●レース参戦報告●
・日付: 2006年8月14・15日(火)晴れ 気温:灼熱
・参加レース:K4ーGP 富士1000km10時間耐久 AM08:00スタート⇒PM06:00ゴール
・主催: マッドハウス http://www2s.biglobe.ne.jp/~madhouse/
※K4ーGPとは
マッドハウス主催による軽自動車で限定量のガソリンで1000kmもしくは10時間を走りきるエコラン・・・です。
参加台数は毎年増加しており、今回は参加希望170台以上のところを苦渋で151台に調整したという
大変人気のある大掛かりなイベントです。
来年2月にはマレーシアセパンサーキットにて24時間耐久を行うというなんともスゴイことになっています。
主催者のマッドハウス杉山さんは障害者の参戦にとても理解・配慮をしていただいていて
私たちは安心して参加することができます。
・場所: 富士スピードウェイ(34番ピット)
・出場クラス: GP-1(車検付車両クラス)
・チーム名: MSバリアフリー+MIKA
・車両: バリアフリー1号アルトAT
・ドライバー:佐藤和洋・山田隆史・岡田慶太・中村宏一・小山多壽雄・橋本友好・佐野健一
(車椅子ドライバー全7名 うち頚損3名・脊損4名)
・メカニック:岩川靖治・佐久間勝彦
・サポート: S.Iレーシング
(有)MIKA 塩入達郎・木村美幸
≪今回のレースにおけるポイント≫
1.ドライバーの身体の冷却
頚損ドライバーの場合、障害のため発汗量が少なく、すぐに体温が38度〜39度になって熱中症になってしまう。
今回は灼熱のマレーシアセパンを見越したテストもかねて、頚損ドライバーの身体の冷却を最重要課題とした。
@クールベストの使用
⇒保冷剤を凍らせれば、十分に身体を冷やすことが確認できた。
数種類の保冷剤をテストし、使用する保冷剤が決定した。
次回セパンまでに保冷剤を24時間分凍らせる手段を再検討する。
A冷房の使用
⇒冷房の吹出口をダクトで首筋へあてることにより、頚損ドライバーが体調崩すことなく走行できることが確認できた。
2.脱水症状対策
走行中のドライバーの水分補給は必須なので、それぞれのドライバーが使いやすく且つドライバー交代時にもセットしやすい
方法として佐久間チーフメカが水分補給システムを開発した。
ドライバーは走行中、水分補給用チューブを常にくわえており、ステアリングのボタンを押すことにより水が出てくる。
⇒このシステムにより水分補給による心配はなくなった。
3.ドライバーごとの走行時間の延長
各ドライバーの1スティントの走行時間を前回よりも延長し、各ドライバーの体力を確認する。
@ピットストップでのタイムロスを減らし、少しでも上位を狙う。
⇒前回2月のピット回数「9時間で17回」に対して今回は「10時間で13回」
Aセパン24時間を見越して、各ドライバーの1スティント走行時間を45分として各自の体力を確認する。
⇒体力的に厳しい場合は周回数を減らす等で現場で調整した。
4.燃費のデータの収集
燃料総数が105Lと規定されているので、リッターあたり10kmは走らなければならず、
最高速度制限ごとの燃費データ収集を行った。
AM08:00〜08:45 最高速140km制限 ガソリン30L満タン 当日ベストラップ2分39秒7
08:45〜11:00 最高速130km制限 ガソリン20L給油
11:00〜12:30 最高速120km制限 ガソリン20L給油
PM12:30〜15:15 最高速120km制限 ガソリン20L給油
15:15〜18:00 最高速110km制限 ガソリン15L給油
⇒次回セパン24時間に向けての貴重なデータが収集することができた。
≪反省点≫
ドライバー個々のラップタイムに差があり、ドライバー全体のラップタイムを上げる事により、
より上位を狙えますし、作戦もたてやすくなります。
一番速いドライバーの優位な点は、富士でカートのスプリント競技に2回参戦していて、「どこのコーナーが全開で走れるか
を知っていたこと」でした。
経験のないドライバーが151台もの混雑の中、次のドライバーに無事バトンタッチしなければならない状況で
上記を探すことはそれこそかなり技量のいることです。
もちろんベストラップまでの2・3秒はドライバーの技量ですが、もし「走行の仕方」を共有できていたなら
ほぼ全員が安全マージンを確保しながらも速度規制なし状態で2分40秒台前半でラップできたことと思います。
今後としては、事前に一番速いドライバーの走り方を共有し、チーム全体のタイムを上げることにより
さらに上位を狙いたいと思います。
≪総括≫
今回も10時間にわたる耐久レースをケガやトラブルなく完走することができました。
特に今回一番懸念していた頚損ドライバーの熱中症対策が非常にうまくいき、来年の灼熱のセパンへ向けて
大きな前進ができたと思っています。
序盤から燃料不足が発覚したため、各ドライバーが意思を持ち低燃費走行を心がけ、
冷房使用による燃費の悪化も他のドライバーがフォローにあたり、完走に向けてチームに一体感が生まれました。
前回の2月はひたすら完走のみを求めていましたが、今回からは各ドライバーがドライビングテクニック向上を意識し始め
少しでも上位に行きたいという意思が生まれたのは大きな成果です。
障害者でも健常者でも関係なく、悔しさを感じることやレベルアップしたいという気持ちは同じで
普通であるということが実感できました。
今回、ご支援いただきましたスポンサー各位をはじめ、チームのドン岩川さん、佐久間チーフメカ、MIKA様、
マッドハウス杉山様、S.Iレーシング様 他応援に駆けつけてくださった方々のサポートがなければ成し得なかった成果
だと思います。
やはりモータースポーツは参加することが楽しいです。
そしてもっと多くの仲間とこの感動を共有したいと思っています。
一緒に参加していただける方は是非ともご連絡していただきたいと思います。
尚、今後も積極的に活動していきます。応援のほどをよろしくお願い致します。
≪ドライバーコメント≫
K4−GPへの参戦が今回で3回目となりますが、無事に完走できて良かったです。
ですが、予想外だったのが燃費でした・・・今回良いデータが取れました
ので、次回のセパンに向けて更に詰めて行きたいところです。
またご協力いただいたメカニック及び奥様方に感謝いたします。
山田隆史
今回、無事に完走することが出来、本当に良かった。
後半には、燃料不足によるガス欠になる恐れも出てきたが、チーム一丸となり無事乗り切ることが出来たと思う。
自分としてはまだまだ課題が残る走りしか出来なかったと思う。
今後、如何に効率よく速く走らせるかを考えて行きたいと思います。
しかしよく出来た車ですね!
