junk(竜を求めて珍道中)
-Plorogue- ぼうけんのたび、始めました
ドラクエはもう卒業したつもりだったんです。
DSで出た新作も全然やる気なかったんです。なのに何かむくむくとやりたい気分が盛り上がって、始めちゃいました。……やっぱ面白いわ。
以下少々ネタばれにつき、読みたい方のみ反転してどうぞ。
(この段階ではまだバレと言えるほどのものでもないかもしれないけど、念のため注意喚起)
ほー、今度のは天界で始まるのかぁ。守護天使様とな?
じゃあ主人公キャラは「アンジェ」だわね! と名前をつけて。
ヴィジュアル選べるので、もちろんふわふわ金髪、緑のつぶらな瞳。小柄な女の子で始めましたー。
最初は、何をしたら次の段階に進むのかよくわからなくて、村の中ひたすらうろうろしてました。
最初の村は「勝手に出ちゃダメ」って言われるし。
結局おばあさんの指輪を見つけてあげて、馬小屋の掃除してあげたらよかったのね。
めでたくゲームを進めることができています。
よくわからないのは、天使ちゃんだったのがなぜ人間の女の子になっているのかってこと。
まーいいや。おいおいわかってくるかな。
今はお城へ行こうとがんばってるところです。
ドラクエをプレイしていて、クラ&ジュリの会話を妄想してしまいました。
アンジェ@旅芸人、クラヴィス@魔法使い、ジュリアス@僧侶、ヴィクトル@戦士で始めたドラクエですが、この時点ではアンジェが転職してバトルマスターに、ジュリアスは諸事情により一時的に戦士になっています。
ネタバレな説明部分は反転したら読めます。
最初から選べる職業以外のものになりたいときには、試練を経てからでないと職を選べるようになりません。パラディンとなるための試練は「まものの攻撃から仲間を10回かばう」というものなのですが、「かばう」スキルは戦士じゃないと覚えられない。このときにはヴィクトルはかなりレベル高くなってたんですが、剣技ばかりにスキルを振ってたので「かばう」を覚えていない。
……さて困った。なぜならばスキルポイントをためるのに、レベルがそこそこ上がっているヴィクトルだと時間がかかる。うーん。
と考えて、幸いなことにクラヴィス様が「しゅくふくのつえ」を覚えていて魔法使いながら回復役に回せるので、一時的にジュリアス様に戦士になっていただくことにしました。(転職は自由だし、元の職業に戻ったら転職前の状態に戻れてペナルティなどはつかないから)
そうしてちゃっちゃとスキルポイントを貯めて、「かばう」を覚えたジュリアス様。
よし、ここからが真の試練ね、と指定された場所へと赴く。何せレベルの低い戦士だから、人をかばうよりも自分が防御した方がいいんじゃないの?とちょっぴり心配。
同レベルであれば、戦士は強い。やっぱり体力勝負の職業ですから。力が強くHPも高いです。それに対して魔法使いは体力面ではかなーり貧弱。戦士に勝るのはすばやさくらいでしょうか。
というあたりは、この手のRPGの基本でしょうかねー。説明するまでもないかも。
んで。戦いの様子をのぞいてみれば。
(1ターン目)
まものの攻撃!
ジュリアスはアンジェをかばった!
ジュリアスは○○のダメージを受けた!
アンジェの攻撃!
まものは○○のダメージを受けた!
ヴィクトルの攻撃!
まものは○○のダメージを受けた!
ジュリアスはアンジェをかばっている!
(2ターン目)
クラヴィスはしゅくふくのつえを振りかざした!
ジュリアスのきずが回復した!
アンジェはみをまもっている!
