日  程 2000年11月2日〜6日
地  域 東北・船形連峰
メンバー 堀内(記録)

見たかったもの     三峰山、北泉ヶ岳間に広がるブナの大木の森と、層雲峡と言う渓谷美。


日程   2日夜発2泊3日  6日朝着(行き東京廻り、帰り新潟経由。共にJR利用)
道程   登山口      仙台市地下鉄泉中央駅からバスで泉ヶ岳青年の家         下山地       山形県尾花沢市鶴子
ルート  1日目      泉ヶ岳より北泉ヶ岳を経て水源(テント泊り)
             2日目      水源より三峰山、船形山(御所山)、御宝前大滝へ出、層雲峡を下降し大沢小屋(小屋泊り)
             3日目      層雲峡を下降し、鶴子集落へ

 1日目は日中ずーと霧雨と濃霧。紅葉は終わりかけ。一般的なルートを選びもくもくと歩く。
ハイキング道で整備が行き届いており、面白味はない。北泉ヶ岳を越えると、あたりはブナ林へ。
途中3回程しか人に会わず、100万都市近郊の割には意外。午後早目にテントを張るが、張るのに合わせて雨が止み、夜7時には一気に快晴となる。テント地は僕のみで、静かな夜だったが、ひとつ不思議なのは、春 に鳴くブッポウソウがなぜか鳴いてた。梢に見え隠れする半月と鳥の声の共演に情緒満点の晩。

 2日目  今日はいつになくゆっくりと起きる。のんびり朝飯の用意をし、なんと出発は9時。朝から快晴。
出発し1時間して、いかにも元マタギと言ったような格好をしたじいさんに会う。じいさんは山中で泊っていて、今朝からきのこ採りとのこと。山形まで抜けることを話すと、にわかにきのこの講義が始まる。急ぐ旅でもないので、1時間程見分け方や匂い、特徴を教わる。見本に採った全種類をサンプルとして頂く。
聞いてはいたが、そんなに簡単には採れないと思っていたのだが、1時間ほど歩いた大木の森で、道端から も見えるところにいろいろ出てる。さらに、よさそうな枯れ大木に見当をつけて10メートルがさの中に入ってみると面白いように見つかる。これは楽しい!にわかきのこ博士気分!いい天気やのにほとんど人がいない。きのこは三峰で終わり。樹相が変わり、展望が利く。黒伏山南面の急崖が、山形盆地の雲海をバックに奇麗。
(あれが梁瀬氏と河野さんの行ったとこかとしばし眺める。)手前の仙台カゴや最上カゴも、地形図との対比で面白いように地形が解る。
遠くには飯豊、朝日、月山、鳥海、栗駒等がはっきり見える。まだ雪は来てない。
途中からメインの登山道を合わせ、船形山頂へ。10人ほど居てにぎやか。山頂には立派な小屋があり、大型の窓に洋風の形で、いままで見た避難小屋では最高クラス。ただ水がないのが難点。

山頂は少し休憩しただけですぐ下山ルートに入る。途中で尾根コースと別れ、沢に向かって急下降する。
このルートは誰も通ってないようで、クモの巣を浴びる。沢に下りつく手前に2個所斜面のトラバースがあり、ホールドなくかなり慎重に通過する。その後崩壊した枝沢に移り、これを慎重に下る。本流に降りつくと、すぐひざ上まで水に浸かる。ここからは沢道だが、道はなく、たまにあるペンキ印を頼りに水流を行く。雨で水量多く、すぐに腰まで浸かり、先が思いやられたが、後はひざまでで、時間をかけて夕刻大沢小屋に着く。

小屋には先客が居て、前で蒔き割りをしている。聞くと宮城県の3人パーティーで、鶴子からの入山。
滋賀から来たと言うと、すごくもてなされる。小屋の中にはいろりがあり盛大に火が焚かれ、すごくムード ある造りの小屋で、50年位経っている。総木造2階建て。五右衛門風呂付き。格子窓 なぜか火の番やら料理作り、食器の配膳とかなんでもしてくれて、こちらが動こうとすると皆に止められて小屋に着くなり何んにもすることなく火にあたってるだけ。まるで大名気分!手伝おうとするがダメ!本当に恐縮するばかり。
料理はうまく、なんと焼き肉。牛肉に鶏肉、サラダ、野菜炒め、きゅうり、とまと、自家製つけもの数種、カルビ、ホルモンとキムチ(これは僕は食べれない)、チーズ、りんご、スルメ、ピーナッツ、それに味噌汁  これも自家製味噌と、豆腐、白葱。
ここで俺の出番。今日の採りたてきのこ(ナメコ、ハナビラニカワタケ、ブナハリタケ、ヒラタケ、ムキタケ、 ナラタケ)をすべて提供する(2kgくらい採れた)。おおいに感謝され、地酒2種類とビール付で楽しい夕餉 となった。
にわかきのこ講義がこんなにも有意義になり、出会ったじいさんに感謝!感謝! (ただし、ちがうきのこも3本採ってしまってた。ヒラタケとの間違い、  おお危な!)
きょうはいろりを囲んで暖かくおだやかな気分。ネパールの話題や、東北の山々、その他いろいろ話しする。

 3日目    今朝も快晴。食事の支度も全てして頂き、僕はただ食べるだけ。なんか罰あたりそう。さすがに食器洗いは少し手伝わせてもらった。
7時10分に3人と別れ、聞いていた通り、すぐに徒渉。殆ど沢床を行く。やがて両岸迫り、靴幅しかない岩盤のへつりの連続。しかも外に向かっての傾斜の上に落ち葉が積もり、濡れててにゅるにゅる。垂直の岩場には時々鎖やロープがあるが、肝心な所に無かったりする。川中を行ったりへつったりして2時間で無事林道に出る。岩をやる旧岳士会の人なら平気だろうが、結構緊張した。林道では紅葉を見に来た人 に会い、みかんとビールをもらって東北各地の山の話しを聞く。林道を1時間歩き、御所山荘と言う小屋までくると今度は福島県の犬連れ御夫婦に出会い、せっかくだから車に乗ることを薦められる。それで、鶴子まで乗せて貰うことにした。車内でお菓子や柿を貰い、鶴子に着くと、昼食にいい所があるからと言って、うまいそば屋に行く。鶴子そばと言って歯ごたえがありうまかった。

食べ終わると、またまた「どうせなら奥羽線の駅まで行こうよ」となって、村山駅に向かったが、山の話しや外国(カンボジアやカトマンズ)の話題で盛り上がり、山形越えて途中ワイナリーを見学したりしながら米沢 へ行き、米沢牛を食べて、さらに山越えで喜多方市まで行き、やっと別れる。金も出してもらい、こんな事でいいのだろうかとつくづく思った。
喜多方ではラーメン(なんとかお腹に入った)を食べ、一風呂浴びて、17時58分発快速あがの3号で帰途 に着いた。

 今回の旅では山そのものはしっとりしたいい山だったが、いろんな人と会い、なぜだか、東北人は人のいい人ばかりで、旅の幸せを強く実感した。これ以外にも途中で会った人に果物を頂いたり、親切な人ばかり だった。たまたまかも知れないが、こうも事がうまく運ぶと、うれしいのと、妙に出来すぎてて変な感じもする。

 朝日に行った時も、飯豊や月山のときもいつも東北ではうまく事が運んでしまい、不思議な感じがする。
とにかく、いい山行ができ、ますます東北びいきになりそうです。

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