日  程 2003年12月12日
内  容 アバランチナイト 雪崩机上講習会
メンバー 河野(文責)

先日の講習内容を簡単に報告します。
日本雪崩ネットワークでは、実地講習会も開催されています。ご興味のある方は、岳士会HPリンク先に雪崩ネットを載せていますので、そこからご覧下さい。

<アバランチナイト 講習概要>

日 時:H15年12月12日(金)19:00〜21:00
講 師:日本雪崩ネットワーク 出川氏
場 所:モンベル大阪本社

本講習は、これからバックカントリーを始めようとする人、講習会を受けたことがない人等が対象。
受講者の志向はアルペン>テレマーク>スノボ>登山の順。全くの初めての人〜5年未満がほとんど。

雪崩の大きな2つの種類「点雪崩」「面雪崩」について、ビデオとスライドで説明。

●雪崩に遭遇した時の3ステップ
  step1:サバイバル=自分自身の対処:今回の講習で紹介
  step2:セルフレスキュー=仲間同士の救助
  step3:組織的救助=山岳救助隊など

●滑る前に大切なこと
 もし雪崩が発生したら、どこに逃げればいいか、よく地形を見ておく。
 滑っている途中も後ろを振り返り、雪崩の心配がないか確認する。

●もし自分が雪崩に巻き込まれたら?
 ・叫ぶ
   自分でなく仲間が巻き込まれた場合も、他の仲間に知らせるために。
 ・端(安全な場所)に逃げる
 ・装備を捨てる(重装備のとき)
   40Lくらいのザックなら、背負っていた方が外傷防止のためによい。
 ・蹴る、泳ぐ、闘う!
   何もしないと、どんどん沈んでいく。少しでも表面に留まれるために。
   埋まったとしても、浅いほど助かる確率は高い。
   ストック、スキー板も沈む要因。ストックの手皮、スキー流止めはしない方がいい。
 ・木や岩を掴む
   初期動作が大切。動き出してすぐの時に。
   どんどん加速するので、やばいと思ったその瞬間に掴めるものは何でも。
 ・止まりそうな時に、手を顔の前にやる=空気スペースを作る。ゴーグルでもよい。
 ・表面に手を突き出す
   自分がどこにいるか、仲間に知らせるため。
 ・救助が来たら声を出す
   雪の中からはほとんど声は外に聞こえない。
   真上に来た時がチャンス、空気も限られるので、その時を逃さない。

●雪崩による死因
 ・死因の多くは、雪崩に巻き込まれている最中の外傷による。
 ・埋まった場合の生存率は、30分で50%。

●雪崩の起きやすい場所
 ・斜度が35〜40度
 ・木がないところ
 ・標高が高い=風の影響を受けやすい
 ・斜度が変わる場所(急になるところ)
 ・何もない斜面に、木や岩が出ているところ(温度差が生じやすい)

●雪崩が起きやすい気象状況
 ・雨が降った後
 ・気温が急激に上がる時
 ・雪が何日も降り続いた時
  →出発する日の天気ではなく、何日も前から行く場所の気象推移を確認することが大切。

●雪崩の可能性を判断する3つの要素
 class1:はっきりした証拠…雪の斜面にクラックが入っている
                  歩くと変な音がする(弱層の音・・経験が必要)など。
 class2:雪の中の情報、雪の結晶の状態、弱層の有無
 class3:気象情報

<受講した感想>

雪崩に遭いたくないなら、山に行かないことが一番・・・と思ってしまいました。どんな斜面でも雪崩の可能性はあり、最低限の装備を持ち、雪崩のリスク、対処法を理解した上で山に入ることが個々人の責任。
出川さんが再三おっしゃっていた事が、「地形をよーく見ること」。楽しさに任せて滑るのでなくて、ちゃんとアンテナ張って周りをよく見なければと改めて感じました。クライミングの時も、自分が今フォールしたら、ということを考えるのと同じく、今ここでこの斜面が雪崩れたら、ということを考えて滑らないとだめですね。

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