「チワワって、警察犬になれるのかな?」
ようやく二人きりの時間を堪能できると思った御剣だが、退室させたばかりの糸鋸が話題に上って邪魔してくれたので、今月の給与査定はその瞬間決定した。
「犬種ではなく、素質と試験で選別されるからな。可能性はゼロではないだろう」
腹の底でどんな黒い事を考えていようと、成歩堂へ見せる横顔は涼やかなままで、完璧なタイミングでもってティーカップに紅茶をサーブしてやる。次に己の分をサーブすると一口含み、出来に満足しながら続けた。
「もっとも、あの犬に素質があるとは思えないが。気を逸らしすぎる」