日  程 2001年12月22日〜23日
地  域 北アルプス 蝶ヶ岳(敗退)
メンバー 河野・平岡(記録)

 
−−−吹雪やラッセルにどちらか片方が不安を感じたら引き返すこと−−−を鉄則に、河野・平岡隊は北アルプス・蝶ヶ岳を目指した。
 O将軍とM軍曹にくっついて行ったとはいえ、何度か縦走してるし、トレーニングも積んだ。私達なら行ける。
もし行く手を阻むものがあるとすれば、人知を越えた吹雪やラッセルだけだろう−−−。
 それがよもやこのような結果になろうとは!!。

 12月21日、急行ちくまにて松本へ。まずここで熟睡できなかった事が第一の敗因である。
斜め向かいのガ・・・お子様は泣きわめくし(「ビエ〜ン!!」母「ちゃんとしなさい!」「ギョエ〜ン!!」「そんなことしてたら座席でオシッコ漏らしてしまうよっ!!」(ひぃぃぃ〜、やめてー!!))また、暖房の効きすぎで熱いのなんの。暖めりゃいいってもんじゃねーだろ、ンニャロJRめ!!

 22日4:14松本駅着。天気は良いようだ。安房トンネルの開通により、現在は冬期でもバスが運行しているが、始発が松本BT発7時50分のためタクシーにて釜トンネルへ。女性単独登山者と相乗り、1万2千円也。
 釜トン到着。「ガビーン!!」ふっ吹雪いてる・・・。なして?さっきまであんなに晴れてたのに?我々は電車を降りたまんまの格好であったため、慌てて着替えなければならなかった。そーいや同乗者は駅でプラブーツに履き替えておられたっけ。出だしイキナリ失敗。

 気を取り直して出発。釜トン内は結構急で、凍っていたらかなり怖いだろう。ヘッドランプ必携。
 
 積雪約10センチ、雪はちらつくものの、案外温かい。
 前を行く女性単独者のトレースがうっすら残り、ルートファインディングの必要もない(元々ないとゆー噂も?)ため、順調に進めば夏と大して変わらない時間で行けるのでは、などと甘っちょろい予測。

 今日の目的地は横尾。蝶ヶ岳を縦走するには横尾から急登を登り、緩やかな長併尾根を下るコースが一番なのだ(と思っていた)。
 
 はた姉の白倉トレーニングのお陰で(?)体調は割と良いが、如何せん荷物が重い。重くて重くて、二人とも15分と歩き続けられないではないか。うー、何で2泊3日でこないに重いのじゃ?!やっぱドデカシュラフか?いやオヤツ持って来すぎたか? 肩が痛いよー!!
 
  40〜50分歩くごとに休憩。昨夜の寝不足から、休む度にザックに仰向けになり爆睡する二人。 一回の休憩に20〜30分は費やしたろう。

 会話も途絶えがちになり、ただ惰性で歩く二人。 明神館までがこんなに遠いとは!既に取り返しがつかない程大幅にコースタイムから遅れている。
「・・・こら横尾、無理ちゃうか。」「確かに。」「一刻も早くテント入って寝たい。」やむなく予定変更。横尾まで行ってたら明るい内に着くことは出来なかったろう。う〜む「最悪、徳沢まで。」とか言ってたけどその「最悪」になってしまったではないか!!。
 
 3:20 徳沢着、トイレの側にすぐさま幕営。
 積雪は約30センチ、雑木林に囲まれた一面の雪景色が何とも幻想的で美しい。
  
 睡魔と戦いつつ夕食を終え、作戦会議である。この時点で横尾経由案は消滅しているので選択肢は2つ、長併尾根を往復するか撤退するか、つまり行くか行かないか、である。
 今日の行程ではコースタイム4時間のところを9時間近くかかっているのだ、この高低差で。明日のコースタイムは夏道で4時間半となっている。この荷を背負って今日以上の道のりを行くのは不可能であった。

(無理やで、絶対。無理に決まってるやん・・・!河ちゃん早く撤退を言い出してくれ〜・・・!)あとで聞いたら彼女も同じ気持ちだったという。が、プライドだけは槍より高い二人のこと、自ら撤退を言い出すこともなく深い眠りについた。

 翌朝4時に鳴り響くアラーム、しかし起きようとする気配は微塵もない。7時を過ぎた頃のそのそとテントから這い出てみると晴天この上ない絶好の登頂日和であった。周囲には7〜8張りのテントがあり、皆空身で頂上を目指した様子。
 取りあえずどんな尾根なのか見にいくも、もともと体調は悪くない上、天気は良いわトレースはバッチリだわ(・・・要するに外的敗因は何も無かった訳ね)なかなか降りる決心が着かない。私の高度計では現在1,490mだったので(合わせてない)キリの良いとこ1,500mで引き返す事にする。「行けるトコまで上を目指すのじゃー!!」
 なだらかといわれる長併尾根だがなんのその。ジグザグにルートは取ってあるもののどうしてどうして急登じゃないの。試しにラッセルして見たが、空身でもシンドイじゃん!。
「ひらぱ、今なんぼ?」「んー、アレ?まだ1,490m。」−5分経過。「なんぼ?」「んー1,490m。」「おっかしーなー?」「これは”上を目指して行け!!”ちゅー事かな?」
−更に5分経過。「うーむ、やっぱり1,490m。」キリがないし、12時になったし、下ることにした。
 蛇足だが、徳沢に下りてもまだなお1,490m、おバカな平岡はメモリーされた高度を見ていたとゆうオマケ付き、シツレー致しました。
 
 余りに美しい雪海原の徳沢に名残も尽きず、しばらく写真など撮った後、帰路へと向かう。

  あああ・・・敗退、こんなに天気も良いのに敗退とは!。 「北アルプスの蝶になりに行くのだ!」などと豪語し、Yナセ氏やM川氏に「蛾じゃね〜の?」と揶揄されたけど、蛾にすらなれない幼虫(しかも芋虫系?)の我々であった。

 O将軍やM軍曹と一緒に行ってた頃、「もっと存分に休憩した〜い!」「写真とかバッシバシ撮りながら行きた〜い!」「池なんかあったりしたらついでに遊んで行きた〜い!」などと思ったりもしたけれど、ああでもしなけりゃ一日の行程をこなすことは出来なかったのネ、今やっと分かりました。

 ただただ体力の無さと意志の弱さが露呈された結果、顔洗って出直します、ハイ。

 最後になりましたが、色々アドバイス下さった方々およびこんな我々を何度も北アルプスに引っ張り上げてしごいて下さった方々、そして無謀な計画につき合ってくれた河野さん、有り難うございました。              

*交通手段
  バス  松本BT〜中ノ湯(冬期1日4便 2,000円)
 タクシー     〃     (予約不要  12,000円〜)
 マイカーの場合は沢渡よりタクシー

*冬期トイレ
 上高地、小梨平、明神館、徳沢園 各地に有り。
  自動販売機は使用不可。

*冬期営業小屋
 徳沢園 (横尾山荘および蝶ヶ岳ヒュッテは冬期小屋のみ)
        
以上

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