日  程 2001年9月22日〜23日
地  域 谷川岳 烏帽子沢奥壁・変型チムニー〜中央カンテ
メンバー 梁瀬・河野(記録)

初日は移動のみ。名神から北陸道・関越道を乗り継ぎ、7時間半をかけて水上に到着。

まずはコンビニへ寄るため車を降りて驚愕。寒い。寒い。さぶ〜い。確か、朝はまだ夏だったのに、恐るべし群馬県。

夕食後一の倉へ向かう。途中、800名近くの犠牲者遭難碑前を通過。志半ばに夢を断たれた勇者達の墓標だ。名誉ある800人目になったらどうしょ〜。「帰りには名前を刻んであげよう」とイヤなっちがほくそ笑む。

駐車場には空きスペースもあり。駐車場の脇にテントを張り、就寝。21頃、がちゃがちゃと登攀者が下りてきた。うわ、こんな時間に下山かいな、きっつ〜とこの時は他人事のように考えていたのだが。

明朝4時起床。かなり冷え込んだ。早くから続々と人が入っていく。こりゃやばいなあと思いきや、やなっちがでかい三脚と一眼レフを抱え、写真撮影へ。おいおい、悠長にしてる暇あんのかいな。一の倉沢出合からの写真を30枚撮ったと満足げに戻ってくる。で、ガスとコンロが重てーとか、フリースが嵩張って邪魔だとかだだをこねるやなっちをだまらして6時いざゆかん、谷川へ。

初めて見る一の倉沢出合からの雄大な眺め。遠く南陵テールリッジを登る人影が見える。ホンマにあんな所をノーザイルで行けるんかいな。

沢から樹林帯に入り、ヒョングリの滝地点の下降場所で、まず第一の渋滞。懸垂下降の順番待ちで40分ほど待った。テールリッジに入ってからは、フリクションを効かせながらどんどん高度をかせぐ。やばい所はフィックスが張ってあり、初心者にとっては非常にありがたい。

衝立の各ルートにも数パーティーが取り付いており、南陵テラスでは既に順番待ちの集団が溜まっている。

変形チムニーには2パーティーが先行していた。8:45、やなっち先行で取り付く。

1P
出だしがちょっと嫌らしい。終了点付近はシミだしあり。

3P
中央のルンゼはW、左はV−。ここで赤ペン先生(去年あたりから北岳や谷川で本ちゃんルートに記された悪名高き赤ペンキ)が左に矢印を書いている。ほな左かと、やなっちが果敢にフリーでアタックするも、何じゃこら〜とあっさりA0。はやこの時点でオールフリーの夢は崩れ去った。暫くしてヤナッチからコール。「後何m?」「あと15」「次のチムニーやる?」「ぐえ、そこで区切って〜」危うし、もうちょっとで核心の順番が狂うとこだった。核心ピッチは全てやなっちにくるように計算済みなのだ。後でロクスノを見たら、ここはロープが足りなくなるので切った方がいいって書いてたもんね〜。フォローでも嫌な感じで躊躇無くA0。赤ペン先生に騙された!

4P
脆いルンゼをチムニー取付下まで。っと、先行パーティーが打ち足したハーケンを抜こうとハンマーでどついた時、岩が割れて頭2つ分くらいの岩が落ちてきた。どわーっ!我々とはフォールラインは違ったものの、取り付きの方へ落ちていく。落石の音は一の倉沢中に轟き、下の方から「や〜めちくり〜」という悲壮な雄叫びが。あーこわ。この後すぐ、今度はカラビナが降ってきた。頭上注意。

5P 
左に傾いた変形チムニー。チムニー内はこけこけじめじめぬるぬるし、フォローながらひーひー登る。出口を突破したところで終了。

6P 
昔は真横にトラバースしていたそうだが、新ルートはフェイスを登ってからクライムダウン気味にトラバースし、中央カンテに合流する。中央カンテから登ってきたパーティが順番待ちをしており、更にビレイ中に1パーティー登ってきた。この2パーティーは東京の
ZOOという山岳会の方達で、間に挟まれて以降、順番待ちの度におしゃべりを楽しむ。隣の衝立中央稜で、おばちゃんが大岩を蹴り落とし、再びすごい轟きが。あーこわあーこわ。

9P 
核心のピッチ。トポには3ポイントほどA1とあるが、ヤナッチは根性でフリーで登る。やるのお。
ZOOのおじさんがさかんに誉めていた。自分が登ってみると、スタンスが全然ない。スリングはいっぱいかかっているので、A0でぐいぐい強引に登ってしまった。

12P 
真上にもハーケンが続くが、左上する。と、どこかの終了点に合流。

13P 
烏帽子岩の左をまく。フォロー中、先行パーティーのゆきちゃん&あおちゃんとやなっちの高らかな笑い声が聞こえる。何と5年前にやなっちが前川軍曹と衝立を登った時、前にいたパーティーの一人だと判明。パートナーに「あおやぎ〜ランナーとれ〜」と言われてもランナウトでぶっちぎっていたらしい。「この人頭切れてる」と2人で言っていたそうだ。今回もあおちゃんはヌンチャクを3本くらいしか持っていなかった。うむむ。

14P 
藪の中の踏み後をたどり、終了点へ。

14時登攀終了。空は依然として青く澄みわたり、稜線がくっきりと空に映える。

ここから懸垂下降で下山にかかる。数ピッチで南陵終了点に合流。順番待ちに加え、とろとろと降りたのもあって、南陵テラスに17時着。およよ、急がねばすぐ暗くなる〜。テールリッジの途中からヘッドランをつけ、更に行くとまた懸垂で順番待ち。この後岩場はほぼ全部懸垂下降となる。テールリッジを登っている時、何でもないような岩場にもぴかぴかの懸垂支点が何カ所もあり、何でかなと思っていたが、真っ暗になってよく分かった。闇夜じゃとても歩けない。この夜もかなり冷え込み、順番待ちが辛かった。結局22時下山。何で下山に8時間も掛かるねん…。

ロープも水浸しになってしまったし、こんなに遅いんじゃ、明日2ルンゼ登って頂上に抜けた後に帰るなってとんでもない。素晴らしい言い訳ができてよかった?!

翌日は榛名山・黒岩のフリーの岩場へ。遊んでいるとおじいさんが近づいてくる。お話をすると、アルパインガイド協会のガイドで、70近い最年長の方だそうだ。(田中さんといいます。)

ヤナッチと大いに話がもりあがって、谷川なら絶対二の沢右壁が一番と勧められ、来年の連休は絶対に二の沢だ、とやなっち息巻く。呑みに行かないかと誘って下さったが、じきに帰途につかねばならず、やむなくお別れした。…ちなみに、氷ならいつでもいいとこ案内してくれるそうです。ガイド協会HPに20年前の写真と連絡先が載っているそうなので、ご興味のある方はアクセスしてみて下さいな。

【所感】
山は天気で大きく左右される。今回は好天に恵まれ、終始楽しいクライミングができた。行く前、散々脅されて極悪なアプローチ、落石と浮石の嵐を覚悟していたので、それがかえってよかったのかもしれない。ただし雨に遭っていればテールリッジさえ悪くて登れなていなかっただろう。

お盆の東壁ルンゼでは、想像以上に人工が多い上にピンが遠く、かなり凹んでしまったのだが、今回はフリー主体でとにかく面白かった。本ちゃんでもオールフリーの挑戦ができるよう、フリーをもっと頑張ろうと思う。懸垂下降時のロープももっと自在に操れるようにしなきゃアカンと反省。

谷川には魅力的なルートが沢山ある。来年また挑戦したい。


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