日 程 | 2002年5月25日 |
地 域 | 奈良県・大台ヶ原 サマーコレクション登攀 |
メンバー | 梁瀬・河野(記録) |
大台ヶ原にオールペツル支点のマルチがある、という話は随分前に聞いていた。
フリーのロングルートで、いつか行きたいと思っていた。 そろそろ挑戦してみたい。行くからには、目標はオールフリー!!・・・さてどうなることやら。 0時大津出発、3時40分大台ヶ原駐車場着。 5時頃目を覚ますと、右も左もクライマーの車で何やら登攀準備をしている。 げ、この人達もサマコレだ。ひょっとして激混み?? どうせ順番待ちになるだろうと、二度寝をする。 7時半駐車場出発。 軽量化のため荷物は一つのザックに詰め込み、ハーネス・ヘルメットは各自着用。10.5ミリのロープは別に持つ。 シオカラ谷のハイキング道を歩き、石段を下りきったところの看板から右の水平道に入る。 左右に赤テープを見てルンゼを下る。赤テープに導かれながらどんどん下りるのだが、肝心の岩場へのトラバース場所が分からない。 結局、ルンゼをシオカラ谷に出合うまで下り、そこから右の踏み跡を辿ると無事取り付きに8時45分到着。 先行パーティーが2ピッチ目を登り始めているところ。 ゆっくりと準備し、どちらが先攻するかジャンケンするとヤナッチからになる。 おっとっとっと、ちょっと待てよ。そうなると、核心が小生のピッチになるな・・・。今回の目標はオールフリーだし、やっぱまずいぞ、うわー、代わって!っと河野先攻で9時35分登攀開始。 1P目(河)5.5 35m ノープロテクションの易しい凹角。 終了点=2ピッチ目の取り付きに、ルート名と開拓者の名前が刻印されたプレートがある。 2P目(ヤナッチ)5.10 30m いきなり出だしが悪い。ペツルは16本と安心の間隔。 荷揚げをして空身でフォロー。登りごたえのあるピッチ。 途中の左上する箇所はレイバック気味で登った。 3P目(河)5.10- 47m 一番長いピッチ。途中、ペツルにお助けスリングがぶら下がっているが、核心はここではなく終了点近くの方がイヤらしい。 荷揚げするが途中でメインロープに引っ掛かって断念。フォローに直してもらって再度荷揚げ。 4P目(ヤナッチ)5.10+ 15m 核心のピッチ。「イメージが湧かねー」とぶつぶつ言いながらもヤナッチ見事フリーで突破。 フォローもあやうくはまりそうになったがノーテン。空身のフォローって楽チンです。 5P目(河)5.9 30m 中央バンドまで。終了点は立木でビレイ。バンドの入り口にまずよい立木があるが、更に上にペツルがあり、その上の立木でビレイする方がいい。 お、こんなところにもペツルが、とちょっと驚き。 6P目(ヤナッチ)5.7 35m ブッシュを少し下り、バンドをトラバースする本チャンらしい絶対フォールできないピッチ。 フォローで行くが、トラバース最後の部分でハマる。行きつ戻りつ、結局一段降りてクリア。 立木ビレイだったが、ペツルのアンカーもちゃんとあった。 7P目(河)5.9 30m 右上後、左のテラスまでフレークの大トラバース。「ノースタンストラバース」というらしいが、スタンスは探せば十分ある。フレークはがっちり掴めるし、最高に楽しいピッチだった。 ルートは大きく屈曲しているが、終了点は取り付きの頭上になるので、荷揚げは楽にできる。 8P目(ヤナッチ)5.8 25m 何かもっといいホールドやスタンスがあるんじゃないかな〜と悩みながらも適当に登ってしまうようなピッチ。 このピッチに限らず、全体的にもっとガバを・・・と空しく求めること多し。 9P目(河)5.9 30m 出だしがどう見ても左に行けば易しいのに、わざわざすっぱり切れ落ちた右にボルトが打ってある。おお凄い高度感。 最後は開拓者曰く「鯛焼きのしっぽ」。最後まであんこが詰まっているってどういうことかな?っと思っていたが、そこまできて納得。おもろいやん!!これは登ってからのお楽しみ!! 終了点は立木でビレイ。ルート的に荷揚げは無理だろうと思ったが、声が届くような場所でないのでとりあえず引き上げる。 渾身の力を込めるが、やっぱり途中から動かなくなった。そこからは背負ってフォローしてもらう。 16時、登攀終了。 荷揚げもしたので時間はかなりかかってしまったが、二人ともオールフリー・ノーテンションで全ピッチクリアできた。 フリー主体の本チャンでも、すぐに諦めてA0してしまっていたので今回の完登は凄く嬉しい。 16時50分、終了点から右の踏み跡を辿る。 青空に透けるような新緑が映え、きらきらと輝いて見える。森の中に太陽の光が射し込み、神秘的だ。 登山道に出るまで、久しぶりに森林浴を楽しんだ。 17時30分、駐車場着。車はすでにまばらだが、売店のおばちゃん曰く、今日は凄いお客さんだったとか。 1日中雲のない快晴、素晴らしいお天気だったことに感謝。 サマコレはクライミング好きの人には絶対おすすめです。ロケーションも素晴らしく、9ピッチ登った後の爽快感と充実感は何ともいえません。フリーに拘る場合、グレードは10台が確実に登れたら全く問題ないと思います。 ただ本チャンの要素は強いので(落ちたら抜ける、というような心配はないですけど)、それなりの心構えは必要でしょう。 <追記:ヤナッチ談> そんなもんでしょうか。オンサイトフリーを狙うなら11aくらいはたまにオンサイトする力がほしいかな。 あと、いかにペツルとはいえ、地上20m以下でしかないゲレンデフリーと同じようにはいきません。 墜ちたくねー。体コチコチ。 さらに、パートナーが「おーるふりーでいくのだ!」なんて息巻いていると、こっちもその責任を負わされてしまうので、なおプレッシャー。ヤバくなったらパートナーに見つからないようにヌンチャクを掴んでレストするテクニックを身に付けておけば、後々まで「君のおかげで全ピッチオンサイトを逃した」と言われなくて済みます。 ・・・ちゃんちゃん。 <使用ギア> 10.5ミリ×60m(50mでも足りる)、9ミリ×50m(荷揚げ用) ヌンチャク19本(二人で)、ヘルメット(浮き石多く、先行Pあれば落石あり)、他クライミング用具。 おしまい。 |