中村宏一
まずは、スタッフ、応援していただいた方々ありがとうございました。お疲れ様でした。
2月につづき無事完走、10時間後のゴールの感動、達成感はたまりません。皆様のおかげです。
課題だった「暑さ」、チューブで飲むお水と、首元にセットしていただいた「エアコンダクト」快適、最高でした。
メカニックのお二人ありがとうございました。
曇りと山の風に恵まれ・・・8月としては車にも体にもラッキーな天候で助かりましたが。
セパンは今回のようにはいきませんよね。体に貼り付けた冷却グッツ、
1号2号3号・・・を今回体感した状況を参考に24時間セパンに向けて判断しなくては。
軽にAT、AC 少々走らないんですが、体が大事ということが痛いほどわかりました。
なにより、くたばってないことがチームワークにつながるということも・・・
佐野健一
今回は二度目の出場ということもあり気持ち的には楽かと思っていましたが
燃費の面や最終ドライバーだったこともあり一度目よりある意味緊張しました。
しかし、ファイナルラップを終えた時の感動はなにものにもかえがたいものでした(^-^)
最後に今回お世話になったみなさんありがとうございましたm(__)m
セパンはどれだけやれるかわかりませんがどうぞよろしくお願いします。
岡田慶太
今回初めて参加して、今までは勘だけで運転してきたんだな〜って感じてしまった。
次回までには色々と走り方を勉強してセパンでは良いタイムを出せるようにするぞー!!
橋本友好
チームの皆さん、10時間耐久お疲れ様でした。
マシンも全開いや前回同様、すばらしいパフォーマンスでしたね。
≪今回特に嬉しく感じたこと≫
@スピードリミッター解除で、ホームストレートでのバトルが出来た事。
A佐藤さんが『俺はエアコンつけないよ』と名言した事。
この件は、前日のフリー走行の時、エアコンをONでドライブした時、
ダンロップからパナソニックの上りが、OFFの時と比べ速度で言うと15〜20km/hは
違ったので僕もエアコンはOFFにしたいと思っていました。
でも俺だけ強がってエアコンOFFで行きますと言って、ダウンしてしまったらと思って
口に出せなかったのですが、佐藤さんの一言、格好良かったです。
B今回、なんとスタートドライバーを勤めさせてもらった事。
いつも僕は、レースの時(スタートを含め)あまり緊張はしない方なのですが、
今回は少し緊張してしまいました。
やはり僕以降に6名のドライバーがスタンバッている事や
物凄く高級なラジエターが右前方バンパー裏に追加装着されていた為、
第一コーナーでのちょっとしたアクシデントで、もしラジエターを破損してしまったら・・・
と思うと緊張してしまいました。
C2スティント目のドライブのときは、燃費を考えた走行でした。
なので各ストレートエンドの進入スピードが低い為、
ちゃんとクリッピングを取れる走りが出来た事。
ですが、佐久間チーフメカ様から『ローペースでの走行の時は必ずしもOUTインOUTではなく
ラインが取れれば最短距離を走行するベシ』なるほど。勉強になりました。
今回も無事完走!これも佐藤さんをはじめ、岩川さん、佐久間さん、念密なタイムスケジュールを
組んでくれた山田さん、ドライバーの皆の絆(24Hテレビ風)力だと思います、
有難うございました。次戦も、宜しくお願いします。
小山 多壽雄
今回は来年2月のセパンを見据えた大事なテストも兼ねており、
真夏の灼熱の中、頚椎損傷ドライバーの熱中症対策が成功したことが一番の収穫でした。
車両の方もフォーミュラ用のラジエーターを装備することにより水温が安定し、まったく問題のないことが確認できました
今までは完走のみを重視していたことに対し、今回はドライバー個々が自分の走りに疑問を持ち、
全員がチームの順位を気にするようになったことがとてもうれしかったです。
障害者だからしょうがない。完走すればがんばった。ではなく、上位を狙ってこそレースは楽しいということが
あらためて実感できました。
佐藤和洋