三人がうなずいた。

 睡眠をとることだけしか考えていないため、三人の感想は淡泊なものだ。組み合わせになど、まるで興味がなさそうだった。

 

 

 

 翌朝──。

 もぞもぞとかなめの傍らで何かが動いた。

 さやかが着替えている。

 その気配を察して、かなめも目が覚めてしまった。

 寝起きでぼ〜っとしたまま、彼女は小川の水で眠気を払いにいった。

 

 

 

 かなめがそのテントに呼びかける。

「ソースケ。起きてる?」

「肯定だ」

 宗介の声。

「朝食なんだけど……」

 かなめが、テントのチャックを開き、中を覗き込んだところで、動きを止めた。

 そこには半裸の男女の姿があったのだ。

 手前では、こちらを向いて、上半身裸になっている宗介。

 奥には、背中を向けて、ブラジャーまで外していたちはる。

「どうかしたのか?」

 宗介が平然と尋ねる。

「あ、あんたたち、い、一体……」

 かなめはそれだけ言うので精一杯だ。

「服を着ているところだ」

 宗介が正確に答えた。

「…………」

 言葉を失っているかなめを、宗介が不思議そうに見返している。ちはるも不審に思って振り返った。

 そのとき、初めてかなめはちはるの素顔を見た。

 伊達眼鏡を外して髪を下ろしたちはるは、かなめの目から見ても魅力的だった。実は、さやかの助言もあって、わざと彼女は目立たないように、眼鏡や三つ編みで野暮ったく装っているのだ。

 ちはるの白い背中には、古傷がいくつかあった。ピンク色に盛り上がった傷が、かなめには妙になまめかしく感じられた。

 かなめの鼓動が早くなる。

「なっ、なにやってんのよ! あんたたちっ!」

 思わず怒鳴りつけていた。

 問われた二人がきょとんとして、お互いの顔を見た。

 かなめに向き直って、宗介が口を開く。

「着替えだが?」

 平然と答える。

「……え?」

 まぬけな声をかなめが漏らす。

 向こうでは、ちはるも頷いている。

 自分の勘違いにかなめは真っ赤になった。

 

 

 

 その日の訓練が開始された。

 ただ、待っているのもつまらないので、かなめも訓練に参加した。

 宗介に守られる標的として行動し、ちはるの攻撃から逃げるのだ。

 山の中をイヤというほど走らされたり、地面に伏せて泥だらけになったり、何度もロープを縛って指先を痛めたり、彼女はさんざんな目にあった。

 さやかの忠告以上に、彼女は後悔することになったのだ。

 しかし、これでかなめは必要な知識をいくつか覚えた。彼女自身が窮地を脱するのに役に立つに違いない。

 

 

 

 帰りの電車の中。

 宗介とかなめが並んで座っている。

 宗介は平然と、かなめはどこか不機嫌そうに。

「君は怒っているのか?」

「どうして?」

「なんとなくそう思えた」

「別に怒ってないわ」

 かなめはそう答えたが、宗介は納得していない。しかし、重ねて追求しても、彼女の機嫌を損ねるだけだ。そのぐらいは、宗介にもわかってきた。

「キャンプはつまらなかったようだな」

「そうね。来るんじゃなかったわ」

「…………」

 宗介が言葉に詰まる。言いたいことはあるが、言わないでおいた。

 そもそも、キャンプに彼女は誘っていない。彼女には、来るべき理由もなかったようだ。

 なぜ来たのだ?

 不思議に思ったが、今聞くのは得策ではない。彼はそう判断した。彼女の不機嫌の理由はわからないが、妙な刺激をしてはこちらに矛先が向きかねない。

「…………」

「…………」

 ふたりとも無言になった。

 どことなくぴりぴりとした気配に、宗介が身じろぎする。

 宗介とかなめは並んで腰を下ろしていた。

 そして、宗介の外側にちはるが、かなめの外側にさやかが座っていた。さやかとちはるはふたりとも眠っているようだ。

 ちらっとかなめがちはるを見た。

 珍しくちはるは無防備そうに見える。宗介の肩に頭を乗せて安らかに眠っている。

 反対側に目を向けると、さやかもまた、かなめに寄りかかって眠っている。

「…………」

 なんか、このふたりって、好きになれそうもないわ。

 かなめはつくづくそう思うのだった。

 

 

 

 ──『キャンプへ行こう!』おわり。

 

 

 

 あとがき。

 宗介とちはるの模擬訓練は当初からネタとしてありました。しかし、私自身がミリタリーに詳しくないので、のびのびになったうえ、さらっと流してます。

 私は、話が面白くなりそうなので、作中には「赤いペイント弾」がよく登場します。しかし、血との見分けがつきづらいので、訓練での使用には制限されている気がしますが……どうなんでしょう?








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