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烏鷺朋について

中日ビルの南東裏100メートル、歩けば3分以内で到着する。
囲碁が好き、呑むのも好き、たばこも辞められない、
栄に出ると、用が済んでも真っ直ぐ家に帰れない、そんな親爺たちが集っている。
世に帰宅拒否症候群と云われているオトーサンである。
碁会所と言えばオジサンたちがヒタスラ盤面を見つめて唸っているのが相場だが、
烏鷺朋(うろとも)ではチョット違う。
みんな自前のボトルをキープしていて、仙境に遊びつつ碁を楽しんでいる。
ボトルは一律4000円
( Black & White, FOUR ROSES,J&B,ジョニ赤、神の河、Ballantines, 
suntory reserve等)で一年間キープ出来る。
席料・3000円以外は他に料金を取らない。
腹ペコなんだけど・・・と言えば、マスターがカレー?お茶漬け?と聞く。
(これが500円とは思えない味だ。)

さて、烏鷺(うろ)朋(とも)だが命名の由来はあとにして、成立の経過が面白い。
実は烏鷺朋の近くに、昔からのん兵衛が呑みながら碁を打てる処があった。
ところが、その店は平成18年の春に閉店することになり、常連客は行き場を失った。
常連客の一人だったのが、現代表の岡田啓作氏だが、「誰かやるべきであ〜る」
と声を挙げた。
「そーだ、誰かやるべきであ〜る」「そーだ」「そーだ」
やる事になったのは、当然言い出しっぺである。
しかし、ここからが知恵の出しどころで、そーだ、そーだ連中に
資金出資の勧進帳が回された。

名古屋の栄に砦を築け。碁打ちの砦を護れ。夜の碁打ちの灯を消すな。

斯くして、親爺たちは、よろよろと立ち上がり、乏しい隠し埋蔵金を持ち寄った。
そして、多分、正気に戻らぬ中に、400万円の軍資金?築城資金?が集り、
一夜にして烏鷺朋の砦は築かれた。
一説には帰宅拒否症候群への保護、介護、隔離を目的とした、
自力更生のための施設維持共同募金とも言われている。
しかし、出資した二十数名の粋人?酔人?は正気に戻って驚いた。
出資者には物々しい出資証券が渡され、ついでに経営、維持、配当のためへの日々の精勤、
砦への出仕要請がだされた。
さて、烏鷺朋はウロトモ と読み、ウはカラス、ロはサギを言う。
つまり、黒と白を例えて、囲碁の異称である事は周知のとおり。

「嗚呼、ああ、
隔離されて尚、
尺余の別(べつ)乾坤(けんこん)に、
酔いて黒白を争う、
オトーサンに、栄光あれ。
神あらば、丈余の別乾坤を護れ。
佛あらば、われら業深き防人(さきもり)の、荒波に崩れんとする小さき砦に慈悲を賜え。
朋よ、ともよ、
男子、一度(ひとたび)栄(さかえ)に出(いづ)れば、
仙界に遊ばずして、帰る児戯にひとし、
烏鷺(うろ)争(あらそ)わずして紅灯(こうとう)を
彷徨(さまよう)は一陣の風に舞う、病葉、老蝶に似たり。
来たりて集え。
朋よ、ともよ、
嗚呼、
烏鷺(うろ)朋(とも)の灯を消すな。と云うことになる。合掌

(文責・半石)