ふと意識が浮上して、瞼を開けると。 「・・・う、わ・・」 くすんだ銀色の髪に縁取られた白皙の容貌が視界一杯に広がったので、成歩堂は思わず頭を仰け反らせた。悔しい事にその面差しは至近距離での鑑賞にも十分堪えうる端麗さだったが、問題は別の所にある。 純粋に慣れていない、のだ。 再び親友に戻れて数年。ブランクなどなかったかのように気の置けない間柄がすっかり定着していた所。ひょんな切っ掛けから、前進したのか後退したのか頽廃したのか判別しがたい『恋人』という関係に変化した。