日  程 2001年8月18日〜19日
地  域 北アルプス 剣岳 チンネ中央チムニー〜aバンド〜bクラック登攀
メンバー 大越・平岡・前川(記録)

7/28(雨 土砂降り+強風)室堂〜剣沢(剣山荘)
朝から土砂降り。まったくいやになる。11時ごろまで室堂で回復を待つが
回復せず。今日の予定は元々池ノ谷乗越であったが、剣沢に変更し出発
する。雷鳥平まではほぼ全員がそろって歩いていたが以降はばらばらになる。
旧岳士会の本領発揮である。剣御前小屋で集合することにし、各人のペースで
スタートした。登山道は沢のように水が流れていた。
 
大越さん、前川が剣御前小屋に集合して1時間経ったが、平岡さんだけが到着
しない。天気が悪いので心配になり様子を見に行こうかということになったが、
相談の上、後30分待つことにした。(あまやかしてはいけないのだ!!)しかし30分
経っても到着しない。このため様子を見に行くとちょうど登ってくるところだった。
よかった!よかった!この後何が起きたかは不明?
 
この日は剣沢でテント張ることにしていたが、風雨でびしょびしょになった我々はめげて
剣山荘に宿泊しました。人は少なく快適でした。6〜7割が中高年の女性登山者でした。
このことは後に続く気力低下の第一歩でした。
  
7/29(霧のち快晴)剣沢〜剣頂上〜北方稜線〜池ノ谷乗越〜チンネ中央チムニー
             〜aバンド〜bクラック〜池ノ谷乗越
霧の中をスタートするが剣の頂上あたりで快晴となる。そのまま北方稜線を池ノ谷乗越
に向かう。北方稜線は風化が進んでおり(特に池ノ谷側)ぼろぼろで昔行ったときよりも
悪くなっていた。
 
10時頃に池ノ谷乗越に到着。雪渓から水も滴っており、キャンプサイトとしての条件は
整っていたが、テントを張るスペースが足らなかった。このため、石を積んでスペースを
広げた。この行為に対し大越さんより自然破壊だという指摘があったが、快適さには
かなわず却下された。但し、我々が積んだ石は来年雪崩れが持っていってしまうでしょう。
再利用は不可です。残念ですね。
 
この後特にやることもなかったので、短時間で登れるチンネ中央チムニー〜aバンド〜b
クラックに行くことになった。池ノ谷ガリーは岩が堆積しているが返ってそれがブレーキに
なり降りやすかった。北方稜線の方が悪いのだ!
 
中央チムニーの取り付きまでは雪渓に覆われていた。今年は残雪が多い。
ここで我々3人は新兵器カジタの六本爪アイゼンFB−6を取り出したのであった。
このアイゼンは体力、気力の低下した我々3人が相談のうえ購入した切り札であった。
何故切り札なのかは使ってみればわかります。ちなみに私はカジタからワイロ等はもらって
いません。このアイゼンとバイル(剣にバイルは必携だということが今回よくわかりました)に
より軽々と雪渓を突破した我々は中央チムニーの取り付きに到着したはずだったが、調子こいて
1ピッチ目を途中まで登ってしまい、クライムダウンすることになった。(前川のみ)
フリーのように、アンカーを作ってくれんとわかりにくい。プン!プン!と文句を垂れながら取り付き
で準備した。
 
チンネ中央チムニー〜aバンド〜bクラック ルートグレード3級下 ピッチグレードV級
 
1P(V級)前川リード
  中央チムニーは顕著な凹角を登る。出だしは凹角右側の壁を登る。上部で左側がかぶって
  きたので、凹角から出て右側のフェースを登った。ピッチグレードはV+に感じた。ピンは多い
  が皆くさっている。確実な支点はカム、ナッツでとる必要がある。以外に岩が脆いと感じた。
  フリーとボルダリングしかやってないせいなのか。後続の2人は快適にフォロー。
 
