日  程 2001年7月14日〜15日
地  域 南アルプス 北岳バットレス第四尾根主稜 登攀
メンバー 津久井(京都雪稜クラブ)・伊和之丞(法螺の会)・成田(チーム84)・河野(記録)

出会い系サイトではなかったが、とあるMLで知り合った、枚方のおばさまから北岳バットレスのお誘いを受けた。第4尾根は、5年前OGK入会後初の本ちゃんだった、懐かしいルート。残念ながら、ルート自体は全然覚えていない。が、「100万円でカブトムシ」の某嬢珍言は、小生のみならず、皆の心に深く刻まれているはずだ。
4尾根はいつかちゃんと行ってみたいと思っていたので、喜んで返事する。

このおばさまは京都雪稜クラブに所属し、これまでにも何度かクライミングをともにする機会があった。お年はちょうど20歳年上にあたるが
むちゃ元気なおねーさま。今回はこのいくさんと、だんなの伊和さん、チーム84のなりたまさんの4人が集った。

7月14日(土)

3時半、激混みの広河原で辛うじて駐車、2時間だけ仮眠。
ホントは5時半には出発する予定だったのだが、あえなく沈。ていうか、伊和さんのいびきがうるさくて、何度首を絞めようかと思ったことか。
結局7時に出発し、白根小池にふらふら10時到着。
テント設営し、本日の予定を打ち合わせ。ビバーク覚悟でとりつくか、明日にかけるか。
日頃の寝不足がたったて倒れそうだった小生は、申し訳ないけど、と明日の登攀をお願いした。
男性陣は取り付きの様子を見にでかけたが、いくさんと小生はひととおりおしゃべりした後は、テントで爆睡。サウナのようなテントの中でよくもまああんなに眠れるわなあ・・・(^^;
豪華な夕食後、明日に備えて6時半に就寝。疲れと酔いとで速攻熟睡。夜が冷えるかと防寒用に色々持参したが、全く不要、長袖シャツ一枚で十分だった。重かったのに・・・ぶつぶつ。

7月15日(日) 晴れ後曇り

2時起床。
今のところは満天の星空。餅入りラーメンをかき込み、3時半ヘッデンをつけて出発。

二俣からは雪渓が残る。傾斜はさほど強くないのでアイゼンは不要であるが、滑りやすく慎重に歩く。
C沢から左の小尾根を登る。早出のお陰か、下部岩壁は誰もいない・・・と思いきや、ピラミッドフェースに取りついたばかりのパーティーがいた。

伊和成パーティーは第5尾根主稜から取りつく。従来の取付は雪渓に埋もれ、2P目からのスタートだ。
美女パーティーはdガリーから。雪渓で取付がよく分からなかったが、途中のハーケンから河野先行で取りつく。以降、つるべで登る。
2P目、いくさんが登ったところで伊和成Pと合流。ガイドには2P登ったらトラバースとなっているが、実際はもう1P登る。

4P目のトラバース。崩壊著しい箇所あり、フォローでもめっちゃ緊張。ここ、いつか完全に崩れちゃうでしょうね。

トラバースすると何となく見覚えのある立木のテラスに出た。ここでそこから上に伸びるクラックへ、伊和成パーティー先行。
が、次のピッチのでかいハング下で、ルートに迷っている様子。結局わりーといいつつ、左にトラバースして消えていく。

我々もクラックのピッチをとりあえず登る。くそー、フレンズの大きさが合わない!このピッチ、V+ってあるけど、4尾根すべてのピッチを入れても一番難しく感じた。小さめのフレンズを入れたため、途中でずれたらしく回収のいくさんには苦労かけてしまった。スイマセン・・・。
ハング下から右に行ってみる。ありゃ、ちゃんと踏み後あるやんか。どうも、下の立木からそのまま右のガレを登ったらここに出てくるようだ。

そこから易しい1ピッチを登り、テラスに出る。7P目、いくさんのビレーをしていると、3人パーティーが追いついてきた。
8〜9P目の間に、この3人は正規ルートから少し右のぼろぼろルンゼを無理矢理登って抜かしていく。元気やなあ。

9P目をフォローで登ると、やっとこさそこが4尾根の取りつきであった。噂の赤ペンキで「4」とある。

先ほどの3人パーティーが取りつき始めたので、待っていると伊和成Pが左からひょっこり現れた。ありり!?
どうも下部で左にトラバースした結果、ピラミッドフェースに入ったそうだ。で、またこちらに戻ってきたらしい。

10時50分、4尾根主稜に取り付く。岩もかたく、支点はいっぱい、おもしろいほどぐいぐい登れる。ううう、ガスさえ晴れてりゃ最高なのに。
途中、下部取りつきで出会ったピラミッドフェースのパーティーも加わり、各ピッチで順番待ちがあった。
核心のVのピッチはハーケンがこれまたべったり打ってあり、何の躊躇もなしにA0。ふっふ、アルパインはスピード重視なのだ。
コルへの懸垂後のピッチ、終了点は2カ所あるが、上で取った方がよし。その次のピッチで最終終了点までロープが届く。
我々はロープが足らないかもしれないので、枯れ木テラスできったが、そこから終了点まではもう少しだった。去年ワタクシを半泣きにさせた城塞チムニーがすぐ脇に見下ろせる。

14時半、4尾根はあっけなく終わってしまった。取りつきまでの方がよっぽど悩ましい。

伊和成パーティーも到着し、お花畑を経由して、北岳頂上へ。

肩の小屋からは、各自のペースでテン場まで下山。なりたまさんは、一瞬にして消えてしまった。
40分ほどで下りたらしい。ぐえ。
いくさんも「下りは得意なの〜」と、とっとと視界から消えてしまった。おばちゃ〜ん、膝痛めるで〜!!と心の中だけで囁く。
虚弱な小生を一人残すのは哀れナリ、と気遣ってくれたのか、伊和さんはトロトロと下りる小生につきあってくれた。このだんな、ナカニシヤ出版の哲学専門とだけあり、こゆ〜い道程であった。

テン場では、とっっっくに下山したお二人がテントを撤収していて下さった。
荷物を整理して、下山。ながーいながーい道のりだった。カブトムシでもくったろか〜という気持ちになるほどくたくたへろへろになって21時駐車場着。

温泉に入る間もなく、あわただしく帰路につく。
最後の運転がホンマの核心であった。3時半帰宅。
愛社精神あふれる熱血感の小生は、もちろん月曜日もいつも通り出社。
ふう・・・。

【所感】
4尾根主稜自体は、とても快適で楽しいルート。
終了点から登山道までは可憐なお花畑が続き、最後には北岳頂上に抜けるという、とっても充実するルートなので、大渋滞するほど人気があるのもよく分かります。
ただ取り付きまでを含めると全部で15Pになり(ルートにもよるが)、その日中に下山となると、渋滞したら結構つらい。
何が一番つらいって帰路の運転。余裕をもった山行を心掛けたいと、毎度思ってはいるのですが・・・。
今回は途中からガスの中になってしまったので、また青空の下でさくっと登ってみたいです。


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