日  程 2003年10月27日
地  域 新潟県 明星山P6南壁 マニフェスト登攀
メンバー 西村・今井(神戸山岳会)・梁瀬・一本松・河野(記録)

去年、西村さんとフリースピリッツを登った後、来年はマニフェストを登りたいと話をしていた。が、今年は7月からひどい腰痛になり、クライミングを控えていたので本チャンにも行けなかった。
シーズンも終わりに近づいたある日、神戸山岳会の今井君から「マニフェストの話はどうなっていますか」と問い合わせがきた。今井君はパンプで知り合いになり、秋に明星行くかも、と話していたのをちゃんと覚えていたようだ。私自身、今年は諦めていたのだが、西村さんに相談すると10月下旬なら行けるかも、とのことで急遽予定をたてた。以前よりマニフェスト計画をもくろんでいたヤナッチにもきいてみると、その頃には日が随分短くなるし、できれば晴れた平日に先に行きたい、とのことだったが、結局機会がなく、一緒の日に行くこととなった。
梁瀬&一本松チームは、ヤナッチが全ピッチOSトライを目標としており、一本さんは強力サポーターとして参加。順番待ちがあれば1日で抜けられないかもしれないので、渋滞・落石のない平日を選んだ。

10月27日(月)

平日にも関わらず、我々がやっと起き出した時間に出発するパーティーがいた。もそもそ用意をしている内に、後で来られたパーティーも、先に出発された。…要は我々が相当ののろまらしい。違うルートならばいいのだが。

小滝川の水量は少なく、徒渉しなくても岩伝いに渡れた。最初のパーティーはフリースピリッツに、2番目のパーティーはクイーンズウェイに取り付いている。マニフェストと2P目途中まで一緒なので、暫く順番待ちをした。

OS狙いのクラシック愛好家隊が先攻。我々3人組は、全12ピッチを3つに分けてトップを交代することにする。西村さんが最初じゃないとびびって行けなくなるとの弁で先頭、今井君の希望が最後、必然的に自分は真ん中でいくことになった。

1P 
8時過ぎ(…おそ…)、西村さんトップでスタート。残置支点はなく、ランナウトする。日が当たらず肌寒く、所々まだ岩が濡れており、慎重に登る。

2P
先行のヤナッチが出だしで相当悩んでいた。取り付いて納得、クラックから上のスラブへ乗り越すまでが悪い。リーチがあれば楽か。スラブは全面完全に濡れており、フリーで登るのは不可能。残念だが全員ここでオールフリーの夢はうち砕かれた。ボロい残置スリングでA0して突破。いきなりがっくり。

3P
小ハング越えのピッチ。西村さんは何とかフリーでいけないか右往左往していたが、結局A0列車発進。一度掴んだらやめられない、止まらない〜♪ 今井君はフリーで突破。そんなにムズイのかしらと思いきや、荷物が邪魔で体がどうしても上がらない。A0したかったが、肝心のヌンチャクがかかってないし、手持ちも一本もない。ありゃ…。情けないが長スリをスタンスにして這い上がる。

4P
フェースを直上後、左上して下部城塞の下まで。フェースは左にもボルトがあり、正規ルートが分かりにくい。カチは甘く、スタンスが乏しくフリクションを効かすものが多い。登りごたえのあるピッチ。

5P 
トップ交替、河野先攻。城塞下まで右上した後、左から巻く。巻いた後もちょっと悪い。直上すると右にビレイ点あった。更に上でビレイ中の一本さんにそこまで1ピッチで行けるか聞くと、ぎりぎりとのこと。ロープを伸ばそうとしたが、あまりにも重いので、戻って区切る。

6P
脆い岩場からスラブ途中のビレイ点まで。残置支点は全くなし。意味あるのかな〜と思うような草木で一応ランナーを取る。このピッチはかなり不安定な岩場で落石注意。終了点はフリースピリッツと合流するが、かなり貧弱。足下狭く、3人集合したらスペースなし。

7P
アンダークリングを使ったりしてクラック沿いのスラブを登った後、バンドから右へトラバースし、上段のテラスの上部城塞下のビレイ点へ。トラバースする箇所もランナウトする。ビレイ点は下から見えないので、分かりにくいかも。

8P
上部城塞を右から巻いて抜けるのだが、トラバースする前からランナウトするので、回り込んでから上部へ乗り込んでいく箇所が緊張する。ここで落ちたらかなりヤバイ。しかも次のリングボルトが遠い。右手・右足はいいホールドなのだが、左手でクリップするには左足をハイステップ気味に、しかも甘いスタンスに置かなければ届かない。いいホールドを求めて左手をまさぐるのだが、いいのがない。パンプしてくるので、何度もいきつ戻りつしたが、結局いいのが見つからず、ロープをクリップする時はコワイのでヌンチャクを握った。…こんな所で落ちるわけにはいかないもーん…。カムが使えるらしいけど、そんな余裕なかった。先行のヤナッチは、ボルトは遠いと感じなかったらしい(というより、気がついたらすぐ近くにあったとか)。ムーブが違うのかなあ。

