成歩堂の自由研究2:5



こうして。

ゴドーの部屋でまったりコーヒーを飲んでいるとき、成歩堂の手がテーブルに置かれたゴドーのタバコの箱を取った。まだ半分くらい本数が残っているが、それを全て取り出して元の場所に戻す。

「あれ?ゴドーさん。もうタバコないですよ?」

くすくす笑いながら、ゴドーにそう告げる。ゴドーはふてぶてしく笑いながら、箱をぐしゃりと潰すと、ゴミ箱を見ずに放ってやった。それは見事放物線を描きながらぽすりと、昨日のティッシュくずの上に着地した。ゆらりと立ち上がって、ついでに空になったカップを手にして。

「じゃあ、ちょいと買ってくるぜ。」
「いってらっしゃい。僕のもお願いしますね。」
「ああ。」

ゴドーは腕時計を、成歩堂は部屋の時計をちらりと見て、現在時刻を確認する。これから大体15分位が、家主不在の空白の時間。早すぎても、遅すぎても文句は言いっこなしと言うのが暗黙の了解だった。ばたん、がちゃりと施錠の音を確認した成歩堂は、いつもの引き出しに手を伸ばす。

成歩堂にとっては、オナニーにおける最上のスパイス。ゴドーにとっては、セックス前の準備運動。こんなギブアンドテイクが成立してからは、この茶番のやりとりがしばしば交わされるようになっていた。


***


ゴドーはいつもの自動販売機でタバコのボタンを押す前に、少しだけ指が止まった。今はようやく操作方法を覚えたゴドーの『おススメエロデータ』で、ぷはっと開放しているが。これがもしも、ゴドーとのセックスシーンだったなら、果たしてどんな反応を示すだろう。男の顔で屹立を扱くか、それともゴドーにしか見せない表情で疼く後ろに手を伸ばすのか。

この『対価』として、成歩堂はセックス時の要求に割りと寛容になっている。ゴドー好みのキスを強請っても。ちょっとネクタイでの目隠しも、いつものイヤホンでの耳栓も、軽く眉を寄せてから、ほれと手を差し出してくる。

成歩堂の研究は一応の結果が得られた。となると次はゴドーの番。まずは撮影からかと、ゴドーは次の休日に家電量販店に向かう予定を立て始めるのだった。



痺れるお話ですvv ついつい、弊サイトのナルなら・・と妄想してしまいました(笑)