「うわわ、痛いよ!」
「あれ、オカシイですねぇ。痛みもなくスパッと手が切れる筈なんだけど」
「みぬきちゃん、刃はこっちを使うんじゃない?」
「待ったぁぁ! それ、さっき大根を真っ二つに切ったヤツだよね!? 本物の刃物だよね!? それだと手品じゃなくなるから!!」
若い、希望に満ちた未来だけが待ち受ける子供達の声が流れてくる。
少年は、少女二人の勢いに押され殆ど悲鳴のような声を出していたけれど、いつもの事。男は鍛えられれば鍛えられる程、鋼の精神を作り上げられる。今も、そしてこれからも安易に救いの手を差し伸べるつもりはなかった。
九割は、少年がより大きく成長する為に。
―――残り一割は、面白いから。