感想目次
「ひぐらし」の概要と、感想を記述します。完全なネタバレなのでご注意ください。
私はアニメ版→「解」の順序で進めました。それぞれの時点での感想を記載します。
感想A=アニメ視聴時の感想(同人版未プレイ時)。
感想G=同人版の祭囃しまで終わらせた後の感想。
ちなみに、私は原作派です。

鬼隠し編
綿流し編
祟殺し編
暇潰し編
目明し編
罪滅し編
皆殺し編
祭囃し編他(これだけは別ページ)
鬼隠し編
・村にとって新参者にすぎない圭一が、オヤシロ様の祟りとよばれる一連の怪死事件を知ることになる。警察と情報をやりとりし始めた圭一を、監視し脅迫するかのような友人達。命の危険を察知した圭一は、友人を撲殺して危機を脱するものの、謎の解明を願う遺書を残して不可解な死を遂げてしまう。
(感想A)
まさに出題編。プレイヤーと同じく、未知の状態で不可解な事件を知り、親しかった友人の変貌に恐怖する物語。村に存在する”何か”が秘密を守ろうとしているのが原因と思いました。突如話題に上がる”監督”が黒幕だと早合点しました。あるサイトによると、その言葉は最初の犠牲者である現場監督へのミスリードだったようです。圭一の死に様がどうしても祟りにしか思えません。書き残した手紙と、それに対する細工がさらに謎を深めます。
作業服の男達と最後の注射器には、少しひっかかりました。その目的や効用が明示されていないため、悪意ではなく善意の可能性に気づきました。推理ではなく作劇上の手法としてです。特に作業員が”正体不明の敵”らしすぎることから、善意の側の可能性も高いと感じました。とはいえ、圭一に迫る危機を考慮すると、村の暗部の人間にしか思えませんが。


(感想G)
圭一の一人称で語られているのに、その事実認識に嘘が紛れ込んでいるようでは、出題の前提条件が成り立たないと思います。この点で言えば、謎解きを挑む側としては、あまりに手抜き、あまりに不公平です。個人的には謎解き以上の楽しみを得られたので、その罪を赦すとしましょう(笑)。この設定返しがなければ、さらなる高評価が期待できたと思います。
全体として見た場合の疑問点をいくつか。
・他のシナリオで死んでいるはずの鷹野が行方不明となっているのはどうしてでしょう?
・鬼隠し編はアニメでしか知らないのですが、このシナリオで雛見沢大災害が発生しないのはなぜでしょう? 圭一が知らないからと説明づけるならば、大石が発見した手紙を見せるのは、アンフェアだと思います。作劇上、徐々に話を盛り上げるべく、祟殺し編で初出としたのは理解できるのですが……。

綿流し編
・古手神社の祭具殿を一緒に覗いた富竹と鷹野が死亡したため、自らも祟りにあうことに脅える圭一と詩音。その事実を知った村長や梨花、さらには沙都子までが姿を消してしまう。レナの推理をもとに園崎邸を訪れた圭一たちは、魅音の口から犯行を告白される。事件後、逃亡中だった魅音が再び現れ、圭一を刺して高笑いするのだった。
(感想A)
これでオヤシロ様の祟りに園崎家が重要な位置をしめることが確定されました(笑)。疑問点は作業服の連中が登場しなかったこと。
レナについて驚いたのは、意外な名探偵ぶりを見せたことよりも、事件にまったく関与しておらず、むしろ反対の立場であったこと。
あとは、魅音が入れ墨を見せようとしたシーンが注意点。表向きはレナが肌を見せないように気遣ったわけですが、私は制作側の作為的なものを感じ取り「アニメ放映上、入れ墨を見せるのを自粛した」のだと思いました。もちろん、はずれ。


(感想G)
魅音の告白に対して、「犯人は魅音ではなく鬼だ」と熱弁する展開に、相手を説得できるほどの言葉とはとても思いませんでした。同人版の目明し編まで見れば心情も理解できました。あれなら納得できます。
目明し編を終えてしまうと、綿流しについて語るべきことはほとんどなくなりますね。その他については、目明し編にて。

