「俺は、アンタを憎む」
「俺はアンタを、許さねぇ」
一方的に、理不尽に叩き付けられた負の感情。
成歩堂には恨まれる心当たりはなかったのだが。ゴドーと名乗った、奇妙なゴーグルをつけた男が発する激情があまりにも揺るぎなく、密度が濃く、確信に満ち溢れていた為に、何故か正当性を感じ、うっかりゴドーの憎悪を理不尽でないものとして受け入れたのである。
後からこの時の心境を振り返ってみても、どうして『そう』なったのか明瞭な回答はでない。
ただ、成歩堂は感じ取ったのかもしれない。ゴドーの魂が絶え間なく流す、ゴドーが認識できない血を。