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1:温泉に行こう!




 何故なら、今までの経験からここで『あの……あたってるんですけど』なんて指摘しようものなら、『ナニがあたってるんだい?』とエロ親父的な質問をしてくるだろうし。
 かといって、じっとしたままだと『異議はねぇんだな?』とゴドー流解釈をしてくる。
 つまりどっちに転んでも、成歩堂はピンチ。
 冷や汗とも雫ともつかぬものを蟀谷から伝わらせながら、第三の手――気が付かない振りでゴドーから離れる――を選択したのだが。
「おっと。つれない真似をするなよ、コネコちゃん」
 やっぱり徒労に終わり、離れかけた腰は先程以上に密着させられた。
 熱く、硬く、かなりの質量な楔が、すっぽり双丘の狭間に押し付けられる。
 カッと項に血が昇ったのは、勿論温泉の所為だけではない。
「ゴドーさん、折角の温泉ですから、ゆっくり楽しみましょうよ…?」
 拘束衣に等しいゴドーの腕から何とか逃れようと身を捩るが、どうにもゴドーの分身へ逆に擦り付けているような気がして、疎かになる。
「温泉は、さっき充分に楽しんだだろう? 今度はゆっくり、アンタを堪能させてもらうぜ」
「いやいやいや、目的は温泉の筈で――っっ!」
 異議申立の語尾が、不自然に途絶える。
 いつの間にか湯の下に沈んだゴドーの右手が、成歩堂自身をキュッと握り締めたのだ。
 白濁した湯はゴドーの動きを隠し、その刺激はあまりにも唐突すぎた。
『まさかこの為に、ここを選んだんですか?!』
 叫べる状態であったのなら、法廷での評判も高い、響き渡る声を宵闇に包まれた山間へ披露していた事だろう。
 だが成歩堂は背を丸め、巧みに動くゴドーの右手を両手で制止しようと必死になっていた。
「ゴドーさ…だ、め…で……ッあ!」
 羞恥と燻り始めた快楽が成歩堂の抵抗を削ぎ、まさしくコネコがちっちゃな爪を立てている、位にしかゴドーは感じないらしい。
「クッ…素直じゃないコネコちゃん、嫌いじゃねぇぜ」
 素直にさせてやる、とばかりに右手のスライドが速まり、親指が滑らかな先端と鈴口をグイと擦る。
 クロスさせた左手は成歩堂の動きを封じつつ、器用に右胸の飾りを悪戯し始めた。
 真っ白なお湯から覗く、朱く色付き出した成歩堂の肌と。
 痛々しいまでに存在を主張する、桜色に一・二滴朱を混ぜたごとくの突起。
 決してゴドーがそれらの彩りを見る事はない、が。
 かわりに蕾を弄る指先から、密着した皮膚から、成歩堂の忙しない喘ぎ混じりの呼吸から、判別できる。
 成歩堂が存分に高まっている事を。
「もっとこっちに来るんだ」
 成歩堂を膝上に持ち上げたゴドーは、湯の浮力を借りてその細腰を前後に揺すった。
「あ!? っく……あ、ん……」
 揺すられる度、長大なゴドー自身が脚の間を行き来し、成歩堂が鼻にかかった声をあげる。
 そこは皮膚の縫い目があるだけの、本来なら何の変哲もない――性感の生じ得ない箇所なのだが。
 生来のものか、ゴドーに開発された為か、成歩堂は愛撫として享受してしまう。
「ヒ――ぁ、だ…め……っう」
 膨れ上がったゴドーの先端が成歩堂の収縮した袋を、張り詰めた雄芯の根本を突くのに合わせて、快楽に弱いコネコは震える鳴き声を漏らす。
「このままアンタに突っ込んだら、どんな風に啼いてくれるんだい?」
「そ、ん……な…っ…やぁ…」
 ベロリと耳全体を嘗めあげてから耳朶を噛み込み、脳裏に直接落とし込むような波動で低く囁けば。
 すぐさま想起してしまったのか、成歩堂の背は激しくビクついた。
 前戯にそれ程時間は割いていないが、湯の中だから。
 急速に高まった肉体は、きつい圧迫感と引き攣れを伴いつつも、ゴドーを迎え入れてしまうに違いない。
 その事を自覚しているからこそ、成歩堂は制止を願ったのだけれど。
 痛みより愉悦が優ると確信している時のゴドーは、容赦しない。
「アンタと今すぐ繋がりたくて、仕方ないんだ。コネコちゃん、焦らすのもここまでだ」
「まって、ゴドーさ――ぁぁあっっ!」
 夜の静寂に、憚りない悲鳴が響く。
 もう成歩堂は、ここが外だという事も思考から追い出してしまった。
 というより、衝撃の強さで脳内は真っ白に灼きついてしまった。
 成歩堂の体重など苦にしないで、軽々と向かい合わせに反転させたゴドーは。
 身構える暇も与えず、猛りきった分身を堅く閉ざされた秘肉に突き刺したのである。