赫の桎梏




「〜〜〜っやっぱり無理!!」
「成歩堂!」
 赤い顔で叫んだ成歩堂がパッと小さな蝙蝠へ姿を変え、天窓から飛び去ってしまう。後に残された御剣は、一層眉間の皺を深くして嘆息した。


「うう・・・力が出ない・・」
 コールタールを塗り込めたような夜空を、1匹の蝙蝠がふらふらと飛んでいた。低空飛行になってはよろよろ上昇する、の繰り返しで、いつ落下してもおかしくない脆弱さ。
 そう、蝙蝠に変身した成歩堂はガス欠寸前なのである。