知香のサバゲダイアリー
−−−初心者入門講座−−−
Eプレーの楽しみ方その3「友、遠方より来る」
(あらすじ:いよいよ知香の初ゲーム開始。指南役のカケルと敵の右へ進出した知香だが迂回前進途中でこれまた迂回する敵影を発見。息を殺して射撃のチャンスを待つ)
知香:敵の動きは草の動き・・・
ゆっくり移動していくけど、手前の草が茂っていてなかなか姿が見えないわ・・・
カケル:頼むから焦るなよ知香ちゃん。僕らは絶対有利な状況なんだから・・・
知香:見えた!
ババッバババ・・・
敵兵A:わわっ!ヒットーッ!
カケル:ウホッ、知香チャンやったね!
知香:わーい、第一号ですぅー。
カケル:これは党に報告せねば(笑)
さて冗談はさておき、これで残り2名に我々の迂回がバレてしまいました。
もう静かに行く必要はありません。一気に射程距離まで接近し金子さんの本隊と挟み撃ちにしますよ。
知香:はいっ!
(山上の本隊)
金子:んっ、右手で発砲音?
分散を始めた敵部隊をカケル隊が叩いたのか。
皆さん、我々の人数は減っちゃいましたが友軍が迂回に成功してます。
包囲して纖滅しましょう!
友軍A:わかった。
みんな、もう少しだぞ。前進!
敵兵B:ちっAめ、迂闊な奴。下手に動かなけりゃ良かったのに・・・
Cよ、左はまだ手薄だ。敵の迂回部隊をやっつけて包囲から脱しよう。
敵兵C:わかった。そうと決まればとっとと移動だ!
カケル:あっ敵2名、こっちに突っ込んで来ます!
しまったー!ここにいるのがバレてしまった。
知香ちゃん、後方の丘まで後退して、今と同じように隠れて下さい。僕は敵をくい止めながら後から行きます。
知香:はい、カケルさんのご武運を!
カケル:主席の手により復活したM3グリースガンの射程をなめるなよ!次世代電動とガチバトルだって出来るんだ。
バッバッバッバッ・・・
敵兵B:おっと、前方から銃撃っ、わわヒットーッ!
敵兵C:げっ、マジかよ?こりゃ慎重に行かないと・・・
カケル:しまった、もう1名を見失った!
しょうがない、今のうちに後退するか。
(山上の本隊)
金子:あの発砲音は・・・敵が右に迂回?
カケルが危ない。皆さん、敵は右に逃げています。このまま追跡しましょう。
紅中兵:戦況はどうだい?
金子:あっ主席。
敵は2名になりましたが右に移動し逃走中です。カケル隊と正面衝突の恐れあり。
追尾して纖滅します。
紅中兵:うむ、早く合流してあげよう。
(その頃、隘路口)
敵兵弐:ここは足場も悪い急斜面でしかも草も茂ってるからな。ここを進んでくるとは想定外な筈だ。
林当家:敵さんも静かになっちまったな。
あきらめたか、何か次の手を打ってくるか。
念のため、マガジン替えておくか。
敵兵弐:いたいた。あそこか。良い位置を取ったものだ。
ん、下向いて・・・マガジン交換か。チャンス!
ババババーッ!
林当家:うあっしまった!ヒットーッ!
敵兵弐:反撃は・・・ない。さては1名だけだったのか。前進可能を知らせよう。
敵兵壱:迂回した彼から前進の合図だ。突破口が開いたらしい。みんな、行くぞ!
(山上の交戦地区)
カケル:くそっ、こいつ上手い!
移動を始めると撃ってくるし、反撃してもすぐに隠れてしまう。これではなかなか退がれないぞ。知香ちゃんは逃げ切れたかな・・・
敵兵C:1対1なら負けないぜ。こいつチョコまかと良く動くな。
パパン!
えっ?ヒット?
金子:カケル、生きてるか?
カケル:あっ金子さん!追い付いたんですね。
今ので山上の敵は最後です。制圧完了しました!
知香ちゃん、もう大丈夫だよー。
知香:はーい、私はここでーす。
紅中兵:では、隘路口に戻って敵の進路から逆進攻を仕掛けよう。
バババババッ!
カケル・友軍数名:ヒット!ヒットーッ!
知香:かっカケルさああーん!いやああああーっ!
金子:何?後方から?
紅中兵:しまった、隘路口が突破されたな!
敵兵多数接近!直ちに前方丘まで待避!
知香ちゃんはその場で味方の合流を待て!
同志金子、殿軍を頼めるかい?
金子:お任せ下さい。このステンMkUある限り敵は寄せ付けません。
紅中兵:よし、全員丘に退がって応戦体制を取れ!
敵兵壱:敵は後退していくぞ。そのまま追撃だ!
バッババババン!
敵兵数名:ヒット、ヒット、ヒット・・・
敵兵壱:何?待ち伏せかっ!
後退は罠かも知れない!慎重に進んで!
紅中兵:始まったな、ステン無双。
金子:もう一撃かましたら後退だ。
バッババババン!
敵兵更に数名:ヒット、ヒット、ヒット・・・
敵兵壱:あそこだ!早く!
