日  程 2006年3月17日〜29日 
地  域 スペイン フリークライミングツアー
メンバー 前川(記録)

前川です。スペインにフリークライミングに行ってきました。
その1を以下の通り報告します。長文ですみません。その2・3については別途報告します。 (その2へジャンプ)(その3へジャンプ

3/17(金) 土砂降り

草津始発の特急はるかに乗るため5時過ぎに家をでるが、ものすごい土砂降り・・・・
傘は折りたたみのものを1本持っていくつもりでしたが、あまりに雨がひどいので、いつも使用している長さ75cmの傘をさして野洲駅に向かう。荷物は全てザックに入れているので、見かけは夏山縦走に行くようないでたちで、海外旅行に行くようには見えないな(ちょっと、いやかなり怪しい)と思いながら予定通り電車に乗り、無事に関空に到着。

これまで海外には何回か行っているが、1人で海外に行くのはこれが初めてなので不安に思う。とは言うものの先にスペインに行っているOさん一家がバルセロナの空港まで迎えにきてくれることになっているので心配はないのだが。途中で乗り換えるアムステルダムのスキポール空港は巨大な空港なので無事にバルセロナ行きに乗れるか不安であった。

今回利用する航空会社はKLMオランダ航空。飛行機はボーイング747-400であった。席はもちろんエコノミー。12時間のとーてもつらいフライトで無事にスキポール空港に到着。エコノミー症候群にならなくて本当によかった!よかった!スキポール空港は表示物がとても親切でわかりやすい空港でした。
問題なくいやなんとか片言の英語で入国審査をパスし、国内線あつかいのバルセロナ行きの搭乗口に移動できました。

私が搭乗口で待っていると突然ビジネスマン風の外国人が近づいてきて「アー ユー フロム トンガ」と話かけてきた。当然「ノー アイム ジャパニーズ」と答えるととても悲しそうな顔をして去っていきました。待ち合わせをしているのに相手が見つからないような雰囲気でした。
私はトンガの人に似ているのであろうか。これまで生粋の東洋人(サムライ?)と思っていましたが自身がなくなってきました。
 
バルセロナに到着し、ゲートをでると待っているはずのOさん一家がいない。一瞬不安がよぎるが、出口を間違えたかなと思い、きょろきょろしているとOさん一家がやってきた。本当にほーっとする。
無事に合流し、岩場の近郊の町トレンプ(バルセロナから3時間位)まで車で向かうが、既に日本時間で夜中の2時を過ぎており、車中では爆睡する。Oさんすみません。

目を覚ますと、Oさん一家がアパートを借りているトレンプから20分ほど先にあるサンタ イングレシアに到着するところでした。着くと同時に再度爆睡した。こうして長ーい長ーい1日が終わりました。


3/18(土) 時差ぼけ

寝不足のはずなのに、現地時間の5時頃目が覚めてしまいそれ以上眠れない。時差ぼけになっている。体もだるくしんどい。予想通り。

今日はテラデッツの岩場のひとつブルーシャスに車で向かうが、途中で車に酔ってしまった。時差ぼけのせいなのか。気分は最悪!
  
ブルーシャスは石灰岩の岩場で高さは30m位。コルネが発達している。ルートグレードは6a+〜9a+まで。メインは7c+〜8a+と結構厳しい。基本的にホールドは大きくて登り易くオンサイト向きの岩場だそうである。私のレベルではそうではなかったが。尚、「ブルーシャス」という名前は「魔女」という意味のようです。もし間違っていても責任はとれませんので!!

着くと同時にOさん一家(KAさん、KOさん、YU君の3人)のKOさんが直ちにアップで7bを登り出す。土曜日のためか岩場は結構人が多くにぎやかでした。
 
次にKAさんが6b+のルートでアップをするというので、私もKAさんの後に登らせてもらう。長さは15mくらいでどちらかというと日本的な岩質でしたが、当然のことながらボルト間隔は遠く、久しぶりの岩のぼり、そして時差ぼけと不利な要素がたくさんあり(言い訳がいっぱいです)いきなりビビリが入るが、落ちるのはもっと怖いのでなんとか1撃で登れました。しばらく軽い放心状態になってしまった。このルート2本めのクリップが悪く失敗するとグランドフォールの可能性大。怖すぎる!!

