「成歩堂、水は飲んだのか?」
御剣は冷蔵庫の扉に手を掛けながら、尋ねた。
「・・・・・・」
だが、聞こえるのはテレビの音だけ。ミネラルウォーターを取り出してリビングへ向かえば、予想に違わず成歩堂が微かな寝息を立てていた。
「何が『見たい番組がある』、だ。チャンネルすら合っていないではないか」
やれやれと肩を竦め、リモコンで電源を落とす。
先に風呂へ入らせたのも、早く寝かす為だった。
夕食の時から、いや裁判所を出た後から成歩堂は眠たげにしており。御剣は煩がられつつもバスルームへ押し遣り、出たらすぐ今度は寝室へ行かせようとしたのだ。しかし見終わったらすぐ寝る、と頑是なく言い張るものだから、最後には諦めるしかなかった。