後続の人達もどんどん来て下さい。丘に逃げた敵を制圧しますよ。
金子:ただいま合流完了。なにぶん敵の数が多かったので、まあここらが潮時でした。
紅中兵:ご苦労。
それにしても、丘まで到達出来たのは友軍含め5名か。その一方で敵は20名近く。
隘路口で留めていたのが一気になだれ込んで来ただけに、数が多いな。
金子:なーに、1人4人程食えば良いだけっすよ。
紅中兵:おう、暴れ甲斐があるね。
知香:何なの、この自信に満ちた人達・・・
敵兵壱:敵はわずか、皆で一斉にかかれば一ひねりで丘を落とせます。見つけ次第集中射を浴びせて下さい。
紅中兵:我が人参軍は左右に迂回し、敵の側面を叩きます。皆さんは中央にて命大事でがんばって下さい。
友軍甲・乙:了解しました。お互いの武運を!
紅中兵:同志金子、君は右斜面から迂回してくれ。私は知香ちゃんと共に左手から仕掛ける。
金子:お任せあれ。出遅れたら主席の取り分も頂いちゃいますよ。
紅中兵:その意気だ。知香ちゃん、カケルの3原則を忘れずに付いて来て。
知香:はい。あの・・・
紅中兵:何?
知香:私に出来るでしょうか。この作戦遂行。
紅中兵:心配ないよ。肩の力抜いて。
こんな楽しい機会はそうそうないんだから、もっと楽しむ気持ちで良いんだよ。
やられたって良いじゃない。知香ちゃんは今日初めてでもここまで戦ったんだ。上出来だよ。
それに、君は今、誰と共にあるのかな?
知香:はい!「英明博愛な指導者にしてメカニック・ゲーム指揮、共に卓越せる稀世の最高領袖であり百戦百勝の鋼鉄の霊将」でしたね!(ニコッ)
紅中兵:そう。私はもっと困難な状況下でも、過去何人もの初心者と勝利を収めて来た。
さあさあ、もっと気楽に!
知香:はい、当たって弾けます!
金子:来たね、シーキューブ!
紅中兵:では、始めるとしようか。
まず、丘に分散配置と思わせる為に軽く応戦。知香ちゃんはすぐ後方斜面に下がって私が行くのを待ってて。
一同:了解!
敵兵壱:散発的に発砲が始まったか。良い感じにバラケてるじゃないか。こっちも横に広く展開してるから、交戦には都合が良いな。
バババン、バンバンバンババババ・・・
紅中兵:さて、そろそろ良いだろう。じゃ同志金子、次はセーフティで戦果を聞かせてもらおう。
金子:主席こそ、知香ちゃんを生きて連れ帰って下さいよ(笑)
紅中兵:うむ。では知香ちゃん、行こうか!
金子:いったん下がって敵の視界から外れ、迂回路に入る、と・・・
電動ガンは射撃音が大きいからフルオート一斉射撃なんかしてるとちょうど良い足音隠しになってくれるんだよな。
紅中兵:知香ちゃん、我々はこっちから行くよ。電動ガンでバリバリやりあってるうちは多少の足音がしてもわからないから、ドンドン行くけど、射撃音が止んだらすぐに止まってね。
ま、もっともこの人数でお祭り状態だからまず大丈夫だと思うけど。
ガサガサ、ガサガサガサ・・・
紅中兵:よし、この辺でちょうど敵の側面やや後ろに来た。うっかり頭を斜面の上に出さないように注意してね。
知香:はい。まだ射撃しないんですか?
紅中兵:うん、考えがある。向こう正面で同志金子の間延びしたステンの発砲音が聞こえたら、5秒待って我々も仕掛けるよ。
知香:???
金子:ようし、この辺で上にあがるか。派手に撃ちまくってくれてるから音だけで敵の位置がまるわかりだ。
そうれっ!
バッバァバァバァバァン!
敵兵数名:ヒット、ヒットーッ、うわっ左手から敵襲!
右に下がって応戦だっ!
紅中兵:来た!5、4、3、2、1、それっ行くぞ!
バン、バン、バン・・・
知香:はいっ!
あっ敵が眼前に背中を向けてます!
ババッババババッ!
なるほど!主席はこの時差を狙って5秒待ちを・・・
敵兵数名:ヒット、ヒット、ヒット、ヒットーッ、
しまった!3方から包囲だ!
後退、後退ーッ!
知香:私のスコーピオンの射撃で、一方的に敵が倒されていく。次々とあがるヒットコール。
これが・・・奇襲・・・
紅中兵:敵前線は崩壊したぞ!勢いに乗って纖滅せよ!
数名が離脱!誰か追えるか!
敵兵壱:ハア、ハア・・・
何とか脱したが、残ったのはこの3名だけか。
ババン!バッバババン!
敵兵壱:えっ?ヒットーッ!ヒット!ヒットッ!
ロナウド:いやー、誰かと思ったら人参軍さんでしたか。
紅中兵:おお、ロナウド議長!
おやおや、皆さんもお揃いで。
ロナウド:すいませんブッシュでゲリラ戦を展開する少数の敵との交戦に手間取ってました。
でもやっと合流出来ましたな。
敵はどこですか?
紅中兵:今ので最後です。絶滅させちゃいましたね(笑)
ロナウド:おやおや(笑)
はーい、ゲーム終了でーす!
・・・かくして、この知香初陣の一戦は、同時に「吉良ヶ丘(キラ・ヒル)の戦闘」として人参解放軍サバゲ史に残る激戦として記録された。
知香はこの1戦で6ゲットを上げる。これは敵側人数の20%に相当し、本件にちなみ後に「蠍姫」と恐れられる事となる。
しかし、スコーピオンでの戦果などほんの始まりに過ぎなかった−−−
第二章・終