ということが何度も繰り返されて、戦い疲れた一行は宿屋に泊まることに。さてここで二人一部屋となったジュリアス様とクラヴィス様、部屋でぼそぼそと言い争いとなりますね。
「なぜ…お前はアンジェばかりをかばうのだ…?」←自分をさしおいてなぜアンジェを?と言いたい
「アンジェはバトルマスターに転職したばかりでHPが一番低いのだ。かばってやるのは当然であろう」
「…………」←自分も魔法使いでHP・防御力低めなのにアンジェばっかり!と恨みのまなざし
「そのような目で見るな。そなたはある程度経験をつんだ魔法使いであろうが!」
「そういうことを言い出せばお前とて駆け出しの戦士、私がしゅくふくのつえで傷の手当をしてやらねば、すぐにも死んでしまいそうなレベルではないか。人をかばっている場合ではあるまい」
「だが私が『かばう』行為をすることに意義があるのだ。この試練を乗り越えねば我々のパーティの誰もパラディンとなることはできないのだから、仕方なかろう。チームプレイとはそういうものだ。戦いの場に私情を持ち込むものではない」
「だが…」←自分がジュリアスの一番じゃなきゃヤダヤダ!と思っている
「誰かをかばわねばならぬ場合、一番危うい者をかばうのは当然だ。アンジェとそなたのパラメーターを比較してみるがよい」
「…確かに、お前の言うとおり仕方がないな…ザオラルを使える者がいない今、死なれるのは困る」←不承不承納得
「わかってくれればよいのだ」
「ところで、宿で過ごす夜は戦いの場ではないな…?」
「当たり前ではないか。…おい、何をするつもりだ!」
「言うまでもない」(にやり)
と言いながら鉄のよろいを脱がせようとしたクラヴィス様。←すばやい
「お前のこれは…むっ…重い、な…」←力なし
いくら力をこめても脱がせられなくて、汗かいて息が上がるだけ。
ジュリアス様、あえいでいるクラヴィス様を見てくすっと笑う。
「そなた、ひ弱なのだな」
「(むかっ)魔法使いなのだから仕方あるまい。お前こそ、よくそのような重い代物を装備して動けるものだ…」
「そう腹を立てるな。明日はそなたもかばってやるから」
「…そうなのか? それは嬉しい(喜)」←案外単純
とりあえずジュリアス様は、ご自分で装備を解くことに。何せ鉄製防具で身を固めてたら、単にベッドで眠るのにも不都合でしょうから。
大柄だけどひ弱で甘えっ子(笑)で俺様な闇様と、力強い光様の珍道中は続く(のか?)
事情があって一時的にアンジェと別れ、ルイーダの酒場で油を売ってるクラヴィス&ジュリアス&ヴィクトル。
お酒を飲みながら、うだうだとこんな会話をしていたかもしれません。
「戦いの毎日だったからな…。とりあえず一息つけるのは…ありがたいことだ」
「まったくです。だがそれはそれとして、俺はアンジェが一人でどうしているかと心配ですがね」
「私もだ、ヴィクトル。アンジェはバトルマスターとしての経験を積んで相当に強くはなったが、回復魔法を使えるわけではないからな。上やくそうなどをたくさん持たせたが、傷を負ったりはしていないかと……」
「…………」←ジト目でジュリアスを見るクラヴィス
「何だその目つきは?」
「お前は…いつもアンジェのことばかりだな…」
ジュリアス、ため息。
ヴィクトル、下手に口出ししない方がいいかもと思って静観の構え。
「そなたな……。共に旅した仲間のことを気遣うのがなぜそれほど気に入らぬ?」
「…別に」←と言いながら、やっぱり自分のことを一番に考えてほしいと思ってるのが丸わかり
「その態度は何だ!」
そっぽを向いて、クラヴィスはこんなことを言い出した。
「もうよい。次にダーマ神殿に行ったら、私は戦士に転職するからな…」
唐突にそんなこと言われて、ジュリアスはびっくり目になった。
「は? 戦士? ……まあ、どうでも転職したいというのならば止めはせぬが」
「あなたが戦士に?」
ヴィクトルも思わず口をはさんじゃったりなんかして。
「クラヴィス様に戦士はちょっと」
「ちょっと、どうだというのだ。私には戦士は務まらぬとでも言うつもりか。転職すれば自然とそれに見合った体になるのだから問題ない」むすーっ。
「それはまあそうですがね」
「魔法使いが抜けるのはパーティ全体としては少し痛いが、そなたは言い出したら聞かぬからな」
「ふん」←そっぽ向き
「何をそれほど怒っているのだ、クラヴィス」
「別に怒ってなどおらぬと言っているだろう」←でもやっぱり腹を立ててるのが丸わかり
「しかし、戦士などと。なぜそのようなことを思いついたものだか」
「私は転職して…『かばう』を覚えるのだ!」
「は?」
わけわかんないこと言い出したものだからジュリアスはリアルで(@_@) な顔。
「『かばう』を覚えたら…」
「覚えたら?」
「私だって…私だって…お前など放っておいてアンジェばかりをかばってやるからな!」
勝ち誇ったかのように宣言するクラヴィスに、ジュリアス、首をかしげた。
「……だからどうだというのだ?」
「…わからぬのなら、よい…」←うなだれ
クラヴィス様が考えに考えた渾身の一撃、ジュリアス様に嫉妬してもらおう作戦は大失敗に終わったのだった。
闇様、大柄だけどひ弱で甘えっ子(笑)で俺様な困ったちゃんだけど、戦士になれば「ひ弱」部分は解消されるはず。ただ、光様に嫉妬してもらえないなら転職する意味はない。
さあどうするクラヴィス?
