日  程 2002年7月27日〜28日
地  域 北アルプス 唐沢岳・幕岩中央カンテ 畠山ルート
メンバー 西村・梁瀬・河野(記録)

7月27日
七倉駐車場で少し仮眠し、4時起床。
当初駐車場から歩いて行く予定だったが、ダラダラ準備している内に、歩くよりタクシーに乗った方が早いんじゃないの?っていう時間になってしまった。そうだな、我々は軟弱ブルジョアだからお金より時間と体力をセーブしなきゃな、ということで、あっさりとゲートからUターンし、タクシー待ちの列に入った。

6時半にゲートは開くが、実は駐車場常勤タクシーが2台しかないため、車が折り返し戻ってくるまで待たなければならないことが判明。時既に遅し。うわー、めっちゃ出発遅れてしまうなー。ってことで、いきなり本日のビバークが決定。のんびり行こう。

カラ沢出合で先行した二人がタクシーを降りると、後ろのタクシーが西村さんを乗せたまま高瀬ダムを上がっていく。
あああああ・・・・・・。きっと眠りこけているに違いない。これまたエライ時間のロスやな〜と嘆いていたら、しばらくして西村さんがスマンスマンと下ってきた。運転手さんが途中下車した我々に気づき、あわてて降ろしてくれたらしい。
よかった〜!これで運を使い果たしたか??

カラ沢出合から見る初めての幕岩。おお、あんな所にホントに今日取り付くのか?しかも遠いぞ。

出合から金時ノ滝左のボロボロガリーを経由して大町の宿にチェックイン。すぐ右に水場があり、快適そうな岩小屋だ。A3の練習もできそうで、広島ルート登ってきました偽造写真工作プロジェクトが進みそうになったが、後ろのガレ場に落ちそうなのでやめる。
登山靴もいらんやろ、とクライミングシューズに履き替え、いざ出発。

取付まではB沢をつめてすぐのところ。ボクから行くわ〜と西村さんスタート。

1P目(西)
山渓「日本のクラシックルート」の下部3ピッチ分は45m1ピッチで登れる。どこでも登れそうな草付ルンゼ。

2P目(西)
ほぼ草付。途中A1数ポイント入る。

3P目(西)
ルート図を見ると赤茶けた岩の上から回り込むようになっているが、全然ピンがなく、悪いとのこと。
左手にスリングが見えているのが雲峰ルートかな、と思っていたら、ここがA1+になる始まりの箇所であった。
結局、岩の基部を左へトラバースして人工に入る。西村さんはささささっと登ってしまった。さすが!
フォローすると、ピン間隔が思ったより近く、最上段に立てばチビでも届いた。今回、人工ピッチも多いので、マイアブミを作成したのであるが、最上段逆フイフイが絶妙にきまるので、あまりコワイ思いをしなくて済んだ・・・良かった・・・。
最後、ハング切れ目のルンゼに入るところが一番パワーが要った。

4P目(西)
X級の出てくる悪いピッチときいていたが、フォローだからかグレード程には感じない。濡れていて悪い、ってことが多いらしいのだが何せ我々はカンカン照りのただ中にあり、草も岩もカランカランに乾いている。あぢーあぢー!!
「夏でも日が当たらない」何て嘘だあああ。水飲みたあああい!!!
広いスベリ台テラスで、トップ交代。

5P目(梁)
ヤナッチがトップへ。また草付スタート。とっても狭い三寸バンドへ。靴が痛くなってきた。狭いスタンスなので靴が脱げそう。

6P目(梁)
はたまた草付スタート。メガネハング下を左にA1トラバース。間隔近く、フォローはA0。

7P目(梁)
快適なスラブを登る。そろそろ大広間テラスかな〜と思われたが、まだつかないようで、立木でビレー。

8P目(梁)
どこが大広間テラスなんだ??ここじゃなくてもう一段上じゃないの??
でもU級には見えないよなあ。これって大広間か?ちょっと次のピッチ探ってくるか。
あーじゃこーじゃと悩んだ末、ここが大広間テラスなのだ、っということにしてちょっとま仮眠。ずっと日干しで喉はからからなのだが、水は明日の分もあるので、ちびりちびりとしか飲めない。
テラス横のブッシュに横になれるスペースを作り、長々とセルフビレーをとって本日のビバーク地とする。

