夜明けのコーヒーをあなたと −大人な二人のその後−


とある夜のこと、クラヴィスがふと思いついたように言い出した。
「そう言えば昔…」
「ん?」
「お前が『共に夜明けのミルクを飲まぬか』と誘いに来たことがあったな…」
かあああああああああああっ!
ジュリアス、いきなりまっかっか。外では表情も顔色も変えない氷のような美貌を誇るジュリアスだが、恋人の前では百面相をしてしまう。
「そ…そのことは…」
「フ…あのときは何のことかと思ったが」
「意味をよく知らなかったのだっ!」
「それはそうであろう。6歳の頃からわかっていたとしたら早熟すぎる…」
早熟というのはお前にはあてはまらぬからな、と笑うクラヴィスに言い返すこともできず、ジュリアスはこぶしを握り締めた。
わ、私とて、人並みに性知識くらいは持っている!! ただ…男同士でなどということは考えてみたことがなかっただけだ!!
心の中で抗弁しながらふとあんなことこんなことを思い出してしまって、ジュリアスまた赤面
つくづくからかい甲斐のある奴だ…。
なんてことを思いながら、クラヴィスは面白そうに恋人を眺め、意外なことを口にした。
「明日の朝はコーヒーではなく『夜明けのミルク』をやってみるか?」
「…そなた、ミルクは嫌いだと言ったではないか。だいいちもう大人なのだし…」
不審そうなジュリアスの耳元に、クラヴィスはささやきかけた。
「なに、本物のミルクを飲むと言っているのではない…。似たような液体があろう?」
一瞬わけがわかんないって顔をしたジュリアスはあることに気づいて大ショックを受けた。
かあああああああああああっ! とばかりに顔に血も上った。
さらにクラヴィスの吐息に耳をくすぐられてぞくりとしたジュリアス、意味深に笑われてこれ以上ないほどに真っ赤になった。
似たような液体って…………まさか、まさかクラヴィス!?
「そそそそそそそなたはっ!! 朝っぱらから何をしようというのだ!」
「別に……すがすがしい朝にはさわやかな飲み物がふさわしいと思ったまでのこと」
「あ、あ、あ、あ、あれの……どこがさわやかだッ!!!?」
「何を怒っている? …カ○ピスはさわやかだと思うが……違っているか? …むろん、原液は濃すぎるがな」
私はあの飲み物が気に入っているのだ…と、平然と続けるクラヴィスにジュリアス脱力。
「そなたという奴はっ!!」
「お前が勝手に誤解したのではないか」
まさかお前にそのような想像ができたとはな、と言って低く笑う声にジュリアスはまたくなって「もうよい! 私は隣の部屋で休む」とその場を逃げ出そうとしたところ、手をつかまれて引き寄せられ、あっという間にクラヴィスの腕の中。
この者はなぜ夜になるとこのように行動的なのだ!
抗うジュリアスを抱きすくめると、輝く髪に口づけながらクラヴィスは宣言した。
「朝でなければよいのだろう? お前の望みどおりにしてやろう」
だっ誰もんでなどッッッ!! ……んッ…ぁう…」

−暗転−

うぶなジュリアス、夜の帝王クラヴィスの策略にまんまとはめられて、熱い夜を過ごしたらしい。



※二人の会話に出てくる幼い頃のエピソードはこちら




−大人な二人のその後・おまけ−

さて、前回のお話の裏話のお時間と相成りました。
ジュリアス様が思い浮かべて赤面したあんなことこんなこととは、たとえば。

クラヴィスの膝枕で耳掃除をしてもらってあまりの気持ちよさに眠ってしまった。
夜眠るのは仕方がないとしても、そんな状態で寝顔をさらすなど、不覚!!(ってゆーか、恥ずかしいってゆーか)
とか。
一緒のベッドで寝ることに慣れなくて緊張してかちこちになっていたら優しく抱きしめて額にキスしてくれた。
とか。
緊張がほぐれて寝入るまで髪を撫でてくれた。
あれはあれなりに優しいのだ……いや優しいことは知っていたのだが(また赤面)。
とか。
要するに大変にお子様なあれこれなのであった。……大人のはずだったのに(笑)。

「男同士でなどということは考えてみたことがなかった」は「男同士で恋人になるなどということは考えてみたことがなかった」ってこと。

じゃあ、「うぶなジュリアス、夜の帝王クラヴィスの策略にまんまとはめられて、熱い夜を過ごしたらしい。」っていうこのラストの意味は?

−問題の夜、ベッドの上で起こったことを再現−
「なっ……何をする気だ、クラヴィスッッ!!」
「気にするな…」
ジュリアスの夜着に手をかけるクラヴィス。それに対して手も足も出し放題なジュリアス。
どげしっ! ばきっ! べしべしっ! どかっ!
この状態で約15分経過。
「はあはあ…痛いではないか。そのように邪険にするものではない…。私はお前の恋人では…なかったのか?(息切れ&ためいき)」
「……だからと言って…はぁはぁ…いやなものはいやなのだーーーーっ!!」
結局惚れた弱みでクラヴィス様、何もできず。
−再現終了−

クラヴィスの方はやる気満々だったけど、結局ジュリアスが怖がって抵抗して巨大ベッドの上で二人取っ組み合いになり、熱い、ではなくい思いをして汗をかいたというただそれだけのことなのでした。
……ってことはもしかしてクラヴィス様、まだ本懐を遂げていないって可能性大いにあり!?




【蛇足の蛇足】これでこそうちのクラジュリって気がしますね〜(笑)
書き手自身が彼らにはいつまでも楽しく漫才やっててほしいって気がしてるもんで、ついこんなおまけを。




■BLUE ROSE■