ゴドナル

色付く君




『奥日光の紅葉が、見頃となりました―――』
「クッ・・もうそんな時期かィ」
 ゴドーこだわりの大画面液晶に映し出された『紅』は、レポーターの言う通り、燃えるような照る紅だった。何やら感慨深げに漏らすゴドーの横顔を、成歩堂はそっと盗み見る。
 花より団子、の成歩堂でも。綺麗なモノは綺麗だと感じる。レンズというフィルターがあって尚、盛りを迎えた紅葉には見惚れた。朴念仁の成歩堂でさえ、感嘆するのだ。繊細で鋭敏な審美眼を有しているゴドーならば、特別な感慨を抱いてもおかしくはない。