分類するとすれば、間違いなく『動物好き』にファイリングされる成歩堂であったが。こんなに犬好きの要素を持っていただろうかと、御剣は違和を覚えた。
なにしろ、今夜の食卓における話題は99%が『ミサイル号』で占められていた。
やれ、目がくるんとしているだの、毛触りがいいだの、舐めたりシッポを振ってくれただの。成歩堂の方がよっぽど円らな形をしている双眸をキラキラさせて、その愛らしさを語り続ける。
御剣とて、成歩堂の可愛い所を列挙しろと言われたら、24時間ノンストップで論じられる自信はあるけれど。トノサマンジュウに目のないワンコロに対する成歩堂の思いが、24分の1でも成歩堂への想いと匹敵するのは、どうにも承服しかねる。
メインが過ぎた辺りまでは、腹立たしさが勝っていたものの。デザートと紅茶も残り僅かになった頃には、鳩尾が疼きだした。成歩堂の様子が、どうにも気になって。