電車事故で両親を失い、施設で虐待を受けていた少女は、父の恩人である高野一二三に引き取られた。高野がたったひとりで研究を続けていた雛見沢症候群の論文を、学者が嘲笑を浴びせて踏みつける場面を目撃して、少女は涙をこぼす。
鷹野三四はようやく自分の存在理由を悟る。専門的な知識を手に入れ、必要な人脈を得ること。祖父の研究を結実させるためにこそ、自分が存在するのだと。
施設からの逃走を図ったため、さらなる虐待にさらされた鷹野。明確な描写がないぶん、恐怖感の盛り上げが凄まじい。怖すぎっ!
運命の10円玉というのは印象深いのですが、電話番号を覚えているというのは出来過ぎだと思います。思い出すのは名前だけで、電話帳で調べる程度で押さえてもらいたかったです。
決意した鷹野が、自分の目標を定めて駆け上っていく場面は十分に燃えました。
すでに祖父は亡くなっているが、その研究成果さえ残せれば、祖父の名は鷹野の名と共に永遠に語り継がれることとなる。それこそが神となること。
入江機関を設立した鷹野は、雛見沢症候群を研究して、オヤシロさまの祟りの真実を解き明かすために雛見沢村を訪れていた。
鷹野の前に姿を見せたオヤシロさまである羽入が宣戦布告する。鷹野がどれほど強敵であろうとも、仲間達とともに彼女の意志を打ち破ると。自分たちの未来をつかみ取ると。
このあたりは非常に短い部分ですが、この対峙こそが祭囃し編を体現します。鷹野の半生を追うここまでがあくまでもプロローグ。ようやく登場したタイトルバックがいやが上にも盛り上げます。
羽入や梨花が見てきた記憶のカケラ。
両親の不幸を悔やむ入江、発症してしまった沙都子や悟史、村の旧弊を嘆くお魎と魅音、恩人の敵討ちを誓う大石、新たな生活を望む前原家、救えなかった命に涙する赤坂。
様々な思いが交錯するなか、「東京」内の勢力変動にともない、入江機関の撤退が決定してしまう。途方に暮れた鷹野は自分の手で幕を下ろし、権力者に雛見沢症候群の存在を思い知らせようと決意するのだった。
辛く悲しいエピソードが多い中、ようやく明るい兆しが見えます。戯れる少女達に感銘を受ける前原父、そして、圭一とようやく再会を果たした梨花たち。この二つのエピソードには泣けてきました。プレイヤーである自分も、どんなに圭一の登場を待ち続けていたことか! ところが、圭一の見せ場はこれが最後(笑)。
ほとんどの祟りは悲劇ですが、古手家の祟りだけは納得できません。ヒステリックで理性的とは思えないものの、古手母があのような不幸を受ける理由とはなりません。梨花とのすれ違いがあったものの、彼女の行動は娘のためだったというのに。この事件だけは純然たる鷹野の罪です。
実体化した羽入は転校生として部活メンバーと親しくなる。梨花は記憶の継承に失敗していたが、羽入だけは真犯人が鷹野であったことを記憶していた。
羽入の助言を受けて、入江から入手した情報と、部活メンバーが推理した動機を提示し、梨花は富竹に調査を依頼する。その場に姿を見せたのは、大石と赤坂であった。
正直なところ導入部の設定に問題ありと考えています。羽入の姿は梨花にしか見えないと明言していたはずです。さらに、羽入が記憶できているのに梨花だけが忘れる事態も不可解だし、羽入が教えるくらいならば梨花が覚えている設定でも問題はないでしょう。
鷹野の立場や状況分析をさくさく進めていく仲間達がまあ、ご都合主義かと。実際、梨花の説明の信憑性や、状況確認に時間をかけても仕方がないので、ここはスルーします。
ようやく登場し、無条件で梨花の仲間となる赤坂に、先行きを期待せずにはいられません。
正義や仲間を全てに優先する物語が多い中で、大石の葛藤は非常に珍しいものでした。「デスノート」でも相沢が直面した選択ですが、これは社会人でなければ共感しづらいものでしょう。
梨花の説明を聞いた部活メンバーは、対応策を検討する。彼らは、敵の終末作戦が梨花の死亡後48時間以内に発動することを逆手に取って、48時間前に梨花が死亡していたことを偽装すること思いつく。
敵側の盲点をつく48時間作戦の立案。力勝負とか小細工などではなく、敵の裏をかく、あるいは敵の虚をつくという、発想の転換ともいうべき作戦はみごとだと思います。
ちなみに、私が事前に考えた作戦は、梨花を殺して48時間経過後に死を明かすこと。これなら犠牲者は一人だけ(笑)。