祟殺し編
・突然戻ってきた叔父の虐待にさらされる沙都子を見て、圭一は叔父の殺害を決行する。そのことを気づいたらしい鷹野と、圭一を危険人物と判断した入江が、圭一の望んだとおり死亡することとなる。梨花の死体を見た沙都子は、圭一を犯人だと疑って吊り橋から突き落としてしまう。落ちる瞬間の圭一は村の存在そのものを呪い、その夜に起きたガス発生事故は圭一が望んだとおり雛見沢村を全滅させてしまう。
(感想A)
圭一が悟ったように、昨年の祟りはおそらく悟史の仕業と思われる。
圭一が殺した事は事実と思えるものの、死体が見つからないことと、沙都子の証言がどうしても両立できない。
あと、事件後に遭遇した鷹野の車で、トランクがふさがっていることと、富竹の自転車を積んでいる事実から、どう考えても鷹野は加害者側としか考えられません。
大石の嫌な奴ぶりにビックリ。刑事としては優秀なのは認めるが、だからこそ、こちらの立場(被害者か加害者)により印象が変わるのでしょう。「ダイハード」に登場したマスコミにも同じ印象をうけました。事態を悪化させる迷惑キャラですが、事件に対する嗅覚だけは鋭いという感じ。


(感想G)
大いなる勘違いの連続(笑)。鷹野も入江も大災害も、全てが偶然にすぎなかったという事実。
鉄平の死体が見つからない理由が未だに不明。山狗が始末したと想像したが、時系列順でみると死体消滅後に入江に告白しているため、それはなさそう。可能性としては、鷹野が手を回した可能性あり。
アニメの冒頭に出ていた死体について説明なし? ネットで調べたところ、組の金を持ち逃げしたリナが見せしめにされた?

暇潰し編
・5年前のダム建設騒動のころ――。犬飼大臣の孫が誘拐され、警視庁の赤坂はかすかな可能性から雛見沢ダム反対派の調査に訪れる。戦闘のプロと思われる誘拐犯を相手に、赤坂と大石は無事に子供を救出する。東京に戻った赤坂は、梨花の予言どおり、東京へ戻らなかった事が原因で起きた妻の死亡という「不幸」に遭遇する。それから10年経過し、大石と再会した赤坂は梨花から聞かされた、連続怪死事件の予言について告白するのだった。
(感想A)
時間軸が違うこともあり、連続怪死事件との直接的なつながりはないものと判断しました。
梨花の言葉はあくまでも予言と考察した。もしも詳細な事情を知っているならば変えたいと思いながら、変えられないはずがないと思えたからです。

(感想G)
連続怪死事件との接点が非常に少ないため、謎解きとしては重要性が低い話。
ただし、この時点での梨花も事件の経過を知っていることと、赤坂という駒が配置されるという点では、非常に重要なシナリオとなりました。
梨花もどうせ助言するなら、東京で不幸が起きるとか、それ以上に具体的な助言をすればいいと思います。
祟りとは無関係である赤坂の登場。梨花の特異性を演出するためだけのシナリオと考えたところ、そうではなかったようです。まさか、この赤坂があれだけの活躍するなんて夢にも思いませんでした。

目明し編
・園崎詩音は北条悟史と出会い彼に惹かれていき、悟史の重荷となる沙都子を嫌悪し、園崎家を憎悪することとなる。オヤシロ様の祟りで悟史が失踪したことから、詩音は圭一を囮につかって祟りについて調べようとする。お魎、魅音、村長、梨花、沙都子を手にかけた詩音は、圭一の言葉を聞いて一度は見逃すものの、精神を病んでしまい圭一を刺した後に転落死することとなる。
(感想A)
詩音のフリをした魅音が圭一から情報を引き出していたと推測していたところ、まったくの逆だったことが判明。最後の魅音の言葉通り祟りには園崎家の関与はないものと思われる。実際、詩音行動以外に祟りを暗示させるものが登場しなかったため。
梨花の行動が不可解ではあったが、祟りと判断するには実行力として非常に心許ないと思いました。現に返り討ちされるくらいです。

(感想G)
この話(と綿流し編)は梨花が避けようと思えば避けられた展開でした。まあ、詩音の手を免れても、死亡は確定していたのでしょうが。
この展開は予測していませんでした。
アニメでは明示されていなかった、魅音と詩音の入れ違いに驚かされました。

罪滅し編
・レナは家庭を守るために、父親を苦しめるレナと鉄平を殺害してしまう。死体を発見してしまった部活メンバーは、お互いの罪を許し合いレナの共犯となることを選択する。不安定な状態のレナは鷹野から預かったノートを信じ込み、オヤシロ様の祟りは狂信者による細菌テロとして暴走し始めた。圭一は別な世界でレナと魅音を撲殺した後悔から、命がけでレナを救うことを決意する。だが、レナは宇宙人の侵略を回避すべくクラスメートを人質に学校を占拠してしまうのだった。
(感想A)
レナの告白を聞いたとき、これだけの過去を持っているからこそ、鬼隠し編の圭一はあんなにも仲間ということにあれほどこだわったのだと思いました。その理由が今こそわかったと(笑)。この時点では鉄平=叔父だとまったく気づきませんでした。
鬼隠しでの前提条件をほとんど抹消してしまうちゃぶ台替えしを実行。
寄生虫の設定は非常に納得しやすい理由のため、宇宙人というドンデモ説でカモフラージュされたものの正しい説明だと推測しました。
梨花もまた世界をまたがって記憶を有している事が判明します。

