日  程 2000年8月10日〜15日
地  域 北海道 大雪山
メンバー 平岡(記録)・他2名

予定では着いた日に入山し、旭岳から白雲岳を経てトムラウシへ下山、5泊6日全部テントで(「山ヤの鏡!!」って?アリガトウッ!!)ウニもイクラもアスパラガスもなーんにも食べる余地のないあんまり羨ましくない北海道旅行となるはずであった。  しかし−−−−。

 同行者は銀縁眼鏡の好青年アッチョンと、見た目が「裸の大将」そっくりなオバッチ、ともに高校山岳部時代の先輩である。
 
 8月10日、11:00旭川空港到着、駅前の西武で買い出しだ。 買い出し!?そう、我々はガスも食料もなーんにも持って来てないのである。
バスの出発まで4時間あるから何とかなるでしょ、と思ったが、みんな旭川の西武をナメたらアカンよー。西武でもエスタでも5軒あるローソンでも、揃わん食材がいっぱい!!。例えばウドンスープがない。麺は買ってしまってるので味噌煮込みを提案したが却下。「ごはんですよ、で煮込む。」「レトルトのカレーかミートソースをかける」 アッチョンはグルメであると同時にチャレンジャーでもあった。「いやだぁぁぁーーー!!!」。閑話休題。

 さてバスに揺られること約2時間で旭岳ふもとのキャンプ場に着く。層雲峡側との客争奪戦が激しいようで、温泉協会の共同出資により無賃。私としては断然こっちがお勧めだけどなあ。交通の便がいいからか、人は層雲峡側に集中するようだけど。
 今夜のメニューはジンギスカンと特上カルビ、明日からの縦走に備えて早めに寝る。

 翌11日、何か曇ってる。けど家で見た予報では「台風は東へそれる」っていってたしなー、まぁ大丈夫でしょう。気象予報士アッチョンは予報する気もないようだし。ってゆーかラジオとか持ってきてないし。
 とりあえずロープウエーに向かうが、途中で降り始めた雨が上に着くと同時に大暴風雨と化す。帰る気なんてなかったが、余りに激しいのでひとまず待機する。「映像・大雪山の神秘」を見たり皆さんに「自慢メール」で自慢したり、でも雨はいっこうに弱まる気配がない。後で知ったのだが台風は「関西を」東に逸れ、道東を直撃したのである。 にも関わらず、売店のおやじに「昼から晴れる」とのがせネタを掴まされ、「どーせ晴れるならはよ行こうぜー」と、荒れ狂う嵐の中へ突っ込んだのであった。

 地形がなだらかなので滑落の危険性はないが、時々岩につかまったりしゃがみ込んだりして突風を避ける。だらっと広いので方向も見失いがちで、そーいやSOS事件って旭岳の手前だったっけ・・・とか何とか。 (実は金庫岩とニセ金庫岩を間違ったことが原因だとか。ホンマかいな。)
 行程がぎりぎりなので何とか白雲岳まで行きたかったが、いくら何でもこれはヤバい、ということで旭岳を越えたところのテン場へと引き返す。他に10張程あったが全て停滞組であった。当然か。

 明日晴れたら予定通りトムラウシへ、雨なら黒岳方面(層雲峡側)へとショートカットすることにしたが「激しい雨は続かない」とのセオリーを破り、暴風雨は翌朝5時まで続く。今までで一番諦めきれない雨だった。 仕方なしに7時まで待機したら、とたんに晴れた!。うぅ・・・。

 辺りを見渡すとそこはもう別天地、北アルプス「なんか」とは比べ物になんないね。チッチッチ(人指し指を振る)、やっぱ北海道の山は違うね〜!!。
 旭岳を背に目下広がる景色はまさに「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭=アイヌ語で大雪山のこと)」!!。
 あの大雨にも関わらず地面は全く濡れておらず、爆裂火口の凹地カルデラを右手に、外輪山に囲まれたお花畑の真ん中を楽しく散歩。高山植物保護のため、所々ロープが張られているのが興ざめだが、不逞の輩が多出するので仕方あるまい。かくいうオイラも、以前来たとき知らずに採取してしまい、すんでの所で鑑別所行きであった。ああビックリ。
 
 遠回りして立ち寄った間宮岳はまるで草原のようで、今までみた中で一番平らな山だった。ホンマにあれって山なのかな?。
 
 また、「るるぶ」言うところの「日本一ワイルドな」中岳温泉は、間宮側からは往復2時間弱の寄り道となるが、向こうからも道が延びているので結構人が多く、登山路真横の川の2m四方を石で囲っただけの温泉に入る勇気はないのでやめておいた。河原では妙齢のカップルが休憩しており、「お前らはよどっか行け」と言わんばかりの目でこちらを睨んでいた。不埒なカップルに追っぱらわれ間宮に戻る途中、双眼鏡で除いてみたら、入浴者は5〜6人に増えており、れいのカップルは意地クソになってまだ河原で待っていた。 アホ。

 そんな事はどうでもよいのだが、明るく楽しく歩いているとコースタイムを大幅に下回る時間で黒岳に着いてしまった。一瞬3人に「こんな事ならトムラウシまで行けたんじゃないか!?」との後悔がよぎったが、諦めてガスも食料もほとんど使い切っていたのでどっちにしても無理だったかものぅ。5泊6日分の食料を?米以外2泊3日で全部食べたので、一回のメニューが「ドライカレー、スパゲティ、ほうれん草のおひたし、スープ、クラッカー、おもち、デザート」などというスバラシイものであった。
 
 黒岳からは相当長いつづら折りの道を下り、リフト・ロープウエイを利用して下山。3人の頭にはもはや「ウニ・カニ・イクラ」しか無かった。
 下山後はすこぶるリッチに旅館でも、と思ったがお盆の日曜のこと、結局この日も「スイート・マイ・ホーム」であった。

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