KOさん、KAさん、私のローテーションで登っていく予定でしたが、私のみ1回パス、2回パスとなり、YU君と1日遊んでいました。
帰る前に6a+(これも長さは15くらい)を登り終了。もっと早く6a+があることに気がつけば良かった。
今日はしんどいし怖いしたいへんな1日でした。(大げさですみません)
  

3/19(日) 恐怖の雨男
  
今日もブルーシャスへ行く予定でしたが、朝から雨。バルセロナ近郊は地中海性の気候で晴れた日が多いはずなのに・・・

以降毎日帰る前までほとんど夜は雨が降った。こんなことはこちらでは異常とのこと。思えば出発のときから土砂降りだった。私は恐怖の雨男なのか。涙・・・・雨が降っていたのでこの日は休養日になった。(まだ1日しか登ってないのに。でも時差ぼけの体にはよかった)

テレビをつけると「ドラえもん」と「クレヨンしんちゃん」をやっていた。もちろんスペイン語(ドラえもんは日本語の音声もあり)だ。やはりジャパンアニメはNo1だということを再認識した???
 
昼前位から雨がやんだので今回の目的の岩場のひとつである「サンタリーニャ」に車で向かう。また酔ってしまった。辛すぎる。

この岩場は開拓されて2年位でほとんど情報がなく、ルートもグレードも詳細は不明。唯一コアラと言う名前の8cがあることは雑誌をみてわかっていました。KOさんが現地であったクライマーに教えてもらった地図のみが頼り。地図を頼りになんとか岩場に着くがそのスケールのすごさに驚く。
一言で言うと巨大なドームを半分に切ったような形をしたケーブ。ケーブの中は砂地でテニスができるくらいに広く明るい。ケーブ独特の陰気くささは全くなかった。

ケーブの中では若いクライマーが何人か登っていた。そのうちの1人がスペインのクライミング雑誌「escalar」に乗っていた「アダム オンドラ」13歳であることにKOさんが気がついた。彼は13歳で8c+(デシマルで5.14c)を登っている早熟?なクライマーなのだが、予想(早熟のごつい大男と思っていた)とちがって身長は155cm位で華奢な感じがした。但し、体が異様にやわらかく、なめらかな登りかただった。うーんリーチがない等の言い訳ができないなと正直思いました。その代わり体が硬いので仕方ないなという言い訳を思いつきました。尚、「アダム君」のことはロクスノ31号の71ページにちょっとのっています。
13歳で8c+とは。彼はどこまで登るのだろうか。末恐ろしい。

彼のすごいクライミングに私は圧倒されこの日は退散。 


3/20(月) 現実は厳しい!
   
また朝からもうひとつの天気である。出発を遅らせ昼前頃からブルーシャスに向かう。またもやちょっと車に酔ってしまった。しかしだんだんましになってきているように思う。
  
今日は6a+でアップし、7a+のルートを触った。このルート名前は「L'ansia」。意味は不明。誰かわかる方がおられましたら教えて下さい。
ルートの長さは20m強(芹谷のデッドラインくらいか)でボルトは10本。ブルーシャスではルートとしては短く、アップルートであるが、何故かとりつく人が多く1日中誰か登っていることが多かった。もちろん私もその中の1人でした。

ルートの特徴としては下部にボルダーチックなムーブがあり、それをこえるとあとは基本的にはガバガバ。途中2箇所ほど若干悪いところがあるが出だしほどではない。何故このルートを選んだか。その理由は他のルートと比較してボルト間隔が近めだったからです。それでも芹谷と比べると十分遠いが。
出だしは落ちると危険なので日本と同じように近めにボルトが打ってあるが、中間部になると、芹谷のボルト間隔の1本抜きくらいになる。それでもこのルートはまだましで、他のルートでは2本抜きくらいのものが多かった。恐ろしすぎる!!