大石は部下や同僚からの協力を取り付け48時間作戦の準備に取りかかる。作戦を前に、墓参りに出向いた大石は、墓前で茜と詩音に遭遇する。亡くなった現場監督のためにお魎が毎年おはぎを供えていたことを知り、大石はこれまでのわだかまりを捨てるのだった。
泣きはしませんでしたが、いいシーンだと思います。真相を知ることよりも、はるかに融和を象徴しています。
一人きりになったことで、富竹への想いや、自分の判断に思い悩む鷹野。
入江と鷹野は明日の祭について会話しながら、内心では嵐の到来を予感していた。
富竹が情報収集のために動いたために生じた、鷹野一人の時間。世界の分岐が上手く作用していると思います。だからこそ、鷹野にとって富竹の存在価値が増すというもの。
そして、表面上の会話と裏腹に、お互いが戦いに思いを巡らせる演出は素晴らしい。
綿流しの日、早朝――。
小此木造園に届けられた驚くべき情報。それは、古手梨花が死亡し、すでに48時間経過しているというものだった。動揺する鷹野と山狗部隊は事実確認に奔走する。
死体確認を強行しようとする県警の大高を相手に、大石が立ちはだかる。権力をかさにきた大高は、たまたま訪れた茜たちに叩きのめされる。
調査結果を待っていた富竹は、山狗の包囲を受けて、反撃もむなしく囚われの身となる。
狼狽する鷹野と、すかさず確認してきた野村に笑えます。
大高くんの再登場にニヤリとして、虎の威を「騙る」狐ぶりが大笑い。大石の出番はもう少しあると思ったのですが、なかったようです。
小此木と富竹の情報戦の緊迫感で盛り上げつつ、富竹の活躍とその末路。活躍を誇張しすぎでしょう(笑)。
診療所を脱出した入江は追撃を受けて負傷したものの、詩音と葛西に救われて園崎家へ保護される。
梨花の在宅を偽装していた赤坂も入江の連絡を受けて、山狗の包囲から脱出をはかる。
園崎家に梨花が匿われていることを確信した山狗部隊は強襲を決行。脱出のしんがりをつとめていた詩音と葛西が人質にとられてしまう。二人を助けるために、梨花は人質を志願する。
梨花の窮地を救ったのは、果てしない後悔を抱き続けていた赤坂であった。絶好のタイミングで部活メンバーが逆襲に転じ、山狗部隊の撃退に成功する。
敵中に孤立する緊迫感や、未経験のカーチェイスと、非戦闘員である入江にとって非常に苦しい状況。
鷹野を出し抜いた赤坂の逃亡ぶりが爽快です。山狗の園崎家包囲された時は、ここへ赤坂が到着しても合流できないし、捕まりそうなので心配したものです。
長引くかと思われた地下室籠城があっさりと突破されます。誰かの犠牲を強いる状況において、梨花の機転と覚悟は素晴らしい。この後は、梨花の救出作戦に移行すると予想しました。約束をあっさり反故にした小此木は、ある意味当然の対応なのでしょう(笑)。
梨花の個人的な窮地において、ついに、ついに、赤坂が登場! 「君を助けに来た」なんて、もう、泣けて泣けて。「バキ」的な文章表現や「エヴァ」的な演出技法なんかは、むしろマイナス要因でした。
番犬部隊へ連絡するためには富竹の救出が必須だった。部活メンバーは、梨花を囮にして山狗部隊をおびき寄せ、兵力の薄くなった診療所を別働隊が襲う作戦を選択する。
詩音は悟史が診療所地下で治療中であることを聞き、断固として奇襲部隊を志願した。
悟史の生存を知り救出を誓う詩音と、それを受け入れる魅音とレナが魅力的です。
囚われの富竹を前に、鷹野はようやく気持ちを打ちあけます。しかし、お互いの心情を理解できたからこそ、お互いに道を譲れない。このあたりで、富竹は「鷹野を最終的に許す」役割なのだと察しました。
裏山へ逃げ込んだ子供達を追って、山狩りを開始する山狗部隊は、この山が沙都子の縄張りであることを知らなかった。トラップと奇襲に翻弄され、わずかな時間で3割近くもの犠牲者が発生する。状況認識の甘い鷹野の判断もあり、被害は拡大する一方だった。
敵の主兵力を引きつける最大の見せ場において、これほど笑える展開になるとは思いませんでした。危機感ゼロ(笑)。ようやく、死人の発生がないものと感じ取り、お気楽に楽しみました。
どうしても集団戦闘がメインとなってしまい、圭一とレナは見せ場がなくなってしまいました。
隊員Aにすぎない雲雀13が意外な活躍ぶり。グッジョブ!
