知香のサバゲダイアリー
−−−初心者入門講座−−−
戦国春秋編・秋のD シェイプ・アップサバゲ そのA いつも2人で
知香:すごかったですね、ネオジウムさん。
しかも女性中心のチームだそうですよ。
金子:確かに最近女性ゲーマーが増えつつあるとは聞いていたが、これほどとは。
しかもあのチャヤ小佐は第一次戦ドイツ軍マニアだそうです。
カケル:濃さも我々に勝るとも劣りませんね。
林当家:だが、主席が言っていた様にやりかた次第では我々が優位に立つことも出来る筈だ。
それはどうすることだと思う?
カタヤン:エアガン規制ギリギリのパワーの銃に、ボックスマガジンとかCマグを付けて弾数と射程で圧倒したらどうですか?
カケル:すごくわかりやすい回答ですね。
でもそれで本当に良いのかなあ。
金子:1つの解ではあるけれど、万能ではありません。
ブッシュや遮蔽物の多いフィールドでは射程の優位を活かせない事が多いですし、大容量マガジンは重いし取り回しも邪魔。
それに、そんな戦い方してたら弾代がハンパなくかかりそうですね。
いくらバイオ弾といってもエコには見えませんな。
紅中兵:そうだそうだ!我が輩はそんなの悪趣味だと思うのだ!ちっとも粋で鯔背ではないのだ。
知香:さっきのゲームでもあったのですが、味方が戦っている間にフリーの人が敵の隙を衝けるところまで移動して叩く、のでは?
林当家:それはつまり?
知香:えっと・・・1人に複数で当たる、ですか?
林当家:そう。さすが、もう経験から答えを導き出したね。
そこで今回は、さっき話しそびれた「敵を見つけやすくする方法」、それと最低限の単位で「数の優位」を発揮する方法、そしてそれを実現するために必要となる、個々人が身につけて欲しい技能を説明するよ。
知香:なんか今回の講座はものすごくお得感が・・・
紅中兵:そうだねー。
でも、これでサバゲの奥深い面白さに気づいてくれるゲーマーが増えてサバゲがもっともっと面白いモノになってくれるなら願ったり叶ったりだから、惜しげもなくノウハウを出してしまうのだ。
そして、その意気に感じて人参軍に志願するゲーマーが増えてくれれば尚良し、なのであるぅ。
カケル:主席の熱い想い、ここで終わらせる気はねえ!
忠勝ーっ!
金子:誰が戦国ロボットを呼べと。
林当家:さて、早速だが本題に入ろう。
どんなに地形にマッチした迷彩服を着ていても、イッパツで見つける方法がある。
さて、それは何?
カタヤン:わかった!出来るだけ倍率の高いスコープで覗く、でしょう!
僕、10倍ズームの持ってますよ。
佐藤人:どうも、スコープを過信している様なので、一言良いですか。
明らかにあやしい場所がピンポイントでわかっているならいざ知らず、広範囲にどこから来るかわからない敵を探すには有効ではないですよ。
それに、スコープを覗いている間はスコープ外の視界が見えなくなるので、逆に自分の死角を増やしてしまいます。
知香:私も、視力の補助という事で一瞬納得してしまいましたけど、違うんですか?
林当家:まあ、ある特定のケースでは有効だろう。
けど、いつでもどこでもこの手が使えるとは限らない。
正解はね、「敵の動く瞬間を見つける」事なんだ。
地形にあった色や柄の迷彩服を着ていると、確かに見つけるのは困難だ。
でも、それが不自然に動いていたらどうだい?
知香:イメージとしては光学迷彩のプレデターが動いてるみたいな感じですか。
林当家:うん、まあそんな感じで捉えてくれたら良いだろう。
日本の植生に最大限マッチしていると言われる陸上自衛隊2型迷彩(通称・新迷彩)でも、不用意に動いていると簡単に見つける事が出来る。
紅中兵:我が輩は先日、ギリースーツを着て貧乏揺すりをしている伏射中のスナイパーを見つけたので側面から1ショット1キルしてやったら、相手はすごいビックリしてたよ。
林当家:その逆に、主席とか俺みたいな緑一色の服でも緑の地形に隠れてじっとしているとかなり見つかりにくくなる。
しかもそれがブッシュ越しの木陰だったりすると、まず大抵見つかる事はないよ。
従って、「自分は見つかりにくい地形に潜みじっと動かずに、敵が油断して動くのを見逃さない」事だ。
これで敵の発見は容易になる。
知香:でも、同じ理屈を敵もしていたら?
林当家:うん、良い質問だ。
当然、動かなければほぼ見つからないだろう。
では、どうしたら良い?
