日  程 2005年3月6日 
地  域 滋賀県 比良山系 山岳遭難救助講習会
メンバー 一本松(記録)

滋賀県山岳遭難防止対策協議会が行なった講習会を見てきましたので、概要を報告しておきます。

雪上での山岳遭難救助講習

1)雪崩発生メカニズム
 雪の積層/弱層テスト
2)捜索技術
 @ゾンデレーン
    ゾンデ棒による捜索・・・・捜索隊横一列で捜査(号令係、見張り係り、ショベル係)
 Aビーコンによる捜索
    ビーコンの取扱説明
    ビーコンを任意の場所に埋めての探索
 B埋没実験(体験)
    雪穴に実際に人を埋めての実験
    声の通り具合/掘出し方法
3)救助技術
  @遭難者の救出方法
     救出時の注意事項
 A応急処置方(低体温症)
4)搬送技術
   ツェルト/バスケット担架での遭難者梱包技術

<参考>平成16年度「山岳遭難救助訓練(講習会)」実施計画書

1.想定遭難事故
  3月6日(日)午前11時頃。蓬莱山山頂を目指し金ピラ谷コースを登山中に金ピラ峠上部の雪庇が崩壊、その直下を歩いていた登山者が発生した雪崩に巻き込まれた。同行の登山者から携帯電話で堅田警察署に連絡が有り捜索・救助の依頼が有った。直ちに、堅田警察署は大津市消防局と救助隊を編成し大津市消防局志賀分署に集結し救助体制に入った。

2.事故の状況
  金ピラ峠上部で発生した表層雪崩にA氏(57歳/男性)が巻き込まれる。救助隊によって発見、救出されるが右足大腿部に単純骨折をしている様子で又脈拍が低く、意識がない状態(低体温症の疑い有り)応急手当と共に速やかに病院への搬送が必要と判断をされる。

3.救助内容
 実地訓練(一連のシュミレーション)
 1)雪崩犬による捜査 (遭難者1名を埋めての訓練)
 2)雪崩埋没者の探索(ゾンデ棒)、掘出し
 3)応急処置(低体温症の処置、右足大腿部に単純骨折の処置)
 4)梱包(ツェルト/バスケット担架)
 5)ヘリのピックアップポイントまで搬送  ヘリによる吊り下げ

1.5mぐらいの深さまで雪を掘り、実際に人を埋め15分ほどしてから、雪崩れ犬による捜査を開始。1分ぐらいで犬が雪面を掘り出したので、救助者数名でゾンデレ−ン。あたりがあった所のゾンデは抜かないで、そこをショベル隊が掘り出し開始。10分ほどで遭難者を発見。まず顔の部分だけ完全に掘りだし呼吸を確保。あとの部分はまずツエルトをかぶせてから雪を取り除く。その後ツエルトにマットを引き、頭の部分に空のザックで枕を作る。遭難者の膝に空のザックを巻いて入れる。そこに遭難者を乗せシュラフに入れたうえ、ツエルトでシート梱包する今回はスノーボートにのせて、ヘリコプターで吊り上げ回収した。

<感想と留意点>

1.埋没体験はかなり寒く、圧迫され、呼吸も楽でないのと、埋めてしまうとどこに埋めたかわからなくなる危険性があるので、かならず遭難者にはビーコンをつけ、トランシーバーを持たせ、常に交信をして様子確認する

2.ゾンデ−レンはひじの間隔で横一列に並ぶ。声をかける人は、右、左、前と声をかける。それにあわせてゾンデを足元に刺していく

3.雪崩犬の能力は聞いていた以上に凄い。雪崩救助犬は、しかるべき救助要請をすれば対応してくれるそうです。近畿では奈良から出動できるそうです。詳しい資料あります。

4.作業中二次雪崩に対処するため必ず見張りを置く

5.仮想の埋没にもかかわらず、掘るのは結構時間がかかる。ショベルがないとどうしょうもない。本当の雪崩れの場合、雪は数倍固いだろう。雪山に入るときは必ずショベルが必携であることを本当に痛感した。

6.雪の除去に関して、ツエルトを被せてからにするのは、何も被せないで雪を取り除くと体温が急激に低下するため。低体温症になった遭難者を急に温めてはいけない。心臓に急激に血液が行くと危険。

7.シート梱包の仕方は時間を取って実際に練習しましょう。

8.へりはやはり凄い。もし遭難したら110番の前に119番防災ヘリを呼ぼう。

以上です。

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