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1:温泉に行こう!




 硬質で鋭い爪は、胸から下半身を駆け抜ける悦楽の痺れをもたらし、爪でこれだけ感じてしまうのに本当にゴドーの勁い歯で噛まれたら、どれだけ己が恥ずかしい嬌声を上げるのかが容易に想像できて、成歩堂は何度も頭を振った。
「さあ、コネコちゃんのお気に入りは何か、教えてくれよ?」
「…んん……ぁ!」
 上半身を近付けたゴドーの劣情しきった旋律が、成歩堂の耳へ注ぎ込まれる。
 同時に滾ったゴドー自身が開かれた足の付け根へヒタリと接触した為、上下からの刺激に全身が戦慄いた。
 成歩堂の正直な心情と言えば。
 疼いて達する寸前の分身を滅茶苦茶に揉みしだかれるか、痛くても構わないから、ゴドーの熱い楔で手加減なく貫かれていっそ正気を奪い去って欲しかった。
 ――こんな羞恥に、いつまでも嬲られるよりは。
 ねっとりと視姦され、逐一成歩堂の反応を言葉で告げられ、恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないのに。
 羞恥から生じた熱が、このままゴドーの責めを受け続けたら、何か別のモノに変容してしまいそうで恐ろしかったのだ。
 だが、成歩堂にそんな赤裸々な要求ができる筈もない。
「ゴ、ドー……さ……っ」
 だから足先を小刻みに動かしてシーツに皺を作り、苦しげに眉を寄せ、乱れた息の下からゴドーの名を呼んで声にならないまま切望するのが精一杯だった。
「残念な事に、コネコちゃんからのリクエストはないようだな…。なら、俺の好きにさせてもらうとするか」
 ゴドーに成歩堂の願いが伝わらない筈はないのにそう嘯き、狙いを定める為、朱い眼を眇める。
 瞬間ぞわりと走った悪寒は的中し、ゴドーが選んだのは、成歩堂の希求とはかけ離れた箇所だった。



「何度も舐めたり触ったりしてるのに、ココの色合いはちっとも変わらないなぁ?」
 詳細な色彩が識別できなくとも濃淡は分かるから、ゴドーはしばし触れもせず、じっくりと2つの蕾を眺めた。
 その視線すら前戯に等しいと知っていながらわざと成歩堂を追い詰め、それから指の腹でついっと先端だけを掠める。
「ぁあっ」 
 ゴドーが標的に定めた、尖りつつあった胸の飾りは、熱い眼差しと苛める言葉と羽根のような接触だけでたちまち芯が入り、じっとしていられない程の疼きを喚き始めた。
 少し荒れた堅い指先で摘み、指の間で転がし。もう一方の手は、忙しなく隆起する筋肉を辿る動きで揉みしだいている。 
「は―ぅ……!」
 無反応でいられない成歩堂は喉に絡んだ呻きを漏らしたが、すぐきゅっと唇を噛みしめた。
 自分のものとは信じられない、発情を露わにした響きを、これ以上聞きたくなかったから。
「……も、ぅ…や…め……」
 食い縛った奥歯の隙間から、拒否の言葉だけを送り出す。
「痛くはしてねぇだろう…?」
 もっと優しくしてほしいのかい?と白々しく問いながら、たっぷりと唾液を含ませた舌で宥めるように包み、殊更繊細に吸い上げる。
 そんな風にされては、嬌声を抑える努力など儚く霧散してしまう。
「あ…ぁっ!」
 成歩堂の縛られた両腕が撓り、ギシ、と重い筈の座卓が引き摺られて動く。
 ゴドーが言うように、痛くはない。
 感じすぎて、苦しいだけだ。
尖りを嬲られる度、ビリビリとした痺れが身体の中心を通って脳髄と、下腹部を直撃する。
 数度まさぐられた後は放って置かれたままの雄身は、にも関わらず硬く昂ぶっており。
 密口から溢れた先走りが、過敏になっている先端から幹へとトロリと伝い落ちていくと、その感触すら官能へと直結したのか、大きく広げられた内腿が痙攣する。
「ぁ、く……ん…」
 震えはやがて四肢の先まで伝播していき、全身をガクガクと波打たせる。