カタヤン:あやしいところに片っ端から撃ち込めば、運良く当たるとヒットとれますよ。
金子:おいおい、そんなことしてたらどれだけの弾が必要なんだい。
それに、銃を動かしながらのフルオート射って、弾と弾の間が結構開くから運良くその間にいて助かったってことは良くあるぞ。
林当家:同志金子の指摘は鋭いね。
そうなんだ。そこで、「鳴かせてみしょうホトトギス」、孫子に言うところの「故に我、戦わんと欲すれば、我と戦わざるを得ざるは、其の必ず救う所を攻むればなり」を実践する訳だ。
例えば、ある状況で正面から来る敵に対しアンブッシュに適した地形があるとする。
そこに潜んでいて、正面から接近したら易々とやられてしまうだろう。
でも、アンブッシュしている方向からは射撃が困難な方向から接近されたら?
知香:当然撃破したいので、銃撃が出来る様に移動または方向転換しますね。
林当家:そう。敵は動くんだ。
そこを見つけて反撃すれば良い。
とはいえ、自分が移動しながら敵のそんな動きを見つけるのは難しいかも知れない。
でも、さっきの「敵とお互いアンブッシュしている時」に敵側でそれが起きたら・・・
知香:なるほど!
敵にすれば動かなければ接近を許すことになり、動けばアンブッシュしている敵に見つかる。どちらに転んでもダメ、必殺のパターンな訳ですね。
林当家:そうなんだ。ある種、将棋とかチェスみたいだろ。
「複数連携による戦術的サバゲ」とはこういう事を言っているんだよ。
まあ、これは2人で組んで動く中でもかなり高度なパターンだ。
2人で連携するのを「ツーマンセル(two man cell)」と言い、これは最小単位の戦闘体形なんだ。
これは基本中の基本、だからまずここから説明していく。
基本であり、かつ最も有効なのが「跳躍前進」、通称「かえるとび」と言われる奴だ。
これは、Aさんが射撃し敵を拘束している間にBさんが有利な地形まで前進、Aさんは地形に取り付いたら敵の拘束射撃を始める。Bさんの射撃が開始されたら今度はAさんがBさんの位置を越えた先にある戦闘可能な地形まで前進し射撃・・・
を繰り返し、敵の反撃を拘束しつつ前線を押し上げていくやり方だ。
実はこれ、強力な敵の追撃を逃れる際にも使える。Aさんが敵を抑えている間にBが後退し、Bがある程度下がって有利な地形に入ったら敵の拘束射撃を開始、そうしたらAがBのいる地点より後ろに後退・・・という感じだね。
紅中兵:まあ、サバゲでは戦線を下げてもすかさず追撃してくる様なゲーマーはなかなかいないけどね。
金子:そりゃあ主席の様に機を逃さず臨機応変な指揮を取れる存在がいないからでしょう。
佐藤人:通常はそうでしょう。
でも、先ほどの敵はどうでしょうか。
その意味でも、ここで戦術の再認識をしておく事は役に立つかも知れません。
カケル:人参軍が全力で当たるべき相手が出現したって事っすね。
こりゃあ当に「好敵手」だ。
佐藤人:向こうも同じ事を考えているかも知れません。だとすると、同じ手は通用しませんから戦術の応用が必要とされますね。
紅中兵:手の読み合い・出し合いだな。よーし負けないのだ!
林当家:ま、応用は基本あって成り立つものだからな。
やたらと技巧に走る前に、知香ちゃんはベーシックなところを押さえておこうか。
知香:はい。高度な応用戦術は主席に任せ、まずは私でも出来る事を教えてくださいね。
カケル:インドアバトルがベースになりますが、「カッティングパイ」なんかはどうですか?
