ゴドナル

遺るもの




「すっかり散っちゃいましたね・・・」
 地面に積もった花片もここ数日の雨と風で流され、見上げた先には芽吹き始めた緑だけ。
「クッ・・まるほどうは、花見団子が食い足りなかったのかィ?」
 名残惜しげな成歩堂の目線を辿ったゴドーが、すかさずからかう。
 三月から四月にかけて珍しく依頼が重なり、休日返上で走り回っているか、力尽きて寝倒すかの数週間。仕事帰りに立ち寄った公園で団子をパクついたのが、唯一の花見だった。