ちなみにスペイン人という人種は墜落が全くこわくないようで、平気で4〜5m墜落していた。(私にはとてもまねできなし。まねしたくもないが・・・)
  
KOさんがまずアップで登る。そんなに難しくはなさそうに見える。私の順番がきてトライするが、出だしでいきなりはまる。いいスタンスがなく、なんどとりついても靴がすべり落ちてしまう。やっとこさでこれを突破し、次に進むが、落ちるのが怖いのと、まだ岩になれていないためか、各駅停車でボルトごとにテンションになる。何とか中間部まで登るが、上をみると終了点ははるか彼方(大げさですみません)にあり、絶望的に遠い。いやになり降りようと思うが、ホールドはそれほど悪くないため、できないムーブはなく、なんとか終了点にたどりつく。疲労困ぱい(再度大げさ)状態で取り付きに戻る。しばらくこのルートをやることに決める。

以降最終日までこのルートに苦しめられる(いや楽しませてもらう)ことになるとはこのときは全く予想できませんでした。
まだ岩に慣れていないと感じたので、一度登った6b+を再度やるが、2本目のクリップが怖くクリップ後テンションしてしまう。悲しい・・・

スペインに行くまで、岩はほとんど登っていなかったが、KOWALLで持久力のトレーニングをしていたのでもう少し登れるかなと思っていましたが、現実は本当に厳しかった。
  

3/21(火) 絶望的?

今日もブルーシャスに向かう。今日も6a+でアップした。昨日のルートをすぐにやろうと思うが、他にも登る人がいて順番待ちになった。

スペイン人は、何故か自分が登ったあとロープを引き抜かずそのままにしている。登る意志をみせるとすぐに抜いてくれるのだが。本当かうそかわからないがKOさんがスペイン人はめんどうくさがりやだと言っていた。そういえば自然に帰るゴミ(みかんやバナナの皮等)はそのまま投げ捨てる。トイレットペーパーも日本人のように持ち帰る人はいない。散乱したままだ。

私が登るルートも先に登った女性がそのままロープをかけたままにしていた。私はスペイン語でロープを抜くというのを、何と言ったらよいのかわからなかったので、身振り、手振りでそれを伝えようとしたが、なかなか伝わらない。その女性が何か話しかけてきたが全く理解できなかった。やがてその女性が笑ってOKという動作をした。私の言いたいことがやっと伝わったということがわかりほっとしました。
  
さあトライだ。しかしこの日2トライしたが、1回めは各駅停車、2回めは中間を越えたところで手がぱんぱんになり、撃沈した。私はあることに気がついた。持久力及び戦略?が日本的な長さまでのところまでしか今の私にはない。このままでは登れない。このままでは絶望的だーーーーーぁ!このルートを登るためには新たな戦略?が必要である。しかし何をしてらよいのかこの時点では全くわからなかった。
  
尚、はずかしい話ではあるが、ロープをかけていた女性はオーストリア人であった。(テラデッツは有名な岩場のようでスペイン人だけではなくいろいろな国のクライマーが来ていました)身振り、手振りの私に「キャン ユー スピーク イングリッシュ」と話しかけていたそうである。あとでKOさんから教えてもらいました。しかしスペイン人だと信じていた私には聞こえませんでした。信じるものはなんとかですな。たとえになっていない・・・・

  その2に続く

その2を以下の通り報告します。長文ですみません。

3/22(水) 休養日(トレンプ散策)

今日は休養日。朝はぼーとして洗濯し、昼からトレンプの町に買出しに出る。

トレンプの町は人口8千人ほどの町だが、このあたりでは唯一都市と呼べるところ。必要なものもほとんどそろう。町には10階建て程度の高層マンションが立ち並んでおり、都会的な雰囲気なのだが、市街地が極めて小さい。(人口8千人だからあたりまえか)
日本では市街地は郊外に向かって広がっているが、こちらは1点集中型になっている。当然町と町の間にはまったくなにもなく野山のまま。このためか一般道でも制限速度は80Km/hでほとんどの車は100Km/hくらいで走っている。尚、市街地は日本よりも制限速度は厳しく全て30Km/h。(但しこれはトレンプの話。他の町がどうなっているのかはわかりません)

市街地の中を観光するが、市街地が小さいため1時間位で見終わってしまった。買い物を済ませ滞在地であるサンタ イングレシアに戻る。

サンタ イングレシア(聖なる教会という意味だそうです)はトレンプから車で20分位山を登ったところにあり、標高は1000m位。(因みにトレンプは500m位)聖なる教会という地名がついているのは、近くに1800年代に作られ現在廃屋となっている教会があるからです。この教会正直言ってお化け(吸血鬼?)がでそうな雰囲気でちょっと、いやかなり気持ち悪かったです。
 
尚、Oさん一家が借りたアパートはこの教会のすぐ下にあります。1日のんびりぼーとすることができました。
  

3/23(木) やはりだめ!

