日  程 2004年5月1日〜2日 
地  域 両白山地 白山〜別山 縦走
メンバー 平岡・前川(記録) 

深田百名山の完登を目指している私は、当初5月連休は、四国の剣山に行く予定であったが、連休の直前に平岡さんから雪山に行こうという話があり、どうするか迷ったが、結局前から行きたかった白山の別山に縦走するということで話は決まった。

5/1(快晴)市ノ瀬-別当出合-甚之助ヒュッテ-室堂-御前峰-室堂(泊)

市ノ瀬で駐車して仮眠を取り、7時半頃出発。別当出合までは2時間弱のコースタイム。道路には雪がないので何故車で入れないのだろうと思いながら朝日の照りつける中をひたすら歩く。
結局別当出合までの道路に雪は全くなく、文句が出そうになったが、何故か別当出合の駐車場だけは大量の残雪(1〜2m程度)があり、車が止められない状況になっていました。

ここで登山準備をし出発するが、雪が多く夏道はすぐにわからなくなり、先行者のトレースを何も考えずにトレースしていると、先行者がルートを外しているようでいきなり日本的クライミングの醍醐味であるやぶこぎと泥壁を登ることになってしまった。ここを突破する(というほどのものではないが)とあとは緩い尾根をひたすら登る。
白山に来て驚いたのは登山者が少ないということです。去年の白馬岳と比較すると1/5以下か。結局数十人しか他の登山者に会いませんでした。しかし静かでとってもいいです。

甚之助ヒュッテに到着し大休止する。甚之助ヒュッテは冬季入口と屋根がわずかに出ている以外は全て雪に埋まっており、積雪は4〜5mはありそう。
天気がよくとっても暑いので、中で休憩しようかなとも思いましたが、中は真っ暗なので結局、木の陰で休憩しました。
昔(最近の報告に昔話が多くてすみません)、大谷さんと5月下旬に山スキーに来た時はほとんど露出していたので、5月始めはこんなに積雪が多いのかと驚きました。

1時間ほど大休止し、黒ボコ岩に向かうが、皆、南竜山荘の方に行くようでトレースがない。ここからはステップを切りながら進むが、数日前に降った新雪が吹き溜まりになっているようで結構もぐる。いやになり途中から雪壁(というほどのものではないが)を直登し稜線に向かうが、途中で雪がなくなってくる。雪を拾いながら這松のやぶこぎをし稜線に出て左側を見ると、すぐそこに黒ボコ岩が見える。もうちょっとトラバースすれば楽に登れたのにとちょっと悔しい気分になったが、ここからの方がちょっとだけ室堂に近いので満足する。(もちろん負け惜しみです)

ほどなく室堂に到着する。まわりの人の話を聞くと室堂は去年より1mほど雪が少ないようでした。逆に、別当出合、甚之助ヒュッテ付近は例年より雪が多かったようです。もし今シーズン行かれる方がおられれば参考にして下さい。
室堂の宿泊は素泊まりのみ可で毛布とマットは貸してもらえます。あと予約が必要です。
宿泊者は30名程度と少なく去年の白馬岳(百数十名)とはえらい違いだと思いました。

休憩後白山頂上(御前峰)を目指すが、雪は少なくほとんど夏道を歩き頂上に立つ。
北アルプスがよく見えるが、遠すぎて槍・穂高以外はよくわからない。頂上は風も吹いて結構寒かったので、写真撮影をしそうそうに退散する。当初、頂上の池めぐりをしようという話があったが、思ったより距離があったのであえなく中止となった。(この後言い訳がたくさん出たのは言うまでもありません)

室堂の小屋に戻り食事の準備をする。○○さんはまわりのパーティーが何を食べているのか非常に気になるようできょろきょろしておられたら、その視線に気がついたひとつのパーティが話しかけてこられ、豚汁をいただいてしまった。「これはつかえる」と私は思いました。皆さんもためして下さい。でももし何ももらえなくても私は責任はとれません。それととってもはずかしいので勇気?も必要です。

