ゴドナル

相応




 いつの間にか、トレードマークになっていた青いスーツは。気に入っていた事もあるが、現実問題としてそれが唯一の勝負服だった。駆け出しの弁護士なりに、張り込んだものの。一般家庭出身でイソ弁時代は奨学金返済に追われ、その後すぐ否応なく事務所を経営する事になった新人弁護士の財政事情など高が知れている。
 同年齢の御剣と比較すれば。あのデザインは共感できなくても、ヒラヒラ一枚の方が成歩堂のスーツより高価なのは事実。まだ和解前だった為、鼻で笑われるかと思ったが。ツンドラの御剣が哀れみの視線を寄越した為、一層惨めな気持ちになった事は懐かしくも苦い思い出。