どんな顔をして、持ってくるのだろう。
ここ一ヶ月、御剣は成歩堂の言動を心行くまで楽しんでいた。あからさまに避けるし、避けたかと思えば何やら気合いを入れまくって突っかかってくるし、偶然出会った時などは対応できなくて小動物のように慌てるし。
腹を括る前なら。御剣とて、成歩堂の一挙手一投足に一喜一憂していた。成歩堂とは違い、表面上はクールさを保っていても。
また成歩堂と同様、悩みもした。生じた想いが、常軌を逸しているのではないかと。お互いの立場なら、錯誤で片付ける方が無難。合理的とは、程遠く。非生産的で。背徳的で。マイナス面ばかりが先行する。
しかしどれだけ思案を繰り返しても、帰結する所は一つ。
『アレは私のモノ』