日 程 2004年6月13日
地 域 兵庫県・六甲 堡塁岩 岩場救助訓練
メンバー 一本松・西村・山森・波多野・梁瀬・河野(記録)

堡塁で実施しました救助訓練に関する備忘録です。


T.壁からの脱出・下降

二人でマルチピッチを登攀中、パートナーが負傷。
これ以上の登攀ができないため、ヘリを呼べる大テラスまでおろさなければならない。

●ロープを回収する必要のあるとき(=ロープを固定しない場合)

ロープ末端は負傷者のハーネスに結ぶ。
懸垂用の支点をセットし、負傷者から出ているロープをカラビナに通して折り返す。

>救助者

1.下降器は顔と胸の間のあたりに長スリングでセット。

2.オートブロックをセットし、ヌンチャクでレッグループと連結。
  ビレイループよりレッグループの方が、邪魔にならず下降しやすい。<写真1>

>負傷者に対し

3.救助者のハーネスの後ろにスリングを通し、負傷者のビレイループと連結。<写真2>
  (=負傷者と離れないようにするため)

4.負傷者の胸の上あたりにスリングを巻き、シートベントで結び、
  オートブロックでロープと連結。
  (=負傷者が手を離しても、後ろにひっくり返らない。写真3参照)

5.負傷者を背負い、オートブロックをずらしながら懸垂下降。

・出だしは重くて大変でも、懸垂を開始し体勢が整ったら加重はなくなってくるので楽。
 負傷者の加重は、懸垂支点で低減される。

・負傷者と体重差がある場合、徐々に負傷者と離れてしまうので、その場合は
 負傷者側のロープを引っ張って下げてやる。(写真3はその時の様子)

・オートブロックが利くので、途中で両手を離して作業ができる。
 
<写真1> <写真2> <写真3>
 
●あと1ピッチ下れば大テラスにつくので、ロープを回収しなくていいとき(=ロープを固定する場合)

懸垂用の支点をつくり、ロープを固定させる。

>救助者

1.頭の上くらいに下降器をセット。下降器に環付カラビナをつけ、そのカラビナに
  長スリングを通し、スリング末端を自分と救助者のビレイループに連結。
  スリングだけでは短い場合、ヌンチャクで調節。
  (=負傷者の加重をここで低減させる)

2.オートブロックを作り、自分のビレイループにヌンチャクで連結。<写真4>

>負傷者に対し

3.救助者のハーネスの後ろにスリングを通し、負傷者のビレイループと連結。<写真2>

4.負傷者の胸の上あたりにスリングを巻き、シートベントで結び、オートブロックでロープと連結。

5.懸垂下降開始。

・こちらも最初は重いが、体勢が整ったら楽になる。<写真5・6>
・50mロープが2本あった場合、最初の方法では、一度に50m下降が限度だが、
 こちらの方法だと、ロープを連結させて一度に100m下降できる。
 2本連結の場合は、いずれの場合も結び目を通過する必要あり。
 →結び目の通過にはマリナーノットが有効。
  
<写真4> <写真5> <写真6>


最初は重いし、
担がれる方も
恐い。



 オートブロックによって、
 両手を離しても作業ができる。
 
>マリナーノットとは?

1.カラビナの輪ににスリングの真ん中あたりで1周巻き付け、
  片方をもう片方のスリングに5回ほど巻き付ける。
2.巻き付けた方のスリング末端を、もう片方の輪の中に通し、
  ぎゅっと引き上げる。
3.引き上げた先にカラビナをつけ、1のカラビナにかける。
  
U.負傷者の引き上げ(1/3システム)

!!注意!!引き上げは非常に困難!!
あと5m引き上げれば、テラスにつく場合なら引き上げを実行した方がいいが、
10m引き上げるなら200m懸垂して下のテラスにおろす方が遙かに楽である。
それくらいに、引き上げは大変な作業である。

1.引き上げ用支点をつくり、メインロープを通しておく。<写真7>

2.支点の近くにオートブロックをつくり、カラビナを支点のカラビナに連結。<写真8>

3.ロープの負傷者側にもう一つオートブロックを作り、カラビナを支点から
  折り返したメインロープに連結。<写真9>

4.3のカラビナから折り返したロープを引き上げる。<写真10>
  このとき、カラビナに滑車を使用すると更に楽。 <写真11>

5.オートブロック同士がくっつくまで引き上げたら、一度ゆるめて止まるまでおろす。

6.とまったら3のオートブロックを、出来る限り下までおろす
 (=この長さが長いほど、一度に引き上げられる距離がのびる)。

7.4に同じ、以下、それ以降の動作を繰り返す。
  
<写真7> <写真8> <写真9>
<写真10> <写真11>

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