ミツナル

寿




 彼女のいない、男の一人暮らしでは。
 年越し蕎麦のかわりにインスタントラーメンを食べれば、年越しの準備は終わり。だらだらと炬燵に潜り込み、碌に見もしないTVを付けっぱなしにして除夜の鐘を遠くに聞いていた。
 ゲームとかやる事があれば平気で夜更かしする成歩堂も、逆に何もなければさっさと薄っぺらい布団で惰眠を貪るのが常。しかし、今夜は特に用事もないのに少々眠い目を擦りながら起きていた。
 というのも、かなり身勝手で少々世俗とはズレていて、Sなんだかヘタレなんだか属性がはっきりしない友人―――いや、カテゴライズすると不本意ながら恋人が、今日は起きていろと相変わらず上から目線のメールを昨日寄越したのだ。
 もう少し物の言い様ってものがあるだろう、と相変わらずマイペースな御剣にちょっぴりムカついたものの、結局はメールの通り大人しく待っている己にこそ溜息が出てしまう。
 甘いな、と自覚がある時点で終わりだ。