診療所で窮地に立たされていた詩音たちだったが、葛西の威圧と貫禄で守備隊を圧倒してしまう。悟史の病状に泣き崩れた詩音の前で、入江は自分の存在意義をかけて治療を誓った。
外部への連絡手段がないため、番犬部隊へ連絡するには村の封鎖から脱出するしかない。葛西と詩音は狙撃隊として援護にまわり、富竹と赤坂は防弾リムジンで検問の突破に挑む。富竹は熟練の射撃術を見せて、追跡者の撃退に成功した。
葛西の活躍ぶりが特筆もの。予想されていた銃撃戦ではなく、極道として恫喝と胆力で制圧してみせた凄味は圧巻です。カッコよすぎ!
戦いにおいて役立たずだった入江が、己の後悔を乗り越えて、詩音と約束する場面はうるっと来ます。症候群の治療という一点において、入江はこれからの雛見沢の未来に一番重要な存在ですもありますし。
あと、さすがに5年前の狙撃技術で説明するには無理があると思います。ちなみに、「シティハンター」では音が遅れるのは1kmとあったり、「ファントム」では400mを越える狙撃は困難とありますが、どうなんでしょう?
富竹は、鷹野がらみを除いて、ようやく見せ場がきました。誇るでもなく、さりげなく技量を見せた演出は上手いと感じました。
負けを悟った小此木は、敵リーダーである魅音と素手で対決し、自らの敗戦に決着をつけた。
諦めきれない鷹野に、小此木は全ての責任をとって自殺することを強要する。逃走して自暴自棄となった鷹野の前に、羽入が姿を見せる。仲間を守るべく死を覚悟した羽入の前で、梨花は銃弾を取り除くという奇跡を起こした。それは、誰かに罪を押しつけるのではない、誰も死なないという奇跡だった。
魅音が護身術を身につけているだけならまだしも、空気投げというのはやりすぎに思えます。一本背負いでも成り立つ構成なので、誇張しすぎに感じました。
スクラップ帳を踏みつけられたり、裸足で山道を歩いたり、鷹野にとってはサイコロ1の自乗。自業自得とはいえ、哀れさを誘います。
羽入の存在だけでも疑問視しているので、この奇跡は論外です。ジジ抜きの例えもあまり感銘を受けなかったため、このシーンは大して印象に残っていません。
番犬部隊に包囲されながらも、散乱してしまった祖父のスクラップ帳を拾い集める鷹野。現れた富竹は、鷹野の自傷癖を症候群の発症として調査部での身柄を預かると宣言する。泣き崩れる鷹野を、富竹が力づける。
鷹野に残された最後の希望。警備室での自傷癖でこの展開は予想できました。ただ、富竹が口にした「田無美代子」としてという言葉には疑問です。結果的に失敗したからといって、高野一二三への思いを全て忘れるように思えるんですが、それでいいのでしょうか?
遠くに聞こえる祭囃子。
長い一日を経て、ようやく綿流しの祭が始まろうとしていた。
情報提示の順番が上手いと感じました。祭を軽く描写しつつ、その後の未来について言及。時間を遡り、綿流しの祭で締める。
羽入がいるからこそ、その悦びに共感できる……というよりも、このエンディングのために羽入が登場したと私は考えています。
鳳9 | R追跡中に、霧に覆われて河原に迷い込み死んだ姉と遭遇する。※ |
雲雀6 | 丸太を転がされて捻挫。 |
雲雀10 | 包囲されて子供達の笑い声。 |
雲雀12 | 何かがぶつかって脳震盪を起こす。(当たり所が悪かったら死亡) |
雲雀13 |
何かがぶつかって脳震盪を起こす。(当たり所が悪かったら死亡)
気がついた後に単独で沙都子を追跡し、再度トラップによる被害。 |
雲雀16 | 鋼線で足を拘束される。 |
白鷺1 | ロープで吊り上げられる。 |
白鷺 | 3名が降ってきたドラム缶の直撃を受けて昏倒する。 |
鶯1 | 沈黙。 |
鶯7 | 広場で逆さ吊りにされる。 |
鶯8 | 根っこで足を縛られている。 |
鶯9 |
井戸を偽装した落とし穴に落ちる。(その後救出された?)
簀巻きにされて、頭をなでられている。 |
鶯10 | 後ろから井戸へ突き落とされる。 |
鶯11 | 井戸を偽装した落とし穴に落ちる。 |
鶯13 | 部活メンバーに襲撃される。 |