アンジェが一人きりでこなさなければならないことが無事終わって、パーティ復活。4人はいよいよ悪の本拠地に乗り込もうかという段階に達した。
が。
その前に装備をもっといいものにしておこうとか考えると、少しお金を稼ぎたい。何をするにも先立つものは必要だ。だからあっちこっちうろついてはモンスターを倒したり、そういやこんな頼まれごとあったっけとそれをクリアするのにけっこう忙しい。
うろうろするついでにダーマ神殿近くまで来たので立ち寄ったところ、クラヴィスが「私は転職したいのだ」と言い出した。
そう言えば戦士になるとか言っていたな、と思い出した一行。
いま戦士なんかに転職されると、ある程度レベルが上がるまで決戦はお預けということになるのか、といささかうんざりしながら神殿に入った。
頑固者のクラヴィスに「今は転職するな」と説得する手間をかけるより、お金を稼ぐついでにレベル上げをしたほうが早いような気がしたパーティの面々は、諦め顔である。
「どなたが転職するのかな?」
と大神官に尋ねられて進み出るクラヴィス。
「私は魔法戦士になりたいのだ」
えっ? 魔法戦士? そんなの聞いてないよという仲間の驚きをよそに、クラヴィスは魔法戦士の気持ちになって祈り、みごと転職を果たした。
その晩、宿にて。
「しかしクラヴィス、そなたは戦士になると言っていたのではなかったか?」
「ああ、そんなことも言ったな」
「どうして魔法戦士に変えたのだ」
「…………」
何かぼそぼそとクラヴィスが答えたが、小声なのでよく聞こえない。
「はっきり言え」
「…魔法戦士のほうがオシャレだから」
その返答にジュリアスは目を丸くし、次いで大声で笑い始めた。
クラヴィス、赤面。
「そんなに笑うな…」
「いや、すまぬ」
と言いながらまだ笑っているジュリアスを、クラヴィスはにらんだ。
「そなたがそのようなことを気にするタイプだとは思っていなかったのでな。驚いたのだ。だが魔法戦士では、そなたが覚えたがっていた『かばう』を覚えることはできぬぞ。それでもよいのか?」
「…ああ。それはもうよい」
翌日からの戦いで、レベル1の魔法戦士クラヴィスは、ジュリアスにいっぱいかばってもらってゴキゲンだったとか。
自分が他人をかばって嫉妬してもらう作戦は全然功を奏さない雰囲気だったので、作戦を変えたらしい。そしてその作戦はみごとに当たって、とても満足なジュリアス大好き甘えっ子クラヴィスなのであった。
旅をしていると、いろいろな場所で宝箱と遭遇します。もちろん中身はありがたく頂戴します。
小さなメダルは集めるとちょっといいことがあるアイテムです。このほかに、古銭っぽい金貨とか銀貨とか銅貨とか出てきます。前からこんなのあったっけ? 何だろうこれ? 錬金で使えるんだろうかとか思ってたんだけど、単にコインであるだけのようです。
つまり売っぱらってカネにしろ、と。そういうことなわけですね。
*
宿でみんなで食事をしながら、ジュリアスが言い出した。
「装備を良いものに買い換えるのにもう少し現金が欲しいところだ」
「…私は…ピアスがほしい」
「単なる装身具でないのならよいが、無駄な出費はできぬぞ。錬金で作ったスライムピアスはどうだ?」
「…………」←返答なし。もっとオシャレなのがほしいらしい(笑)
ワガママを言う男はほうっておこうと無視して、ジュリアスは話を進めた。
「手っ取り早くゴールドを手に入れるにはどうしたらよいだろうか」
「不要なものを少し売り払ったらどうです? 袋の中にずいぶんといろいろたまってるようです」
「そうだな、ヴィクトル。何があるか、一度袋の中身を整理してみるのもよいかもしれぬ」
部屋に戻ってから四人で中身を選別。しかし売ってもかまわないものは基本的に安いものばかりである。
「……あまり金にはならぬようだな……。ん? これは何だ?」
分厚い冊子状のものを開くと、それはコインのストックブックだった。
「あ、それは…!」
あわててジュリアスの手からそれをひったくったのはクラヴィスである。あまりの早業にジュリアス呆然。さすが、ほしふるうでわを装備しているだけのことはあると妙な感心までしてしまう。が、一応抗議した。
