日 程 | 2002年8月17日〜18日 |
地 域 | 北アルプス 屏風岩 東壁 ディレッティシマルート登攀 |
メンバー | 梁瀬・河野・西村(記録) |
連日の睡眠不足で眠いのに起こされる。女王陛下の号令のため拒否出来ない。嫌々起きる。
1ルンゼの押し出しを登りながら、コマドリの声を聞く。心が洗われるようだ。後の2人は、こんな良い声を聞いても登攀にのみ関心があるだけだろう。
T4尾根基部を1ルンゼ側に回り込み、嫌な残雪を越え3Mほどのスラブ滝は、お助けスリングをセットしてもらい乗り越し取り付きへ。ハーケン数本がある。
1P 西村リード
もろい凹状を越して、ザレの乗ったスラブを直上 40m
2P 西村リード
緩いスラブから、スラブの人工A1。 バッカスバンドの下7〜8mの所でビレーする。40m
3P 河野リード
ビレー点上のスラブから草付に入る。大スラブ右端の人工A1。ビレー点まで届かないため、途中で止まってもらい、バッカスバンドまで登りビレー点を移動する。バンドでピッチを切り、ビレー解除の声がかかった後、西村が先に登ることになり、「行きます」と言うとすぐさま、「まだやちゅうねん」とえらい怒られた。おおこわ。
4P 河野リード
バンドを右トラバースし、再度スラブの人工A1。だが、ボルトが1本抜けているではないか。しかし、そこはさすが会長、フレンズをもろいコーナーのクラックに2本セットし難なく越していった。スラブの人工から、少しのフリーで2段テラスにはい上がる。
2段テラスで行動食を食べていると、恒例の夕立が来た。入山時から毎日同じ様な時刻に降ってくれる。幸いハング下なので濡れないのをいいことに続行か下降か、うだうだうだうだ言ってる内に雨も上がり、きれいな虹がでてきた。ええい、中途半端な天気だ。降るならどんと降れば下降できるのに・・・・。時間も天気も中途半端なまま続行となるのか?皆強情で降りようと誰も言わない。上を見上げるとすごいハング帯だ。3mの扇形ハング、前傾した青白ハング最後の庇、この時間から越せるのか?しかし、梁さんの顔が行きたがっている。
5P 梁瀬リード
小倉ルートへと続くボルトと分かれて扇形ハングを目指して直上する。扇形ハングは足が着くので見た目より楽だ。乗越た後は、スラブの人工A1となり、ビレー点のレッジヘ。 40m。ここから見上げる、青白ハング〜上部庇は圧倒的だが、取り付きから見るより優しく見える。青白ハング帯も残置ハーケンがたくさん見えるがどれがどこのルートかすっかり忘れてしまってよくわからない。
6P 梁瀬リード
青白のコーナー左のスラブをA1で登り、右方向青白ハングに入る。30mで庇下のビレー点で、アブミビレー。日が暮れてきたし、雨もぱらつきだした。えらいこっちゃ。
7P 梁瀬リード
いよいよ核心部の庇に突入だ。いつ見ても梁瀬師匠は確実にそして実に美しく庇を越してゆく。この美しいクライミングで自分のクライミングの良いイメージが出来上がったのだが・・・。庇を越してしばらくして、解除のコールがきた。河野会長から登り始める。会長もスムーズに庇の下を移動していき、さっさと越して視界から消えてしまったので登り始める。庇下の移動は比較的スムーズに行けた。が、乗越のヌンチャクに掛けてから体が上がらない。いくら伸び上がっても上のカラビナにフイフイが掛からない。伸びたり縮んだりしている間にパンプしてしまった。おお、ついにここで、磔の荊か?いやだーーー。過去に夏・冬で3回この庇を越したのにと、思い起こし、渾身の力で伸び上がりフイフイを掛ける。やったあ、やっと掛かった。やっぱり本ちゃん行くなら、人工の練習をせんといかん。同じ人工でも人工壁育ち中だけではだめだ。目的にあったトレーニングをしなければ・・・。それにしても、庇出口で、ファイト一発が欲しかった。日も暮れ雨で濡れた上部スラブをA1でレッジヘ。結構降って来たので、雨具を着てヘッドランプをつける。ここで、ビバークとの意見も出るが、もう1ピッチ30mでブッシュ帯なので、梁さんに行ってもらう。
8P 梁瀬リード
バンドを右トラバースして、A1で直上。(この途中大事な大事なBDの新品カラビナと新品テープを落とす。何という失態。残念)。枯れた木を越して濡れた草付を登ると終了点の木に出た。
9P 梁瀬リード
バンドから草付ブッシュを登りクラックの嫌な露岩を越しブッシュでビレー。
10P 西村リード
木登りから草付を登りだすが、途中で不安になり、(道がわからん。)時間も時間だし、どこでもいいから、寝ろうと思いビレー点まで戻り、ビバークと決定する。スタンス程度の外傾した草付でとても、寝られたもんじゃない。おまけに顔にヌカカが来てチクチクうっとおしい事この上なしだ。また、途中から冷えてきてカッパだけのビバークに追い討ちをかける。おおさむー。 1時間ごとに目が覚めるのを何回か繰り返すと、ようやく明るくなってきた。行動食の残りかすを食べて、身支度をして登り始める。昨夜降りてきた所からさらにロープを延ばすと、立派なテラスに出た。雲稜の終了点だ。二人に合わせる顔がない。ごめん。3人で相談の結果、雲稜ルートを下降する事になった。6〜7回の懸垂でT4に着いた。
雲稜を降りるときの注意!
扇岩〜T4の下降は、扇岩から一旦大テラスに下りて、大テラスから下降したほうがピッチも短くて早い。T4尾根も懸垂で下り、T4の取り付きでギヤを分けて、ゆっくり1ルンゼ押し出しを降りて横尾へ帰った。皆さんお疲れ様でした。
<行動概要>
8/15 彦根集合6:30−上高地14:25−横尾17:30
8/16 晴のち一時雨 屏風東壁大スラブ直登ルート偵察
横尾起床4:00 出発6:00−ディレッテシマ取付7:55〜8:45−バッカスバンド11:30
直登ルート取付14:00 同ルート偵察16:00まで 1ルンゼ懸垂にてT4取付18:00−横尾19:05
8/17 晴のち一時雨 屏風岩東壁ディレッテシマ登攀
横尾起床3:00 出発5:05−ディレッテシマ取付6:45〜7:30−バッカスバンド10:00−2段テラス14:00〜15:00
ハング上スラブ19:00−終了点20:30−クラックの露岩上のレッジでビバーク23:00
8/18 晴のち曇り 屏風岩東壁雲稜ルート下降
ビバーク地発−雲稜ルート下降開始8:10−T4尾根取付11:45〜12:20−横尾13:10〜15:10−上高地18:00