2P(V級)前川リード
  2ピッチめも凹角を登る。ここは狭くザックがつかえる。ずりずりやりながらここも途中から右の
  フェースにでる。難しくはないがしんどい。ピッチグレードはV+か?。ここで平岡さんははまり
  ました。A0の嵐でフォロー。大越さんはオールドクライマー?ということもあり、快適にフォロー。
  ここで一考!!
  北岳の河野さん、チンネの平岡さん共にチムニーで撃退されている。現代クライマーはチムニー
  が苦手なのか。とすればオールドクライマーの我々(旧岳士会のほとんどの人がここに入る。
  そう君だよ。これを読んでいる君。屏風岩や衝立岩が目標で、あぶみの練習に命をかけていた
  君のこと。)にはチムニーにこそアドバンテージがある。???
  尚、このピッチは傾斜がきつかった。高度感がすばらしい。緩い凹角に入りビレー。
 
3P(U級)大越、平岡リード
  緩い凹角を登る。大越さん、平岡さんにそのままそれぞれリードしてもらう。ほどなく中央バンドに到着。
  チンネの中央バンドは広い。テントが張れる。安心して用も足せる。用を足した人もいた?
 
4P(T級)大越、平岡リード
  緩い凹角を斜上する。大越さん、平岡さんにそれぞれリードしてもらう。ピナクルのあるテラス
  でビレイ。
 
5P(U級)前川リード
  緩いバンド(aバンド)を斜上する。ルート図には、bクラックの下でビレイすることになっているが、
  クラックが見つからない。
  ルート図には右端まで行ってしまうと、右方カンテにでてしまうとあったので注意していたが、結局
  はまってしまい、右方カンテにでてしまった。右方カンテは、一目で人工になるとわかったのでクライム
  ダウンした。下を見ると高度感がものすごい。チンネは傾斜がきついのだ。(70〜80°くらい)びびり
  が入り急に動きがにぶくなってしまった。このクライムダウンが一番難しくて怖かった。(5.10a??
  ?ウソ→W級+ぐらいか)尚、このことはここで初めて告白します。クライミング中は強がってそんなそぶり
  は見せなかったのだ。大越さ〜ん、平岡さ〜んごめんなさ〜い。!!
  
  結局、bクラックと思われる少し凹状になった壁の下でビレイする。自分がこわかったのでフォローする
  2人に高度感がものすごいので下を見るように言う。(チンネ正面壁に行った方ならわかると思います
  が、傾斜がきついこと、壁がすっきりしているということもあり、ほんとに高度感はものすごい。)
  2人はすばらしい!、景色がきれい!などと言いながら登ってきた。頭がこわれている。修理不可。
 
6P(V級)前川リード
  出だしのみがややかぶりぎみの凹角を登る。W級-ぐらいか。あとは簡単な凹角をここのどこがクラック
  なんだと思いながら登る。しかしびびりが続いている私は、硬いと言われているチンネの岩がぼろぼろ
  に思えてならなかった。壁の傾斜も緩くなりテラスでビレイ。
 
7P(U級)前川リード
  簡単な凹角を登りチンネの頭へ。登攀終了。18時30分頃池ノ谷乗越のテントに戻った。
  岳士会にしてはヘッドランプ使わない珍しい登攀でした。日が長いということもあるが・・・・
   
7/30(晴れ)池ノ谷乗越〜北方稜線〜剣頂上〜剣沢
  昨日までの山行でやる気のなくなった我々は、あっさりともうひとつの目的であったチンネ左稜線を放棄
  して下山した。剣岳の下りではず〜とおばちゃんの大群といっしょでした。おばちゃんは山に来ているのに
  嫁の悪口とか下界の話をしていました。
  やる気のない我々は、休憩ごとに昼寝をしたり、小屋でラーメンを食べたりしてだらだらしながら剣沢に
  15時頃到着。時間がたっぷりあり、ゆっくりできました。失っていたものを取り戻したような気がしました。
  しかしだらけすぎている。
  
7/31(晴れ)剣沢〜剣御前小屋〜雷鳥平〜室堂
  今日も快晴で暑くなりそうなので少し早く出発する。昨日を反省し普通に歩く。室堂に9時頃到着。終了。

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