年齢から考えるともう1日休みが必要なのですが、わざわざ海外までクライミングにきているので2日休みを取るのはもったいないということで今日もブルーシャスに向かう。

時差ぼけは完全に治り、車に酔わなくなったのがせめてもの救いでありました。

いつものように6a+のルートでアップする。「L'ansia」7aにちょっといやけがさしていたので短めで、6a+からクイックドローをかけられる6cのルートをオンサイト狙いで取り付くが、下部にボルダーチックなムーブがあり、あえなく撃沈。ムーブを解決し、2度目でRPできた。

KOさん曰く日本人はスペインに初めて来ると日本と同じ短めのルートに取り付く人が多いが、スペインの短いルートは、ボルダームーブで構成されており、グレードのわりに難しいルートが多いとのこと。
※全ての日本人がそうであるかのように書いていますが、これはこれまでにKOさんといっしょにスペインに行った人のことです。(多分数人か・・・・?)短い休みで登るのなら取り付くのはやめておいたほうが無難とのこと。あとでとなりの似たような長さの6c+に取り付きましたが、全くできませんでした。涙・・・・・

この日「L'ansia」7aを1回のみムーブを固めるために登りましたが、持久力+モチベーションがとても続きそうになく、ますます自信を喪失してしまいました。
この段階でこのルートのRPは正直あきらめていました。


3/24(金) 最強クライマー?に会う!

「ダニーアンドラダー」知っている人は知っているし、知らない人は知らない(あたりまえだ!)スペイン最強クライマーの1人である。

彼は9a+(5.15a)のルートを何本も作り登っている。すごいクライマー だ。身長は高く180cmを越えている。見かけは今はアメリカに行ってしまった京大研究員のY山君のひげをもっと濃くしたようないでたちである。(失礼!)彼の外観が気になる方はスペインのクライミング雑誌「escalar」にのっています。昔のロクスノにものっていたような気がします。

何故彼のことを書いたのか。それは彼と岩場で遭い、その登りを見て圧倒されてしまったからだ。

今日は、前回下見をした、サンタリーニャに向かう。この岩場、一番やさしいグレードは7b(5.12c)からしかなく、私のレベルではおよびではないので、自分の中で今日は見学日アンド休養日という位置付けにする。

KOさんがまずアップに7b(ルート名不明)を登る。傾斜がきつく長いルートでおりてくると壁から15m位離れる。次にKAさんがテンションをかけながら登る。私の番がきて登ると以外にも1回目で終了点までいけてしまった。これは登れるかもしれないと思ったが、続けて登ると持久力が続かない。

結局3トライしたがRPはできなかった。(フルパンプしてしまった。休養日どころか疲労困ぱいしてしまった。)

KAさんにテンションした場合、その部分のムーブを探るのではなく少し前から連続的にムーブができるか確認しないと、ムーブができるようになったと勘違いして結局RP狙いのときに持久力が続かなくなるとのアドバイスを受けた。
今回7bをトライしてみて全くその通りだと思いました。各パーツは全てできるのですが、つなげると続かない。このあたりに「L'ansia」7aをRPするカギがあるのではないかと思いました。

次にKOさんはルート名不明の8a+「5.13c」のルートにオンサイトねらいで取り付きオンサイトしてしまった。核心部ではホールドにランジし、片手で飛びついた。すごい登りに圧倒された。

今日は、他に人はきてなく、貸切であったが15時頃から6人程やってきて登り始めた。その中には前回会ったアダム君もいた。

彼らは皆クライミングが上手であった。どうもクライミングチームに属しているようで、この岩場をトレーニング場として使用しているようであった。

彼らの中に1人だけやたらしゃべるおっさんがいてうるさいなーーー・うっとうしいなーーー・どこの国の岩場にいっても、こういう教えマン(わたしではない!!)のような人がいるんだよなーと思っていると、KOさんがそのこうるさいおっさんにこの岩場のルート情報を聞いていた。
やたら盛り上がっていたので、戻ってきたKOさんに聞いてみると、彼はスペイン最強クライマーの1人ダニーアンドラダーであることがわかった。経歴は最初に書いた通りであり、すごいクライマーなのだが、見た目は顔の濃いおっさんという感じであった。(失礼!!)
  
