「・・・今度は、何をして怒らせたのだ・・」
硬貨を挟めそうな程、眉間の皺を深くし。思い溜息を吐きつつ御剣は問い質した。
「真宵ちゃんが楽しみにしていたお菓子を、依頼人に出しちゃったんだよ」
成歩堂の返答は、小さかった。悄然としていた所為もあるだろうが、純粋にボリュームがとても小さいのだ。
「大方、上京せねば入手できない限定品だったのではないか?」
「その通り。よく分かったな・・」
「貴様が鈍すぎるのだ。銘柄は分かるか? すぐ綾里へ送るよう、手配しよう」
「包装紙は、ゴミ箱だ。悪いな、迷惑かけて」
一層しょんぼりする成歩堂の声は、顔を近付けないと聞こえない位、本当に小さい。
さもありなん。
携帯の横に膝を抱えて座り込む成歩堂。その縮尺は、開いた二つ折りの携帯よりやや大きい程度。つまり、今の成歩堂はバービー人形サイズになっていた。