「何をする!」
「これは…売ってはならぬ」
「だが古着などよりよほど高く売れるのだぞ。コインなどこの旅においては何の役にも立たぬではないか。持っていても重いだけだ。資金として有効利用するほうが賢い」
クラヴィスはフンと鼻で笑った。
「さすが賢者様だな。なかなかに賢くていらっしゃる。だがこれは渡さぬ。私のコレクションだ」
何とクラヴィス様、旅の過程でコインが増えるたびに磨いて保管用のストックブックまで調達してひそかにコレクションしていたものらしい。
「そなた一人のものではあるまい。我々四人のものであろう!」
「だが今まで誰もこれに目をつけなかったではないか。コインの美しさに目を留めて大切にしてきたのは私だ!」
「そなたは我が儘が過ぎる!」
「ジュリアスのケチ! 意地悪! バカ!」
「バカ? バカと言ったか!? 私は賢者だぞ!」
「そんなことは知っている。職業に関係なくバカはバカだ!」
つかみ合いになりかかったのをヴィクトルが押しとどめた。
「まあまあお二人とも、あまり興奮なさらず。アンジェがびっくりして半泣きですよ。天使を泣かせてはいけません」
「……わかった」←二人声をそろえて
結局、ぬののふくとかステテコパンツなどといった不要な品を処分すると同時に、同種のものがいくつかあるコインの一部を手放すことにクラヴィスはしぶしぶ同意した。
本当にしぶしぶと。
「せっかく磨いたのに…コインはとてもきれいなのに…ちいさなメダルは貴重なアイテムと交換するためのものだから仕方ないが、使い道のないコインくらい私の自由にさせてくれても…」
「使い道がないからこそゴールドに代えて有効利用するべきところを、そなたの我が儘を聞いてやったのだから、あまり文句を言うな」
「でも…」
それでもなおウダウダ言おうとして、あまりしつこいと同じ部屋で寝てやらぬとジュリアスから囁かれ、クラヴィスは仏頂面でようやく道具屋にコインを売り渡したのだった。
アンジェたち四人は最終決戦でもみごと勝利をおさめて、世界を破滅から救ったのだった。
普通ならこれで旅は終わるはずのところ、まものを倒し人助けをしながら自らを鍛える、そんな旅はまだ続く。
いろいろなスキルを磨き、自分を鍛えるには転職は欠かせない。
これまでに何度か転職を繰り返しているメンバーだが、現在アンジェは駆け出し魔法使いLv2、クラヴィス戦士Lv22、ジュリアス賢者Lv42、ヴィクトルはパラディンLv53、といったところ。
このラインナップで、ひ弱なはずの魔法使いであるアンジェがやたらに強い。
Lv2だというのに戦士Lv22のクラヴィスとほぼ同じHPを持っていて、力も強い。ザコ敵なんか目じゃない。斧でばったばったとなぎ倒していく。しかも魔法使いなので、もともとかなりすばやい設定となっている。すばしっこく力強い魔法使いは、まだ全然魔法が使えなくても十分パーティの戦いに貢献している。
そんな頼もしいアンジェの姿を見て、クラヴィスはいささか憂うつになっていた。
何とアンジェは強いのか。それにひきかえ私は…。
私が魔法使いだったときには体が弱くて打たれ弱く、うっかりしているとすぐに死にそうになっていたのに。
誇れるのはすばやさ(と魔力)くらいだったのに、アンジェときたらすばやいだけでなく、魔法使いのくせにやたらと強い。
そして、私の今の戦士の体ときたら! 何とノロいのだ! 敵に打ちかかることができるのは、決まって最後になってしまう…。
下手をすると私の出番はなく、アンジェを含めた皆が敵を倒すのを眺めているだけだ。
戦士なのに剣をふるうチャンスにすら恵まれぬとは。
私は全てにおいてアンジェに…劣っている(がっくり)。
それもそのはず、アンジェはバトルマスターやら武闘家やら戦士やら、肉体派の職業でスキルを伸ばして基礎体力を上げているので、どの職業に就いても最初から比較的力が強くHPも高く、すばやい。
それに対して長いこと魔法使いをした後魔法戦士としてのキャリアを積み、途中でちょっと盗賊をかじっただけのクラヴィスは、そのときに就いている職業の元のパラメータにもろに左右される。つまり、基礎体力では貧弱なままなのである。
