日  程 2004年2月28日〜29日
地  域 滋賀県・比良 日山協主催 積雪期山岳レスキュー講習会
メンバー 一本松(報告)

<日山協主催 積雪期山岳レスキュー講習会報告>

平成16年2月28日から29日まで2日間にわたって、遭難事故現場で必要な救助技術の習得を目的とした講習会が日山協主催、滋賀岳連主管により琵琶湖バレースキー場の近辺で行なわれた。

講習の内容は、登山パーティの誰かが雪崩に巻き込まれ、現場近くにいた数パーティに救助を要請した場面を想定して行なわれた。

まず遭難パーティのうちの一人がリーダーとなり捜索活動を指揮することとして、ビーコンに習熟しているメンバーを数名、ゾンデ班数名、スコップ班数名と役割をすばやく決め、リーダーは二次雪崩に対する警戒と総合的指示を担う事とし、早速捜索活動を開始した。

埋没者の位置としてはデブリの末端、カーブの外側、傾斜が緩くなった所、木立や障害物の側が比較的多い場所として考えられるのでそのことを頭に入れビーコン班出動、約2分で特定されゾンデ班が2分で発見。スコップ班がそこを掘り雪崩埋没から15分以内に遭難者を発見することに成功した。

埋没者の掘り出し法は低体温症を考慮したものでなければならないことが重要である。
 1.まず体の一部が出てきたら頭部を最初に掘り出し呼吸空間を確保する。
 2.次に意識の確認を行う。
   埋没者の上に乗っている雪を取り除く時の注意点は10cmほど残して取り除く事である。
   雪がかかっている間は外気に触れないので急激に寒さを感じる事が少ない。
   まずツエルトを全身に被せてから雪を取り除く。
   低体温症と判断できる場合、急に温めたりマッサージはしてはならない。
 3.その次に埋没者を搬送するためにシート担架をつくることになる。

傷病者をシュラフに入れ、ツエルトをシェルとして使う事とし、ツエルトの上に銀マット、ザックを敷き地熱を遮断、傷病者の顔以外をシェルで覆い、ふくらはぎ、腰、肩の位置にアンカーポイントをつくり、それをセンターに持ってきてシートベントで繋ぎシートを補強する。
足元と頭の部分のアンカーポイントを作り、体側のアンカーポイントに6mmロープをつなぐ。
アンカーポイントの作り方はカラビナ等をツエルトの内側に位置し外側からくるんでひねりクローブヒッチでくくる。

次にシート担架の引き下ろし、引き上げを行う事として、そのためにアンカーを構築する事になる。太い立ち木や大岩があれば最も安心であるが、ない場合はスノーバー、デッドマン、ピッケル、束ねた枝木、土嚢袋、等で支点を構築することが必要となるが、そのとき重要なことは支点を構築する雪面をしっかり固める事である。いくら強い器具を持ってきても支点を支える雪面が固まってない限り強度は望めない。
土嚢袋は軽く安価なわりにかなり有効な支点と成り得た。土嚢袋に雪を三分の一ぐらい入れ、口をクローブヒッチでくくり折り返し、ダブルになったところをもう一度くくり、最後にダブルになった間にロープを通すと強い支点として使える。枝木を束ね両端と真中にロープをクローブヒッチでくくった支点も十分過重に堪え得るものであった。支点を2箇所からとる場合は、流動分散とする。

引き上げにおいてはプーリーとタイブロックのセットを使用した引き上げが最も効率の良いものであった。また、傾斜がきつくなく、信頼できる立木が点在する地形では、雪面に支点を構築しないで、立木にロープを回し、救助者のハーネスにセットしたカラビナからグリップビレーで引き下ろし、次の立木で待機していた救助者が、シート担架をもらい受け、同じようにグリップビレーで、どんどんシート担架を下ろしていく方法を採ったが、とてもスピーディーに下ろすことができた。

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