9P
トップ交替。今井君先攻。右のボロいルンゼを右上し、脆い岩場を登っていく。ここも不安定な岩場で、ロープの流れだけで落石を誘発する。結構でかいのも自然に落ちてくるので、先行パーティーがいたらほんまにこの壁は恐ろしい。残置支点はなくランナウトするが、エイリアンが使える。

10P
フリースピリッツと交錯。FIXロープのある壁の上を左上して一段上のテラスまで。フリスピのトラバースピッチ開始点にあたる。去年左上せずに、右に見えたビレイ点からトラバースを開始したので、エライ目にあった所。この辺りは色んなところにビレイ点があって、どれが正しいのか判断に迷う。

11P
短いが一番グレードの高いピッチ(10d)。ビレイ点が空かない、てことで、ここで随分時間をロスした。日が当たっている間は、暑いくらいだったが、陰ってじっとしていると、どんどん寒くなってくる。いよいよ今井君の番。フリー突破を頑張ったが、右手のカチを最初見つけられなくてフォール。何度かトライして抜ける。フォローも一応フリーを試みたが、スタンス悪すぎ!ホールドも乏しく、またリーチがない人はかなりきつい。時間もやばくなってきたので、フォロー二人ともさっさと諦めてA0で抜けた。ビレイ点は鷹ノ巣ハングの洞穴の中。ここだけは唯一落石に当たる心配はない。

12P
鷹ノ巣ハングを右上して抜け、終了点の枯れ木まで。ハングを抜けてからも、最後の最後まで気の抜けない登りが続く。カムが有効。

17時、無事終了点へ。終了点の枯れ木は、懸垂下降はしたくないような代物。いつまでもつか?!近くのハイマツから、バックアップがとってあったけど。

もう直に日が暮れる。そこから大きな松の木まで、コンテでひたすら移動。松の木についた時点で、ヘッデンを出す。今年も我が道をゆく西村さん。下の方で一本さんのヘッデンがちらちらと見えるのだが、そことは明らかに違う方向へぐんぐん進む。まあ、結局2人と交流できたからいいのだが。次回行くときは、ちゃんと踏み後辿りましょうよ。変なルンゼ無理矢理下りたから、落石当たったやないですか(怒)。

全員集合してからは、快適な踏み後を下る。といっても、自分だけ軽量化のために靴を持ってこなかったので、あまり快適ではなかったのだが。
最後、真っ暗なので水道管の核心はさけ、もう少し先の橋を利用した。さほど遠回りには感じなかった。

ヘロヘロだが1泊する訳にもいかず、帰路の運転はまた新たな核心であった。やっぱ日帰りで糸魚川まで来るのはしんどいですなあ・・・。
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マニフェストはフリースピリッツより、フリーのムーブががんがん出てくる。オールフリーで行けなかったのは悔しいが実力不足だ。フリーの岩場では10台ならOSできるが、あくまでも整備された岩場での話。完登できたのは嬉しいが、フリーでいけなかったこと、3人パーティーという気楽さ、先行ありでルートファインディングの必要がないこと等去年のフリスピに比べると充実感に今ひとつ欠ける気はする。もっともっと確実に登れるようになりたい。また新たな目標にむかって邁進せねば。まだ登りたいところは沢山あるのだ。

最後に、一緒に登ってくれた西村さん、今井君、ありがとうございました。お陰で楽しい登攀でした。ヤナッチ&一本さん、お疲れ様でした。
懲りてませんので、また宜しくお願いします。

<PS:ヤナッチの結果報告より>

明星山P6南壁マニフェスト、全ピッチオンサイトフリーを狙いましたが、2P目いきなり痛恨のテンション・・・。濡れた石灰岩に腰が引けてしまいました。それ以外のPはオンサイト。

長年虎視眈々と狙っていたマニフェスト、もくろみ通りにはいきませんでしたが、今回最高のスタイルでトライでき、最後までプッツンすることなくリードし続けることができただけで満足です。最悪、くたびれてリード断念もあり得ると思ってましたので。

全Pフォローに徹して頂いた一本さん、どうもありがとうございました。来年、松ちゃんとのF.S.頑張って下さい。ヒスイ・・・じゃなくて、骨は拾わせて頂きます。

また、フリーに徹するあまり登攀スピードが上がらず、終始、しんちゃん、こうのすけ、今井パーティをブロックする形になってしまい、申し訳ありませんでした。さらに、今回は縁がなかったけれど、ビレー役を申し出てくれたハタネー、感謝です。またの機会に頼みます!? せいすけには内緒?

平山ユージもエルキャプのエルニーニョ、全ピッチオンサイトはならなかったようです。でもあっちは5.13、こっちは5.10d。同い年なのに・・・。しかも濡れてたとはいえ、テンション入ったのは5.9・・・トホホ・・・。ここ、しんちゃんはノーテンで突破したんだよなー。くそー、まあいいさ。

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