地元では高難度のルートを登ってはグレードダウンする男と言われているようで、KOさんがオンサイトした8a+も8aだとと言ってました。しかし自分の彼女が初めて登った8a「5.13b」だけはグレードダウンしていないそうで、KOさんが他の岩場であったクライマーが文句を言ってたそうです。このためどんないやなやつかなと思っていたのですが、ただの気さくなおっさんでした。

しばらくするとダニーがプロジェクトのルートを登り始めた。ボルダリング的な登りをすると思っていたが、予想とちがい体の柔軟性と長身を生かしたやわらかい登りであった。アダム君もそうだが、スペインのトップクライマーは本当に体が柔らかい。正直ダニーの柔らかさは体操選手いやK怪鳥(注:K記 私のことかしら??ワタクシ前屈全然できませんよー)なみでした。高難度を登るには柔軟性も非常に重要であることがわかりました。本当にストレッチ重要です。

KOさんは更に8aのルートをオンサイト、KAさんも7bのルートをRP。私はRPこそできませんでしたが、スペインのトップクライマーの登りを見てかなり刺激を受けました。長いルートにやられて意気消沈状態でしたが、またやるきがでてきました。

尚、Oさん一家は、今回のクライミングツアーで油性マジックペンのインクが切れ、ダニーのサインをもらえなかったことが一番の心残りだと言ってました。結構ミーハー(死語:1980年台の現代用語)だなと私は思いました。
  

3/25(土) 休養日(トレンプ散策)

今日は最後の休養日。前回の休養日と同じようにトレンプの町に行く。
スペインにいるのもあと3日。おみやげを買い、サンタイングレシアに戻る。
1日休養したが筋肉痛は全く取れていない。クライミングできるのもあと2日のみ。あと2日で「L'ansia」がはたして登れるのであろうか。
 
  スペインフリークライミング日記(その3)に続く。

<その3>
3/26(日) 再び撃沈!

泣いても笑ってもあと2日しかスペインでクライミングできない。
幸い天気だけは味方のようで、前半のように雨は降らなくなってきた。
昨日のダニーの登りを見て気合いも入ってきている.。がんばるぞーーー!!と思っていたが・・・・
      
「L'ansia」1回目のトライ。持久力が続かず、いつも落ちる中間地点を過ぎたところでやはり落ちてしまった。終了点まで登りロワーダウンする。

さすがに、このままではRPすることができないということは、自分でもわかったのでいつも落ちる部分のムーブを変えることにした。

再度各駅停車でムーブを確認しながら、いつも落ちる中間地点まで登る。すべてのホールドの位置とムーブを再チェックしたところ、中途半端なホールドが多いために、細かく登り、余計にパンプしていたと判断。思いきって手数を減らすことにした。

とは言ってもこれではなんのことかわからないので、以下このルートの解説?です。
オンサイトを狙う方は読まないで下さい。(こんな解説では役にたたないと思いますが・・・)
        
・出だしはいきなりつるつるのフェースになっている。3手ほどデッドポイントを繰り返し3mほど登るとガバホールドでレスト。(KOWALLグレード銀からガムくらいのボルダームーブ)ボルトは間隔は近い。最初の核心で一番難しい。

・ガバからうすかぶりのコルネだらけの壁ををピンチ主体で5mほど登る。コルネが太いため結構パンプする。速く登ることが必要。このあたりからボルト間隔が遠くなる。こえーーー!!

・ホールドは大きいが、ホールドの距離が遠いうすかぶりのフェースを4mほど登り、小ハング下のレストポイントへ。小ハングに抑えられ、アンダーガバを持ってレストしなければならないため、レストしにくい。(これは私の感想。人によってはレストしやすと感じる方もおられるかも) ここから上を見ると終了点は、はるか彼方に見える。(おおげさ・・・・)

・小ハングを乗越すが、中途半端な大きさのホールドが多数ある。この小ハングを乗越すところで毎回落ちる。テンションをかけたあと、ムーブを確認すると簡単にできるのだが、下から登ってくるとパワーが続かない。結局、多数のホールドを使って細かく登るのはやめ、小ハング下のアンダーを使用して一気に登るムーブに変更した。

・この小ハングを越えると、うすかぶりでホールドの遠い壁が6mほど続く。ホールドは遠いが比較的持ちやすい。大きく動くことが必要。レストポイントは2箇所ほどあり、十分レストできる。はず!

