『臨時休業』
見慣れた筆跡で書かれた紙に、御剣は小さく溜息をついた。
どうやら、トラブルメーカーの矢張よりある意味質の悪い幼馴染みは、また何らかの騒動に見舞われたらしい。昨日電話した時は、提出する書類が終わらないから金曜日は残業だ、と嘆いていたのだから理由なく休む筈がない。
扉横の窓が開け放たれ、中から明かりと物音が漏れているのを確認した後ノブを捻ると―――予想通り、あっさり開く。
「成歩堂、邪魔するぞ」
防犯について何度目か覚えていない説教をしなければならないと、眉間に皺を刻みながら足を踏み入れたのだが。
「・・・これが原因か」
息苦しくなる程の湿った熱気に出迎えられ、思わず歩みが止まった。