『好きなら、どうしてこんな事をするんだよ!?』と成歩堂は大きな黒瞳に怒りと不審と雫を浮かべて、問い詰める。
そう聞かれる度御剣は、御剣こそが首を捻りたくなる。理由なんて一つしかない、と。
事務所で奇天烈な仮面をつけた男に馴れ馴れしく肩を抱かれているのを目撃し、成歩堂の仕事が一段落するや否や事務所から無理矢理連れ出すのも。
夕食も摂らず、シャワーも浴びさせず、邪魔な衣類を剥ぎ取って四肢を拘束するのも。
後遺症のない媚薬を嚥下させ、碌に馴らさないまま身体を繋げて苦痛と快楽に泣き喚かせるのも。
全て、『成歩堂が好き』だから、だ。
「私のモノに気安く触れさせるな、と言った筈だ」
見下ろす額に汗が光っていなければ、情事の真っ最中とはとても思えない冷徹さで御剣は成歩堂を咎めた。
「お、前・・・モ、ノ、じ、ゃ・・な・・っ!」
「やれやれ・・」
御剣が介助しなければ寝返りも打てず。
後孔には、裂けんばかりに男根を埋められ。
成歩堂自身はリングを嵌められて射精も制限されているのに、恭順にならない成歩堂に呆れた溜息をつく。
反抗的な態度は何倍にもなって我が身に返ってくるのを嫌という程体験しながら、尚刃向かう成歩堂には、潜在的な被虐傾向があるのでは、と時々疑う。
「私に抱かれて散々昇り詰めた『男』が言う台詞ではないな」
幸いにも恋人の性癖に付き合うのは吝かではない、と己の寛大さに陶酔しながら、限界を越えて媚肉を穿ち、ぱっくり開いた鈴口へ爪を立てる。
「ぁ、あ!・・・く、そ・・っ」
瘧のように全身を震わせた成歩堂は極めたらしいが、御剣の綺麗な指を濡らしたのは白い蜜ではなく、少量の透き通った液体。
これまでの絶頂は皆、ドライオーガズムを強要されている。明らかに愛撫より加虐の意味合いが強い刺激で達してしまったのが屈辱だったのか、成歩堂はもう赤くなる所が残っていない位に紅潮し、己か御剣か、もしくは両方を罵った。
「弁論を生業とする者が、何という乱れた言葉遣いだ。―――乱れるのは、身体だけにしたまえ」
揶揄と律動を緩めない御剣が、日頃の鍛錬の成果を遺憾なく発揮して成歩堂の下半身を持ち上げ、成歩堂にも苦しげに泣いているように先端から雫を滴らせる怒張と、赤黒く太い御剣のそれが秘所を深々と貫いている光景を見せ付けた。
「ば、っ、か・・や、ろ・・っ・・!」
激しく羞恥と動揺を示した成歩堂が顔を背けようとするのを顎を掴んで固定し、ヌチャ、ヌプ・・と淫猥な音を纏わりつかせながら半ばまで引き抜く。
御剣が吐き出した白濁やら腸液やらでぬらぬらと反射する楔は、数秒前まで成歩堂の胎内に収まっていたとは信じかねる凶暴さで。
目を閉じるなと言い渡されていたにも関わらず、成歩堂は見る事を拒否した。
「しかも、覚えが悪い」
刹那、聞くに耐えない淫音が炸裂し、骨が砕けんばかりの勢いで抉られた成歩堂が、またしても空イキした。
「ぁ、ひ・・ッ・・」
ふるふると戦慄く身体は飽和状態で、意識も霞みかけているようだ。
「成歩堂、誓いたまえ。私だけのモノだと。宣言するまで、責め苛むぞ」
混濁した思考を支配せんと、御剣は居丈高に紡いだが。
それは、絶対的な命令でカモフラージュされた、真摯な懇願。
何故ならこのままではまた、『愛』で成歩堂を壊してしまう。
手遅れになる前に、御剣は―――成歩堂に、愛して欲しかった。