このままでは男の沽券に関わるとか思ったクラヴィス様、ここは我慢してもう少し戦士でがんばってHPを上げ、あと武闘家とパラディンなんかもやってみようと考えていた。
やっぱりジュリアスにかばってもらって喜んでいるばかりではよろしくないということに、ようやくにして気づいたものらしかった。
「それにしても…アンジェはまるでコータロー・サトミのご老公様のようだな…」
と言って、クラヴィスはフッと笑った。
それまで黙って考え込んでいたのがいきなりのこの発言、相部屋のジュリアスには嫌でも耳に入るが、何が言いたいんだかさっぱりわからない。
「何の話だ」
眉をひそめてジュリアスが訊き返す。
「ご老公様はこれまで誰が演じても『スケさんカクさん、頼みますぞ』と戦いは人任せの、か弱いお年寄りだったのだ。しかしサトミに限っては、自ら戦いに参加し、杖をふるって悪漢どもを懲らしめる。やはり以前にスケさんやらカクさんやらを務めていて、戦闘に慣れているのであろうな…」
どうもクラヴィスはテレビっ子だったようだ(笑)。
そして、テレビとは無縁の生活をしてきたらしいジュリアスにはさっぱり話が見えない。
「別によいのだ、わかってくれずとも。とにかく、いろいろな職業を経験することが大切だという話だ」
「そうだな、そうやって前向きに生きるのはよいことだ」
ご老公様とやらの話はよくわからなかったが、クラヴィスにしては珍しく積極的な態度なのが好ましく思えて、ジュリアスは微笑んだ。
「しかし…魔法戦士から戦士に転職したとたん、おしゃれさががた落ちなのは悔しい…」
呟いたクラヴィスの声を聞きとがめたジュリアス、
「魔法戦士を選んだ理由を聞いたときには驚いたが、本当にそなたは『おしゃれ命』の男なのだな」
と吹き出したのだった。
※注:ご老公様に関する闇様の発言はわりとテキトーです。私は時代劇けっこう好きなんですが、あの番組はほとんど見てなくて、そういう印象があるってだけ。
戦い済んで日は暮れて、闇様と光様が宿屋でのんびりしながらの会話。
「それにしても…宝箱にはよくだまされる」
「それもまものの一種なのだから仕方がなかろう」
「…ミミックやひとくいばこのことか? 私が言っているのはそういう輩ではない」
「では何だ?」
「倒したまものが時々落としていくだろう」
「ああ、やくそうやどくけしそうなど、旅の初期には重宝したものだ」
「うまのふ○やらうしの○んが宝箱から出てきた日には投げ捨てたくなる」
「確かに。犬の散歩をさせている人の落し物かと疑いたいな、あれは。だが錬金で使えなくもないのだから」
「たとえ○んであれ何らかの役に立つならまだしも…今日のこれはな…」
クラヴィスが袋の中からつまみ出したのは、ブーメランパンツだった。
※ブーメランパンツ:男性用ビキニパンツのようなもの
「あのボストロールがはいたかもしれぬと思うと、さわるのも気持ちが悪い…」
※ボストロール:でかくてブサイクで太ってていつも舌なめずりしてるような奴
「そなた、案外潔癖だからな」
ジュリアスは笑った。
「ボストロールになめまくられて鳥肌を立てていた」
「お前だって気持ち悪いだろう! あんな奴になめ回されたら!」
「それはまあそうだが。どちらにせよそのブーメランパンツはパーティの誰ともサイズが合わぬし、明日にでも道具屋に売りに行くことにしよう」
「…サイズが合えばはく気だったのか?」
ジュリアスはしばらく考えて、首を振った。
「いや。さすがにそなたの言うとおりあまり気持ちのよいものではない」
「だろう? …それにしても…これまでステテコパンツを落としていったまものはいなかったな。
少なくともボストロールにはブーメランパンツよりはステテコパンツのほうが似合うと思うのだが」
その後もぶつぶつと、まものにはどんなパンツが似合うかに関する考察を繰り広げるクラヴィスに、ジュリアスはいささか呆れ顔になったのだった。
このクラヴィス様、「おしゃれ」というものに関して何やら妙にこだわりがあるらしい。