林当家:いきなり来るねー。
これは、室内などへ突入する際にまずAさんが右に突入し前方90度を警戒。間髪を入れずBさんが左に突入しその前方90度を警戒する。これにより90+90=180度で全面警戒が行えるという訳さ。
この90度に限って素早く警戒する様がパイを切り分ける感じに似ているという事で、そういう名前が付いている。
佐藤人:一見、室内戦の技能と思われがちですが、私は同士金子と塹壕戦でボルトアクション小銃でこれをやって、攻め進んだ事があります。
金子:あったねー。
我々は満州国軍装備で参戦していたので、監視塔で実況していた主催者に「満軍がタクティカルに塹壕を攻略しているッツ!」とアナウンスされ、会場を沸かせたんだよな。
林当家:カッティングパイは特定の場所・エリアに対する短時間でのクリアリング手段だが、同様にあらかじめ各自の索敵・警戒方向を決めておき行軍するというのもある。
敵地深く進入した場合なんかは、敵が常に前方からだけ来るとは限らないし、行軍中に1人で180度を注視しようとするとどうしても隙が生じるから、例えばAさんは前方と右を、Bさんは前方と左を、テリトリーとして警戒しながら進む。
自分が見る方向を限定する事でその箇所を集中して警戒出来るから、見落としとかも減るんだ。
もちろん、これを実施する為にはお互い自分のエリア外を完全に仲間に任せるという信頼関係がないとエラい目に遭う。
なので、相手の練度やレベルがわからないとちょっと怖いね。
それと、いくら2人組といっても近づき過ぎない事。
初陣の時に注意されてたカケル3原則だ。
味方とはコミュニケーションを維持しつつ、なるべく距離をとる。
地形や状況によりその最適距離は変わるから一概に何メートルとは言えない。ブッシュが濃ければ近か目になるし、遮蔽物のない平原だったら5m以上は空けたいしね。
とにかく、重要な事なので繰り返し言うけど、「すぐ後ろから着いて行く」ってのは絶対厳禁だ。
カケル:でも、有料フィールド行くとそういう輩、多いんですよねえ。
つきまとわれたら、どうしたら良いっすかねえ。
金子:1つは、着いて来れないぐらいに前進し、振り切ることかな。
こっちを見失うと怖くて前に出られないから、これでOKです。
はぐれたって慌てて、無謀に突出してくれば敵の餌食だから、どちらにせよ消える。
もう1つは、止まって前に行かせる事。
こちらが止まるとそいつも止まるから、ハンドサインで「前に出ろ」って指示を出すんです。
前進はしたいけど自分では出られない、あわよくばこっちを弾避けにして自分のゲットにしようって輩は、明確に行けって言われても出ない。けど、そう指示が出ることでバツが悪くなるから着いてくるのを辞めるか、形だけ前に出る(フリをする)か、をとる筈だ。
形だけでも前に出たら、こちらは違う方向に行ってしまえば良い。バツが悪かったら自分から離れていくよ。
逆に、本当に前線押し上げようと思っている積極的なゲーマーならちゃんと前進してくれるから、その場合はこちらも「かえるとび」しながら相互前進すれば良い。
まあ、着いてきておこぼれにあずかろうなんてゲーマーは、やってる事はセコいクセに自分では要領良いつもりでいるから、「私は不愉快だ」というのをこうやってアピールして余所へ行ってもらう事ですね。
林当家:うん、今の話の中にもちょっと近いケースがあったんだが、2人でうまく連携するとこんな事も出来るぞ。
それは戦国大名島津家の得意技、「吊り野伏」だ。
金子:それまで伝授しますか、初心者向けに。
ここで公開せず、我がチームのお家芸にしておいても良いのでは?
林当家:ふっ、知る事と出来る事は違うからな。
それに、余計な予備知識があると今度は怖くて通常の撤退でも追撃してこなくなる可能性もある。
ある意味、「空城の計」だね。
これは、「かえるとび」で後退する時に下がった側が反撃ではなく敵の視界外まで出てアンブッシュ体制を取る。そして敵を拘束していた側はそのアンブッシュが最も効果的なエリアに逃げて、追撃する敵を誘い込むんだ。
逃げる側も敵との距離を空け過ぎず適切に保つ事で、アンブッシュ反撃が始まったらすかさず反転攻勢に加わるなら更に効果的だ。
まあ、これはあくまで参考って事で。
他にもいろいろあるんだけど、形だけ暗記してもしょうがない。
実戦で意識せず使える様になる事が大事なんだ。
知香:チームのみなさんみたいに黙っていても動ける事が理想なんですね。
でも、私はまだどういった時にどう動いたら良いかわからないので、都度お声かけ頂けると助かります。
カケル:うん、当分は僕が面倒みますよ。
紅中兵:初陣もそれで成功したしね。
金子:有能な指導者を得てこそ各自の能力が発揮される。
曰く、「1匹の狼に率いられた100匹の羊は、1匹の羊に率いられた100匹の狼に勝る」ですね。
カタヤン:僕は羊じゃないつもりですよ。
紅中兵:羊でも子猫でも構わん。
勝利に貢献出来るかどうかが事の本質だ。
金子:「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのが良い猫だ」という訳ですな。
カケル:さすが、動詞化猫。
佐藤人:それ、ふりがな振らないと何いってるかわかりませんよ。変換ミスネタだから。
林当家:なんか話の飛び方が東京バンドワゴン入ってきたな。
閑話休題、次も続きで連携した時の相方に迷惑をかけない様、1人プレー時の注意点をいろいろと見ていこう。
知香:はい、教育ネタ続きますね。
人参エジュケーショナルですか。
紅中兵:おっと、誰か来たようだ。
(続く)