・最後の核心。お団子コルネをピンチでつかみダイナミックなムーブで遠いカチを取りに行く。十分レストしていない、とお団子コルネのピンチができない。またこのコルネは滲みだしやすく泣かされた。リーチがある場合には、上のホールドにいきなり手が届くので、背が高い方(180cm以上か)は問題なし。

・この壁を4mほど登ると大ガバがあり、ゆっくり休める。ここから先は傾斜が落ちるが、油断できない。右方向にある終了点に向かって3mほど登るが、フットホールドは少ない。足を滑らせないように注意して、慎重に終了点にクリップすると終了。

この終了点カラビナが残置されているのだが、ゲートが開いた状態でテンションしたらしく変形していた。このため、皆このカラビナは使用せずに終了点のリングに結び変えて降りていた。この高さで結び変えをするのは怖いので、トライ中、私は自分のカラビナをかけてこれを使用していました。(安全第一。指差呼称:ヨシ!)
       
すべてのムーブを再確認したあと、ロワーダウンする。明日1日しかないため、良くないなーとは思いつつも、ヌンチャクはかけたままにしておく。
        
筋肉痛は全く取れていないため、明日1回しかチャンスがないことは自分でもわかっていた。帰ってストレッチを十分行う。
明日はどうなることやら?爆睡する。

        
3/27(月) 最終日

本当の最終日になってしまった。休養していないので、筋肉痛はあるが、昨日のストレッチで、筋肉は、ほぐれているように思う。

アップ後すぐにトライする。 
出だしのボルダームーブは、難なくこなし、パンプするコルネ帯まで登る。ここはパンプしやすいので、大きなムーブで素早く登り、小ハング下のレストポイントへ。速く登ったおかげで、あまりパンプしなくてすんだ。まだ半分程度しか登っていないため、十分レストする。

毎回落ちていた小ハングは、新ムーブであっさり突破できたが、力がいるので結構消耗した。小ハング上のレストポイントで、しつこくレストする。

ここからは難しいムーブはないが、ホールドが遠いので、ワンムーブづつ大きく動き、頻繁にレストする。この上に、もうひと核心あるので、余力がないと突破できない。このあたりは、かなりランナウトしているのだが、集中できていたせいか、登っているときは気にならなかった。

三分の二をの登り、最後の核心、団子のようなコルネの下まで登りレストする。いつも滲みだしているこのコルネは、昨日よりも滲みだしが少ない。覚悟を決め、気合い一発雄叫びを上げ、お団子コルネを取りに行く。滲みだしで手がすべりそうになるが、なんとかこらえ、この上のレストポイントに登る。

核心を抜けてほっとし、気が抜けそうになるのをこらえ、レストする。下を見ると、何故か皆が集まってきている。応援してくれているのか?感謝!感謝!

この後は、足を滑らせないように慎重に登り、終了点にクリップするだけのはずであったが、これまで一度も間違えたことがないのに、気が抜けたせいか、手順を間違え、ホールドを持つ手の位置が逆になってしまった。

元に戻れば良いのだが、足が滑りやすいのでクライムダウンできず固まってしまう。手はだんだんパンプしてくるのだが、何故か頭はパニックになることもなく冷静であった。戻る余力がないので、デットポイントで次のホールドを取りに行くことにする。
      
冷静にデットポイントで次のホールドをしっかりつかみ、そのまま終了点まで登りクリップする。 本人は冷静に登ったつもりであったが、下では捨て身のデッドポイントでホールドを取りに行ったと思われており、悲鳴と怒号が飛び交っていたそうである???

終了点の自分のカラビナはRPの記念と、このルートを登る皆のためにに残置した。 (本当は結び変えるのが怖いだけであったが・・・)

下に降りると、仲間だけでなく、岩場に来ていたカナダ人、日本人にも祝福(大げさ)を受けた。登れた実感がわいてくる。

KAさんも最終日に8aのルートをゲットすることができた。これで皆気持ちよく日本に帰ることができる。よかった!よかった!

      
最後に

スペインのルートは質も高く長いのでとても勉強になりました。
日本でも長いルートを登り、レベルの向上に励みたいと思います。

(終わり)

<<Home <<List