ツエルトを張ったが全く意味をなさず、結局下に敷いてそれぞれシュラフカバーをかぶって就寝。
・・・・・うっき〜!!何かひっきりなしに顔に虫がたかる。うっとしくて自分はカバーにほとんど潜った状態だったが、後の二人はそのままだったらしく、腕や首・顔がぼこぼこにやられていた。
ヤナッチは相当寝心地悪いようで、しょっちゅう悪態をついていたのだが、そんな中、気持ちよさそうな寝息をたてる西村さんがとっても羨ましかった。虫も気にならなかったようで。

7月28日
まだかまだかと朝を待ち、4時起床。うう腰痛いよう。
幕岩は確かに午前中は全く日が当たらない。天と地獄の差と思われるほど、日がないと楽だ。

9P目(梁)
ビバーク地より左のクラック&草付を登る。ピンがほとんどない上に最初がかなりイヤらしい。
ここが正規ルートが危ぶまれたが、間違いなかった。最後は灌木の木登り。

10P目(梁)
大チムニールート右のクラック。上の灌木をまたまた木登り。ルート図に「コケのスラブを人工」とあるが、本当にコケコケの汚い壁の人工なので、笑ってしまった。

11P目(河)
トップ交代。A1でスタート。ピンがなくなるところで振り返ると後ろ壁にぴっかぴかのリングボルトが。ん〜これが例のところか。おもしろーい!が、ボルトに届かない。右足は最上段にのって左足を後ろの壁に開いてやっと届いた。なかなか面白いムーブで乗り移る。カンテの手前でピッチを切った。

12P目(河)
カンテを越え短いA1から更にカンテを越えるとテラスとビレー点があったので、短いがピッチを切る。

13P目(河)
そのまま直上するにはピンもなく悪く見えたので、明瞭な左の踏み跡を辿る・・・これが大失敗。途中から結局右に悪いトラバースで戻ることになってしまった。ここは直上が正解だった。ピンもちゃんとあったんだな・・・。

14P目(河)
ピンに導かれて左へトラバース。後は草付やら木登りやら訳わからーん!状態。より明瞭な踏み跡を適当に登る。

15P目(河)
これまたあっちにもこっちにも踏み跡があって、訳わからーん!結局岩小屋右の岩場を登り、更に上の踏み跡草付を適当に右へ右へと登る。踏み跡は明瞭なのだが、途中ではたっと消え、そのままブッシュに突入したがハマってしまい、結局クライムダウン。そこでとりあえずピッチを切る。

16P目(河)
踏み跡の終わる地点から仕方なくイヤな岩場を登る。と、一カ所ピンがあったので、これが正規だったのかな。恐らくそろそろ終了地点だろうから、とにかくどこでもつっこんでいけ〜と頼もしい?励ましをうけ、最後はちょっとでも歩きやすそうなところを強引に突き進む。薮多く、ロープがめちゃくちゃ重くなり、もうこれ以上動けませーん、てとこで終了。

フォローに登ってきてもらって、そのままコンテしてもらうと、ちょうどすぐ上に赤テープが・・・。おお、素晴らしい!!!なかなかいい所に出てこれたようだ。

この赤テープは右稜の懸垂下降地点まで要所についており、そこまで行くのがかなり大変ときいていたたため、正直とってもありがたかった。かなり新しいテープのようだ。

懸垂7回で右稜のコルへ降り立つ。もうすぐ水場だ〜!!!残りわずかを飲み干して大町の宿へ急ぐ。

その後飲んだ水のおいしいこと!!3人で感激しながら飲みまくり、労をねぎらいあう。

明るいうちに下山しなければならないので、急いで下山開始。
金時ノ滝は懸垂下降したが、落石がひどく非常に悪い。1ピッチで降りられないので、それ以降はフィックスロープに頼った。

何とか明るいうちに高瀬ダム下に到着。タクシーを期待できる時刻ではなく、てくてく歩いて戻る。
最後、トンネルの先が見えたときはやっと終わった・・・という安堵感が広がった。
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今回の幕岩は、自分のピッチでは想像以上に藪とルートファインディングに悩まされ、時間もたっぷりかかってしまいました。
なんとなく、岩登りしたという感じがあまりしないのは私だけなんでしょうか・・・。


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