(感想G)
他の世界の後悔に涙する圭一に、私まで泣かされました。
最後に圭一が宣言した「予定された惨劇への挑戦」は、惨劇を望んでいるであろうプレイヤーや、登場人物に惨劇を強要する作者側への、皮肉や自嘲だと感じました。平和理に解決して明るいエンディング曲に安堵したのもつかの間、またしても大災害で村が全滅したことに驚かされました。
発症させるきっかけとなる疑心暗鬼をまねく大石という存在。オヤシロさまの祟りの真相を追うはずの彼が、祟りを引き起こすという皮肉。知らずにいる本人は幸せですね。
鷹野が疑心暗鬼を増長させるためにあのノートを渡したのだでしょうか? その場合、冥界とか地底人説も、その目的で? 研究一筋に思わせながら、完全に個人的な趣味によるもの?

皆殺し編
・昭和58年の6月に発生する自らの死によって、梨花は百年以上も同じ時間を繰り返していた。それぞれの世界で後悔を重ねた部活メンバーの行動と、期待していなかった赤坂の登場に、7月以降の未来を期待した梨花だったが、沙都子を虐待する鉄平の帰宅に打ちのめされてしまう。だが、部活メンバーはクラスメイトや学校外の知人から協力を得ただけでなく、町会や園崎家まで説得して村の因習を吹き飛ばしてしまう。叔父の虐待と村人の差別から沙都子を救って祭を楽しむ彼らだったが、雛見沢村は圧倒的な猛威の襲来によって全住民が死滅してしまう。
(感想G)
梨花の知る知識が予言ではなく、これまでの記憶からの類推であることが判明。全シナリオの記憶を持っていることで、プレイヤーと同じ立ち位置となりました。睡眠薬をかがせる実行犯の顔しか覚えていないという理由付けで問題なさそうですが、乱暴な死に際では記憶が残らないという設定から真犯人を覚えていません。
協力者や理解者を増やしていく一方で、町会の横やりや大石の妨害が発生し、決して順風満帆とはいきません。ですが、それを乗り越えようと前進し続ける爽快感が素晴らしいと思います。公務員の事なかれ主義や、自己満足的な公正さが、実にリアル(だと思う)。
町会の説得あたりで、これまでに惨劇が起きていないことに気づきました。タイトルから考察するに、村中で団結して無事に沙都子を救出したあとになって、皆殺しが発生するのだろうと推測しました。とはいえ、仲間達の死亡だけでなく、そこから派生される雛見沢村の抹殺作戦は衝撃的でした。
鷹野の「元からそういう目的で送り込まれている」というセリフは、祭囃し編での状況説明と合致していません。祭囃し編の発表前に設定の変更がされたのでしょうか?
エンディング後に、作戦実行場面が描写され、鷹野が上機嫌となります。「賛歌」のBGMが印象深いため、CDに収録されていなかったのが残念でした。
沙都子が雛見沢症候群を発症しているという事情から、叔母を殺したのが沙都子で悟史はそれを知ったために自分に疑いがかかるように失踪したと予想しました。

今回の話では、物語的なIFが明確に出ていると思います。
すべての発端は梨花の発言であり、それがなければ前提条件が覆されることとなります。

梨花がその日にやるゲーム内容を、圭一に予言する。
その言葉を否定するために、圭一は百万長者ゲームではなく、白ヒゲゲームに変更する。
   ↓
白ヒゲゲームの盛り上がりで、オークションの司会に抜擢される。
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オークション用にオモチャ屋へ向かい、事件の発生前に大石と仲良くなる。
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綿流し実行委員会で町会との交渉機会を持つ。
このあとは、沙都子救出へノンストップで。


ルールX〜Zは事件を構成する条件ではありますが、もう少し補足すると、作者が物語を構成するための設定とも言えます。本来ならば二次創作作家も守る必要があるのですが、この時点で明記されても間に合わない方も多いのでしょう。
キャラの立ち絵を見て、今頃になって罪滅し編の鉄平と同一人物だと気がつきました。


祭囃し編
最終作ということもあり、別ページに記載します。-
[祭囃し編]