食事を終え、トイレにいこうとすると私の靴がない。近くに同じ靴が置いてあったので、間違えるかもしれないと話していた矢先のできごとであった。
「私の靴がない!」私の絶叫が室堂にこだました。
しばらくすると私の靴を間違えて履いていった人が帰ってきました。その人は山では貴重な若い女性でした。私がきついことを言ってその人が山をやめると困るので、礼儀正しく靴を間違えていることを指摘しました。その人は素直に謝りましたので、こちらの怒りもすぐに収まりました。
あとで平岡さんから、私がチョット嬉しそうだったと指摘されましたが、決して相手がおねーちゃん(おやじ表現だ!)だったからではないです。靴が戻って来たのが嬉しかったんです。何故っておねーちゃんの靴は私のよりもサイズが小さく私は履けなかったからです。あと臭そうなおやじ(失礼!)じゃなくってよかったというのもあったりして? 

室堂の消灯は早く20時でした。

5/2(快晴)室堂-南竜ヶ馬場-油坂-御舎利山-別山-御舎利山-千振避難小屋-市ノ瀬

今日は早出しようと言ってたが、結局だらだらし7時半頃の出発となる。
雪は早くも緩んできており、アイゼンはいらなさそうだったがせっかく持ってきたのでつけることにするが、すぐにアイゼンに雪団子がつき始め、南竜ヶ馬場で外したがこれが失敗であった。
南竜ヶ馬場を出発し、最低鞍部まで一気に下り油坂を登る。油坂は日当たりが悪いのかまだ雪があまり緩んでおらず、また傾斜も30度ほどあるため今回の山行では一番緊張しました。結局アイゼンなしでキックステップで登ったため、ふくらはぎがぱんぱんになってしまった。アイゼンをつけてればもっと楽に登れたのにと反省しました。やはりTPO(死言か!)が大事です。(意味不明?)
ここは一気に400mほど下り、又400mほど登り返すため、本当にしんどかったです。今回の核心でした。

油坂を登りきり御舎利山に向かう。難しくはないがアップダウンが続き結構しんどい。又、雪庇が十数m張り出しており、あちらこちらに亀裂が入っているので緊張する。しかし個人的にはこのような稜線歩きが私は好きです。(剣岳の北方稜線もいいですね)

やや長い雪面を登り御舎利山に着く。ここから別山までは往復20分程度なので休憩せずにそのまま向かうが、何故か雪の上に大量の小さな虫がいる。私はできるだけ踏まないように歩いたため結構疲れてしまった。尚、平岡さんは自然淘汰ということで気にせずに歩いたそうである。

今日も暑い1日であったが別山の頂上だけは風がとても強く寒かった。頂上で写真をとり御舎利山に戻るとほとんど風は吹いておらず、別山だけが風の通り道になっているようです。
御舎利山からは急な下りで一気に降りる。ほどなく千振尾根避難小屋に到着。何故か全く雪に埋まっておらず、全て露出していました。ここで大休止。トイレもあり結構快適な小屋でした。

あとは長い緩い尾根をひたすら下る。雪はかなり下のほうまであり、最後の1時間程度のみ、雪のない夏道を歩くだけですみました。

16時に市ノ瀬に到着し、山行終了。

下山後、白山温泉の温泉に入りに行くが、更衣室に入るとこの世のものとは思えないものすごい悪臭がする。(腐敗臭と同じくらい臭い)
温泉の中を覗くと大学生らしき連中が8人ほどいました。彼らが発生元だったらしく彼らが引き上げた後、更衣室の悪臭は消えていました。これでは山屋が嫌われるのも仕方ないなと思ってしまいました。皆様も注意しましょう。山小屋や公共の乗り物を利用する場合にはシャツぐらいは着替えたいものです。更衣室でも臭い服は袋に入れ臭わないようにしたいものです。

自戒をこめて。

最後に今回の縦走ですが、雪山中級者向けだと思います。体力は結構いります。尚、千振尾根は山スキーにはあまり向いていないと思います。

(参考文献 日本雪山登山ルート集 山と渓谷社刊)

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